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更年期からの女性の健康(3) 更年期の症状を緩和する方法とその効果

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ナースプラクティショナー・助産師・看護学博士
押尾 祥子さん

Sachiko Oshio, CNM, PhD, ARNP

Nadeshiko Women’s Clinic

【メール】 info@nadeshikoclinic.com
【公式サイト】 www.nadeshikoclinic.com
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更年期症状のうちでも特に、のぼせ・ほてり、夜間の発汗はやっかいなものです。症状緩和に一番効果のあるのはホルモン療法ですが、薬を使う前に、生活習慣、栄養、ハーブ、運動などを試してみる価値はあります。個人差が大きいですが、効果があるようなら、自分にあったやり方で症状に対処していきましょう。

食事
大豆製品が更年期障害を緩和する場合があります。大豆を食べると、その成分が腸内細菌の働きで女性ホルモンとして機能する物質に変化するため、更年期症状が緩和されます。枝豆、味噌、醤油など、日本食には大豆がたくさん使われていて、アメリカの食事と比べ、大量に摂取することができます。ただし、大豆の成分の吸収力には大きな個人差があり、また、腸内細菌の種類が人によって違うので、誰にでも同じような効果があらわれるわけではありません。また、注意したいのは、乳がんや子宮がんの治療をしているときには、女性ホルモンを減らす必要があるので、大豆製品を多量に摂取してはいけません。

サプリメント
大豆の成分は、サプリメントとしても、Soy Isoflavones として販売されているので、手軽に利用できます。また、レッドクローバーのサプリメントも、一部の人には、火照り・のぼせの症状緩和に効果があるという報告があります。イブニング・プリムローズというハーブのサプリメントも更年期症状に効くとされていますが、今のところ、効果を実証した研究はありません。

アルコール、カフェイン、香辛料、たばこ
一般的に、アルコール、カフェイン、辛い香辛料などを摂取すると、火照り・のぼせの症状がひどくなる人が多いようです。自分の摂取量と症状の関係を見て、もしも影響があることに気づいたら、極力避けましょう。たばこは確実に更年期症状をひどくします。過去に吸っていた人より、現在吸っている人の方がひどく、数本だけ吸う人より、一箱以上吸う人の方が、症状がひどく出ます。

精神統一を促す運動
ヨガ、太極拳など、精神統一を促すゆっくりした運動は更年期の症状を緩和する、と言われています。ヨガと更年期症状の研究では、ヨガを行う前と後で、30%から80%の改善が見られたという報告があり、太極拳もおよそ半分まで症状が抑えられたという研究があります。ただ、これも人によって効果が違い、多大な効果がある人と、まったく変化のない人がいるので、一概に効果的だと言い切ることはできません。瞑想、座禅など、精神統一そのものも、更年期の症状を緩和する場合があります。

運動・体重
運動の効果はもう少し複雑です。30代に活発に運動をしていた人の方が、更年期になってのぼせ・火照りの症状がひどく出る、という報告があります。では30代から運動はしない方が良いかというと、そうではありません。運動が心臓の健康や糖尿病の予防に役立つのは証明されていますから、運動はしていた方が良いでしょう。体重が多い人ほど、更年期ののぼせ・火照りがひどいとされています。これは、皮下脂肪が熱の発散を防ぐためだと考えられています。代謝が衰えてくる更年期から後に体重を健康的に維持するためには、運動が必要です。


効果が証明されなかったという研究もありますが、乳がんの治療で女性ホルモンをブロックした人たちを対象にした研究では、40%ほどの軽減が見られたという報告もあります。

(2014年5月)

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