「ファーマーズ・マーケットに行ったことがない」「どうやって買い物するの?」という質問をよくいただきます。そこで、シアトル各地でマーケットを展開している非営利団体シアトル・ネイバーフッド・ファーマーズ・マーケッツのジャネット・ハートさんにご回答いただきました!
「ローカル」の定義
ファーマーズ・マーケットとは、地元の生産者が集まって食材を消費者に直売する市場のこと。その地域で生産された食材をその 地域で消費する、いわゆる「地域生産地域消費」、略して「地産地消」を体現したもので、食材の豊富なワシントン州ではたくさんのファーマーズ・マーケットが運営されています。
シアトル・ネイバーフッド・ファーマーズ・マーケッツの「ローカル」の定義は、「ワシントン州内」です。団体や企業によって定義は異なるので、その都度確認してみるといいでしょう。
オーガニック(有機栽培)とそうでないものの見分け方
すべての農家がオーガニックに切り替えられるとは限らないので、現在はオーガニックとそうでないものが混在しています。政府の承認を受けたオーガニック食品を販売している農家の屋台には、『Certified Organic』 という表示が掲げられています。オーガニックでない場合、農薬の使用方法や使用量などの栽培方法がそれぞれ異なるので、「どのように育てているのですか?」と、その場で聞いてみることをおすすめします。
ファーマーズ・マーケットのメリットの一つは、「生産者と顔をあわせることができること」。このメリットをフルに活用してください。
ローカルの農家が育てた食材を購入するメリット
メリットの一つは、ローカルの農家の大半は小規模な家族経営であること。広大な土地で1つの食材を何マイルにもわたる農場で大量生産する大企業と異なり、さまざまな食材を少量ずつ栽培できるので、消費者はバラエティ豊かな食材を手に入れることができます。また、大量の食材を扱うために生産から収穫、そして配送まで機械を使い、大量に売りさばかなくてはならない大企業やスーパーマーケットにとって、特にデリケートなものや貯蔵寿命が短く傷みやすいものを扱うことはなかなか難しいですが、小規模な農家ならマーケットが開催される前日や当日に収穫し、新鮮なまま消費者に届けることができます。
そして、前述のとおり、生産者と話すことができるのも大きなメリットですね。最近は全米規模のスーパーマーケットでも「ローカル産」と表示してファーマーズ・マーケットの真似をしているところもありますが、誰がどのように育てたのかもわからない食材を買うより、実際にそれを育てた人と顔をあわせて話ができるのは、ファーマーズ・マーケットならではです。
また、ファーマーズ・マーケットで消費者が農家から直接購入することで、利益の100%が農家に還元されます。農家にとって、大企業に卸値で販売するよりもその方がメリットが大きいため、地域経済の活性化や農地の維持につながることがおわかりいただけるでしょう。
ファーマーズ・マーケットでは、ネギや水菜など、アジアの食材を販売している農家もあります。日本人のみなさんにもファーマーズ・マーケットを利用していただければ、これ以上に嬉しいことはありません。
ファーマーズ・マーケットをうまく利用するコツ
- クレジットカードを受け付けるところが増えていますが、念のため、現金も持っていくこと。
- 小切手(パーソナル・チェック)を受け付けるところは稀。マーケットに ATM はないので、現金を引き出すには近くの銀行またはATMまで行く必要があります。
- 初めてファーマーズ・マーケットを訪れる場合は、まず何が販売されているのか把握するために、歩き回ってみること。
- スーパーマーケットのように一箇所にすべての商品が集められているわけではないので、おもしろいものや新しい食材を見つけてください。
- 買い物袋を持参すること。ビニール袋を用意してくれているところが多いですが、資源を無駄にしないようにしましょう。
- 商品を売っている人たちと会話をすること。「どのように栽培されたのか」「おすすめの保管・調理の方法は」「大量に買うと割引があるか」「試食できるか」など、なんでも聞いてみましょう。