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2022年8月:外国人がアメリカで STEM 関連職に就職する場合 – 非移民ビザのオプション

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STEMとは、Science(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の分野のことです。新しい産業や雇用機会およびイノベーションの創出において、STEMは重要なため、近年、STEM 関連職の需要が非常に高く、今後も高まり続けると予想されています。

アメリカでもその傾向は同じですが、外国人がアメリカで就職するには、ビザが必要となります。

今回のコラムでは、外国人がアメリカでSTEM関連の職業に就職する場合の非移民ビザ(一時的にアメリカに住み、働くことを可能にするビザ)のオプションについてお話しします。

もくじ

F-1 OPT(Optional Practical Training)

アメリカの大学で学士号(Bachelor’s)、修士号(Master’s)、または博士号(Ph.D.) を取得したF-1学生ビザ保持者には、移民局から許可を得ることによって、卒業後、学業の専門分野で実地訓練(プラクティカル・トレーニング) を12ヶ月受けることができます。

ただし、STEMの分野で学位を習得したF-1学生ビザ保持者は、さらに24ヶ月の延長を申請することができるため、通算3年間のプラクティカル・トレーニングが可能です。

H-1B専門職ビザ

H-1Bビザは、特殊技術や知識が必要とされる専門職に就く外国人労働者に適合するビザで、専門分野での学士号、または同程度の実務経験が求められます。 通常、アメリカの4年制大学を卒業した外国人に利用されることが多いビザですが、海外で学士号を取得している、 あるいは同程度の実務経験がある外国人労働者も対象となります。職歴のない新卒者でも申請可能ですが、その職務内容が専門分野での学士号以上の学位取得を最低条件とする専門職であることを証明しなければなりません。

会計年度(10月1日から翌年9月30日まで) におけるH-1Bビザの新規発給数には限りがあり、これをCAPと呼びます。現在、このCAPは一般枠が6万5000件、特別枠(アメリカの大学で修士号以上の学位を取得した人) が2万件と定められています。毎年申請開始直後に年間発給数の上限に到達してしまうケースがほとんどで、3年間のOPTがあっても最終年まで待たず、H-1B申請を試みるケースが多いです。なお、CAPの対象の対象にならないケースもあります。

O-1卓越能力保持者ビザ

科学・芸術・教育・ビジネス・スポーツの分野で、卓越した能力を持っている外国人に適合するビザです。

専門分野で博士号を取得し、外国人の活躍や実績が国内外で認知されていることを証明することができれば申請可能です。初回は最長3年まで、その後は1年ごとではあるものの、申請基準を満たしていれば制限なく延長できます。また、年間発給数の上限がないこともあり、滞在期間に制限のあるH-1BではなくO-1を選択するケース、あるいは、H-1Bの有効期限満期になる前にO-1ビザに切り替えるケースもあります。H-1Bよりも断然申請条件が高いですが、申請基準を満たすことができれば、有効なオプションです。

L-1国際企業内転勤者ビザ

国際企業が重役・管理職者(L-1A)、または特殊技術・知識保持者(L-1B)を、アメリカの関連会社に派遣する際に適合されます。しかし、海外で重役・管理職者、または特殊技術・知識保持者としての勤務実績が最低1年必要になります。また、海外で勤務していた会社が、アメリカの会社の関連会社(支社、子会社、親会社、合併会社など、共通の所有関係にある形態) であることが条件となっていますので、新規の雇用には適応しません。

E-2条約投資家ビザ

E-2ビザは投資条約が基盤となって発給されます。日本も米国と通商・投資条約を交わしているので、日本人は E ビザを申請することが可能ですが、少なくとも申請する会社の50%を申請者と同じ条約国の市民もしくは会社が所有していることが条件となっています。また、管理職か重役職に就く、あるいは企業の運営に必要不可欠な専門的知識・技術を持っていることが条件になっているため、直接の申請条件にはなっていないものの、実際には就労経験がない新卒での申請は難しいと考えられています。

非移民ビザは、一時的にアメリカに住み、働くことを可能にするビザですが、STEMの分野で働く方の多くは、最終的に移民ビザ(米国永住権:グリーンカード) のオプションを検討するケースが多いです。グリーンカードを取得することによって、永久的にアメリカに住み、働くことが可能になります。グリーンカードのオプションに関しては、また別の機会にお話しします。

琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
Kotokawa & Isohata, PS
6100 219th Street SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043. USA
Phone: (206) 430-5108
www.kandilawyers.com

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。

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