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第136回 ワクチン接種に関する業務方針についての緊急暫定基準

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2021年11月5日、労働安全衛生局(Occupational Safety and Health Administration:OSHA)は、企業がワクチン接種に関する方針を定めた緊急暫定基準(Emergency Temporary Standard)を発表しました。

対象となる企業:従業員数100人以上(会社全体の人数)
対象となる従業員:オフィスに出勤するフルタイムの従業員
対象外の従業員:フルタイムでリモートや屋外で勤務する従業員

この暫定基準案では、ロケーションにかかわらず企業全体の従業員数が100人以上の企業に対し、従業員にワクチン接種に関する方針を書面で通知することが義務付けられています。

ワクチン接種に関する方針を設定することによって、各従業員に就労上の義務と期待を明確化し、特に差別に関係するような従業員からの苦情や法的アクションの可能性を抑えられることから、従業員数が100人に満たない企業でもワクチン接種に関する方針を設定することが強く勧められます。

もくじ

ワクチン接種に関する方針の従業員への通知

ワクチンに関する方針は、従業員規定と同じような扱いで、書面で各従業員に配布する必要があります。その際、ワクチン接種の方針に加え、Centers for Disease Control and Prevention(CDC:疾病予防管理センター)の規定、COVID-19に関連した差別や報復を禁止する労働安全衛生局(OSHA)の規定、ワクチン接種証明の偽造犯罪と処罰に関する情報も通知する必要があります。CDCの規定については、こちらのリンクをご覧ください。

CDC: Key Things to Know About COVID-19 Vaccines

労働安全衛生局(OSHA)が認める主なワクチン接種に関する方針と対応

雇用者は従業員に1)ワクチン接種を義務化するか、2)各週COVID-19の検査を受け、職場でマスクの使用を義務化することができる。新入社員には、入社前にワクチン接種を受けさせるか、COVID-19の検査を受けさせる。

なお、従業員にワクチン接種を義務付ける場合、ワクチン接種が可能な健康状態かどうか、ワクチン接種を遅らせる必要のある健康上の理由があるかどうか、宗教上の理由や障害が理由でワクチン接種が禁止されていないかどうか、確認する必要がある。

上記の1)か2)のどちらかの選択をする際にも、雇用者は従業員がワクチン接種のために休暇を取る必要がある場合は有給休暇扱いにすること、ワクチン接種をしていない従業員や検査で陽性判定が出た従業員をオフィス業務から離すこと、企業のワクチン接種に関する方針に従わない従業員には自制(罰)を与えること、COVID-19検査結果を速やかに提出しない従業員は結果を提出するまでオフィス業務から離すことが求められる。

ワクチン接種のための休暇

雇用者は、従業員にワクチン接種のため有給休暇を与える際、最高4時間まで(2回分の場合は8時間まで)与える必要があります。接種のための有給休暇は、病欠扱いにはなりません。ただし、ワクチン接種後に副作用があったために欠勤した場合は、通常2日まで病欠扱いを許可することが求められています。

なお、従業員によってはADA(身体障害者法)上、または育児介護休業法上でさらに休暇を与える必要があることも確認する必要があります。

従業員のワクチン接種の有無を確認する方法

従業員がワクチン接種の有無を証明する方法は、次の5つがあります。

  1. ワクチンを接種した証明を薬局から入手して提出する。
  2. COVID-19 Vaccination Cardを提出する。
  3. かかりつけの病院から接種証明に関する記録を入手して提出する。
  4. 州が管理するワクチン接種記録を入手して提出する。
  5. その他の政府機関から発行されたワクチン接種の証明となる記録を入手して提出する。

従業員は、上記に挙げた証明書を紛失した場合は、ワクチン接種を受けたとの陳述書を書面で雇用者に提出することも可能です。なお、雇用者はこれらの従業員のワクチン接種証明書を機密書類として扱う必要があります。

新型コロナウイルス検査の結果が陽性の場合

雇用者は、新型コロナウイルス検査の結果が陽性となった従業員をオフィス業務から速やかに外すことが求められます。

従業員がオフィス業務に戻るためには、検査を受けた病院または医療関係者からの陰性証明、またはCDCの規定に従っていることを証明する必要があります。CDCの規定には、従業員がCOVID-19の症状が始まって10日が経過したか、最低でも24時間発熱がないこと、などがあります。

雇用者は、陽性結果が出たために休暇を取った従業員に対して、この症状による特別な有給休暇を与える義務はありません。

規定違反の際の罰金

最後に、本規定に関する違反に対しては、$13,653から$136,532の罰金が課されます。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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