MENU

第123回 賃貸契約書の種類と借主としての主な注意点

  • URLをコピーしました!

賃貸契約書には、商用事務所賃貸契約と住宅賃貸契約があります。

ワシントン州では、住宅賃貸契約を規定する法律(Residential Landlord-Tenant Act)によって、契約内容や家主や借主の責任や義務等に関する規定が制定されています。

それに対し、商用事務所賃貸に関する規定は特にありません。従って、商用事務所賃貸契約を交わす際、一般的に、会社経営者/借主は家主から渡された商用賃貸契約書内容を細かく確認し、条件や規制に関して法的観点から交渉をする必要があります。

どの部分をどの程度まで交渉するかは、賃貸物件が人気のある物件か、または家主の方針や両者の利害関係によります。一般的に、賃貸契約は家主に有利な内容になっており、特に商業事務所賃貸契約は非常に細かい内容まで規定され、多くの条項が組み込まれています。

それらの多くの条項の中で、特に借主が注意するべき点は、1)入居前の既存の欠陥・問題、2)賃貸中に建物構造に問題があった場合の責任、3)他の借主と共用する敷地の支払い分配、4)借主の修理や改修の了承と範囲、5)賃貸料以外に発生する料金の内訳(例えば、財産税や維持費)、6)また貸しをする際の制約やその規定、7)天災等不可抗力の事態が発生した際の賃貸契約の継続有無や選択権、8)家主と借主の異議による法的問題解決を必要とした際の解決方法、9)家主が契約違反をした場合の借主の選択支、10)家主が借主の事務所を検査するために立ち入る権利などです。

一般的に、日常の経営に影響する賃貸料と滞納の際の延滞料に注意しがちですが、上記の内容に関する交渉を怠ると、万が一、問題が発生した場合、借主は非常に不利な立場におかれます。家主によっては、他の借主との関係を考え、一人の借主に例外として交渉の余地を与えることを嫌いますが、借主としてできる限り交渉・契約改定を求める努力をすることをお勧めします。

なお、住宅賃貸契約を規定する法律(Residential Landlord-Tenant Act)では、家主と借主の義務と権利が規定されているため、一般的に賃貸契約が簡易なものでもワシントン州法によって両者の立場が法的に保護されているので、法的問題解決の際借主が一方的に法的に不利になることはありません。ワシントン州法で明確に規定されていない条件を追加したい場合、例えば、家主が賃貸家屋修理などで立ち入る際の通告期間、問題解決の方法、修理内容や支払い義務、ペット料金などの覚書を追加する場合は、賃貸契約書にそれらを記載することによってより明確な関係維持が可能になります。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

  • URLをコピーしました!

この記事が気に入ったら
フォローをお願いします!

もくじ