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第5回 カップルのコミュニケーション方法の違い

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カップル間の文化の差は、コミュニケーションの違いをもたらすことが多くあります。また、それぞれのコミュニケーションの方法は、それぞれが持つスタイルによっても影響されます。

例えば、私たちの習慣を説明する際によく使われるのが、トイレットペーパーの例です。日本式ではトイレットペーパーの先端を手前に設置することが多いようですが、奥に設置するという方もいらっしゃいます。どちらが正解でも間違いでもなく、それが不自然に感じられたり、不便だと感じられるのは、私たちの慣れや育った環境、固定概念などが関与しています。そのため、私たちが慣れ親しんだ、もしくは正しいと信じている方向と異なったトイレットペーパーの設置を見ると、不愉快になったり、指摘や訂正をしたくなります。相手との仲が親しくなればなるほど、訂正をする側もされる側も、より感情的になる傾向にあります。

では、自宅以外のすべてのトイレットペーパーが自分のやり方とは違う向きに設置されていたとしたらどうでしょう。「これまでの自分が間違っていたのかもしれない」と、不安になるかもしれません。誰にも相談することなく、家に帰ってすぐにトイレットペーパーを逆向きに付け替えるかもしれません。その時、自分が正しいと信じてきたことが否定されたように感じ、トイレットペーパー以外のこと、例えば石鹸の置き方や普段の自分自身のあり方や考え方まで正しいかどうか不安になってきます。

カップル間のコミュニケーションでも同じようなことが起こります。例えば、やせ細った犬を見て、とっさに「かわいそう」と思う人もいれば、「どこから来たのかな」と思う人もいます。「かわいそう」という感情が先に芽生える相手に、「まず、どこから来たのか考えてほしい」とお願いしても、簡単にできることではありません。同じように、あなたが感情を話すことが得意な場合、あまり感情を表現しないパートナーや、すぐに解決策を提案するようなパートナーとどのように接しますか?考え事や悩みがある時に、論理的に考えてその過程を話す人もいれば、結論だけを話す人もいらっしゃいます。「言わなくてはわからない」という人もいれば、「言わなくてもわかる」という人もいます。

大切なパートナーとの距離感が近ければ近いほど、このようなコミュニケーションの方法の違いによって生じた衝突を、価値観や考えの違いだと勘違いされることがあります。また、「聞いても、まったく答えてくれない」とか、「いくら言ってもわかってもらえない」と思われることもあります。それは、前述のように、犬を見た時の反応が自分と異なる人に、無理に自分と同じような反応をとるよう押し付けているのと同じことです。会話の内容の奥に隠れた深い心理や信念などを無視して、上辺だけを変えようとしても、防衛機能が働いて、喧嘩になったり、一時的な変化にしかなりません。

パートナーとの会話のすれ違いや衝突を減らすためには、相手を訂正することなく、まずはあなた自身とあなたのパートナーそれぞれの現在及び理想的なコミュニケーションの取り方、お互いの自分と相手に対する感情や考えの違いなどをよく知り、理解しあうことが不可欠です。

佐野圭子 Ph.D, LMHC, NCC, SAS
メンタルヘルス&キャリアカウンセリング
CCC Counseling & Consulting
843 6th Street, Bremerton, WA 98337
電話:(360) 328-1233
【お問い合わせ】info@cccplace.com
【ウェブサイト】cccplace.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。読者個人の具体的な状況に関するご質問は、直接ご相談ください。

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