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第141回 ワシントン州のキャピタル・ゲイン税(Capital Gain Tax/資本利得税)について

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今回は、2021年にワシントン州議会で法制化されたキャピタル・ゲイン税(資本利益税)(RCW 82.87)について、簡単にご説明します。

もくじ

これまでの経緯

このキャピタル・ゲイン税は、2001年に法制化されて以来、ワシントン州裁判所でその問題点が取り上げられてきましたが、2023年3月24日、ワシントン州最高裁判所で州の憲法に反しないと判断されました。

これにより、このキャピタル・ゲイン税は、2023年4月18日を初回の納税日として徴収されることになりました。

ワシントン州のキャピタル・ゲイン税とは

ワシントン州のキャピタル・ゲイン税は、株、証券、企業への投資によって得た利益が年間250,000ドルを超えた場合、その超えた分に対して7%を課税するというものです。

例えば、S-Corporation、LLCやPartnershipの所有者が投資への利益を受け取ったとしましょう。IRSに税金申告をする際、K-1として報告する長期キャピタル・ゲインは、ワシントン州外で得たものと見なされない限り、ワシントン州のキャピタル・ゲイン税の対象となります。

また、トラストの譲与者がトラストを通して売買して得た長期キャピタル・ゲインも、ワシントン州のキャピタル・ゲイン税の対象となります。

対象とならないキャピタル・ゲイン税は?

一般的に、不動産の売買、家畜の売買、家族所有のビジネスなどで得た利益は例外となり、このキャピタル・ゲイン税の対象とはなりません。

また、寄付(100,000ドルが上限)やワシントン州外での資産売買や長期投資によって得た利益は対象となりません。

ワシントン州のキャピタル・ゲイン税の納め方

ワシントン州のキャピタル・ゲイン税は、IRSに提出する納税書に添付して州に報告し、納税します。

IRS に提出した納税額や納税書に変更がある場合、IRSだけでなく、ワシントン州にもその変更を報告する義務があります。

また、特別な理由や質問がある場合は、書類を提出する前に、ワシントン州政府に質問することもできます。ただし、州政府は個人に対してアドバイスはしないため、このキャピタル・ゲイン税の対象となる可能性のある方は、税法専門の弁護士や監査専門の公認会計士に事前に相談することをお勧めします。

ワシントン州財務局
Request a tax ruling | Washington Department of Revenue

なお、このキャピタル・ゲイン税は法制化されて間もないため、納税方法や納税対象自体あいまいな部分があり、解釈が複雑です。また、例外に関しても変更される可能性があります。

従って、ワシントン州議会では今後もその見直しをめぐって、引き続き議論がなされると思われます。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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