サーモン(鮭)は、ここアメリカ北西部のシンボル的な魚です。天然のサーモンが住めるということは、きれいな水があり、環境が良いところということ。ワシントン州政府や住民の多くも、その保護と啓蒙活動に積極的です。釣りも盛んで、寿司や刺身、グリルなどの料理も人気があります。
ワシントン州には主に、紅鮭(sockeye:ソッカイ)、銀鮭(silver または coho:コーホー)、白鮭(chum:チャム)、カラフトマス(pink:ピンク)、キング(chinook:チヌーク)などが生息しています。
サーモン釣りは盛んで、サーモン釣りについて寄稿してくださった光岡則夫さんによると、鮭は生まれは川の上流なので、淡水魚。稚魚は川や湖で成長し、やがて海に出てアラスカ沖を回遊した後に、3~5年ものの成魚となって、産卵期になると故郷の川を目指してシアトルに戻ってくるそうです。
ワシントン州西部のレストランではサーモン料理が定番の一つ。スモークサーモンを使った前菜もあれば、シンプルにグリルしたものがメインディッシュにあったりしますし、サーモンのポキも人気。日本食レストランでは寿司、刺身、ちらし、丼、焼き魚などが定番です。BBQ グリルやスモーカーでもサーモンを調理するのも一般的で、サーモンジャーキーもお土産に人気があります。
スーパーマーケットやフィッシュマーケットでも、サーモンは定番。ワシントン州産かどうかわからない場合は、尋ねてみましょう。シアトル地域では、アラスカ州産、ニュージーランド産、ノルウェー産のサーモンも販売されています。
ワシントン州魚類野生動物局は1895年からサーモンを卵から孵化させ稚魚を川に放流する孵化場(hatchery)を運営しており、ピュージェット湾で捕獲されたサーモンの75%、コロンビア・リバーで捕獲されたサーモンの90%が孵化場の稚魚が成魚になったものであることが研究でわかっています。
サーモンウォッチャーというボランティア
キング郡やスノホミッシュ郡では、サーモンが帰ってきたのを目で確認する「サーモン・ウォッチャー」というプログラムを実施しています。誰でも参加でき、簡単なトレーニングを無料で受けることができます。キング郡が主催するプログラムについてはこちら。
バラードの水門にあるフィッシュ・ラダー
ネイティブ・アメリカンは昔からサーモンを主食とし、居住していたピュージェット湾にある島の一つ、ブレイク・アイランドのツアーでは、伝統的な調理法で焼いたサーモンを味わうことができます。
また、シアトルのバラードにあるチッテンデン・ロックスという水門では、海から湖を経て川に戻っていく途中のサーモンが見られるフィッシュ・ラダーが設置されています。
サーモン・デーズ
シアトルの東のイサクア市では、鮭が産卵のために里帰りしてきたことを祝う、恒例のフェスティバル 『Salmon Days』 が1970年から毎年開催されています。毎年15万人以上が訪れるイサクア市最大のイベントで、川を上がって帰ってきたサーモンを見ることができるほか、ワシントン州内で最も訪問者数の多い孵化場を見学し、サーモンについて学ぶことができます。