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更年期からの女性の健康(1) 更年期のしくみ

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ナースプラクティショナー・助産師・看護学博士
押尾 祥子さん

Sachiko Oshio, CNM, PhD, ARNP

Nadeshiko Women’s Clinic

【メール】 info@nadeshikoclinic.com
【公式サイト】 www.nadeshikoclinic.com
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女性の身体は、若い頃は子供を産み育てるためにいろいろな仕組みが関わり合って機能していますが、40代後半頃から、子供を産まない身体に変化していきます。その変化を実感する期間を更年期と呼びます。人によってその変化の起こる年齢や症状は異なり、早い人は30代から、遅い人は50代後半からと、さまざまです。一番はっきりわかる変化は生理が止まること(閉経)で、その平均年齢は51歳です。更年期の長さも人によって異なりますが、閉経の前後を合わせて、平均で5年と言われています。

子供を産み育てることができる間は、生殖に関わるホルモンが、決まったパターンで上がったり下がったりするので、それに卵巣が反応して排卵が起こり、子宮の内膜が反応して規則的な生理が起こります。年齢を経るにつれて、ホルモンのバランスとリズムが変わってきます。

まず、最初に下がってしまうのがインヒビンというホルモンです。インヒビンが下がると、生理の始まり方が変わってきます。若い頃は軽い出血から始まり、2日目、3日目に出血量が増え、次第に軽くなって5-6日で終わるというのが普通です。インヒビンが少なくなると、生理の始まる前に点々と少量の出血が何日か続くことが多くなります。その後、びっくりするほど重い出血が起こり、大丈夫かしら、と思っていると、いきなり出血量が減って、あっけなく生理が終わる、といったパターンが見られるようになります。

卵胞と黄体から分泌されるエストロゲンと、黄体から分泌されるプロゲステロンも、更年期になると減ってきます。ただし、一定の速度で減っていくわけではなく、不定期に上がったり下がったりしながら次第に減っていくので、血液検査をしても、高い時もあり、低い時もあり、一回検査しただけのホルモンの値だけでは、閉経が近いのかどうか、予測することはできません。

エストロゲンとプロゲステロンは間脳に働きかけ、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌を抑える効果があります。更年期になってエストロゲンとプロゲステロンが減ってくると、それまで低く抑えられていた FSH や LH は逆に増えてきます。これも、一定の速度で増えてくるわけではなく、お互いのホルモン量に反応して、出過ぎたり、少な過ぎたりする月があります。その結果、排卵や生理が不規則に起こり、更年期に思いがけず妊娠する人も少なくありません。

こうした変化は何年にもわたって起こり、最終的に、エストロゲンとプロゲステロンが低い値、FSH や LH が高い値で安定し、閉経が起こります。次のコラムでは、更年期にどういう症状が出るのか説明します。

(2014年3月)

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