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2024年1月:国際企業の重役・管理職者の永住権申請 EB-1C Multinational Manager or Executive

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雇用に基づくグリーンカード申請は、外国人の能力や学歴・経歴によって、主に、EB-1、EB-2、EB-3、EB-4、EB-5という、5つのカテゴリに分かれています。

EB-1は第1優先カテゴリで、これに適合する外国人は “First Preference” と呼ばれ、グリーンカードの年間割当数は全体の28.6%となっています。

このEB-1は、さらに次の3つのカテゴリに分かれています。

  • EB-1A:Extraordinary Ability - 科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力を持っている外国人
  • EB-1B:Outstanding professors and researchers - 著名な教授と研究者
  • EB-1C:Multinational manager or executive - 国際企業の重役・管理職者

今回は、EB-1C:Multinational manager or executive - 国際企業の重役・管理職者の永住権申請についてお話しします。

このカテゴリの申請は、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)は必要ありませ。しかし、自己申請はできないため、スポンサー企業は必要です。なお、国際企業の重役・管理職者でもEB-1Aに該当する場合は、自己申請が可能なため、労働認定証もスポンサー企業も必要ありません。EB-1Aの申請条件に関しては、別の機会にお話しします。

もくじ

EB-1C申請条件

EB-1Cの申請条件とL-1非移民ビザの申請条件が似ているため、「L-1ビザが取得できたら、EB-1Cのカテゴリでグリーンカードが取得できる」と思い込んでいる方も少なくありません。そこで、L-1ビザの申請条件との違いを交えながら、一般的なEB-1Cの申請条件に関してご説明します。

  • スポンサーが国際企業のグループであること。

    アメリカとアメリカ国外に関連企業が存在しなければなりません。関連企業とは、支社、子会社、親会社、合併事業等、共通の利害関係にある形態のことです。一般的な例は、「日本の会社は親会社、アメリカの会社はその子会社」です。

    外国人労働者の国籍は関係ないので、外国人労働者が日本人だからといって、必ずしもアメリカ国外の関連企業が日本の会社である必要はありません。
  • アメリカの関連企業が、外国人労働者を重役・管理職者として雇用する予定であること。

    L-1ビザは、重役・管理職者の他に、特殊技術・知識保持者のポジションでも申請可能なのに対し、EB-1Cは国際企業の重役・管理職のポジションに限られています。
  • 外国人労働者は、グリーンカード申請前の3年間のうち最低1年間は、アメリカ国外の関連企業でフルタイムの勤務経験が必要です。

    この勤務経験は、重役・管理職者の勤務経験でなければなりません。

    Lビザの場合は、アメリカ国外の関連企業で勤務経験は、重役・管理職者でも特殊技術・知識保持者でも取得可能なのに対し、EB-1Cは、アメリカ国外の関連企業での勤務経験は、重役・管理職に限られています。

    外国人労働者が、非移民ビザ保持者としてすでにアメリカの関連企業で働いている場合は、その前の3年間のうち最低1年間にわたるアメリカ国外の関連企業でフルタイムの勤務経験が必要となります。
  • アメリカの関連企業が、創業から最低1年以上経過していること。

    この申請条件も、L-1非移民ビザの申請条件と異なります。L-1ビザの場合は、新規に設立された企業でも申請可能なのに対し、EB-1Cは、アメリカの関連企業が創業から1年以上経過していることが条件になっています。

EB-1Cのカテゴリでグリーンカードを申請する場合、その前にL-1ビザ保持者である必要はありません。申請条件を満たしていれば、アメリカ国外からもEB-1Cの申請は可能ですし、L-1ビザを申請せずに、直接EB-1Cのカテゴリでグリーンカードを申請することも可能です。

反対に、L-1ビザを保持しているからといって、自動的にEB-1Cのカテゴリでグリーンカードが取得できるということもありません。上述したように、明らかL-1ビザとは違う申請条件があります。申請条件が似ていることから、すでに重役・管理職者としてL-1ビザを取得している場合は、EB-1Cのグリーンカード申請において有利に働くケースもありますが、申請基準はEB-1Cの方が厳しいと言えるでしょう。

なお、スポンサーになれるのは、アメリカの会社です。関連企業であっても、外国の会社がスポンサーになることはできません。また、スポンサー企業は、外国人労働者の賃金を継続的に支払う能力があることを証明しなければならないため、年次決算報告書や、所得税申告書、または監査済みの財務諸表などを提出しなければなりません。

外国人労働者の配偶者と21歳未満で未婚の子どもは、外国人労働者の申請に付随して、グリーンカードを申請することができます。

琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
Kotokawa & Isohata, PS
6100 219th Street SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043. USA
Phone: (206) 430-5108
www.kandilawyers.com

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。

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