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第34回 勤務先で問題が発生した場合の対処の仕方

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労働法・雇用法とは

第5回第18回のコラムでお話した解雇の際の問題と説明に関連して、今回は、勤務先で雇用者または同僚と問題が発生した場合の対処の仕方を1から6の段階別にご説明します。

  1. まずは問題を突き詰めることが大切です。同僚や雇用者との単なる喧嘩や誤解等ではなく、法律問題と直接関係があることを確かめます。下記のようなことが起こった場合、法律問題に関係する可能性があるので、2のステップに行くことになります。なお、下記の内容が一時的ではなく習性的でなければ、たいていは法的問題にまで達しません。
    • 勤務時間が異常なほど長時間である。または出張が異常に多い。
    • 同僚や上司から嫌がらせの言動がある。または無視される。
    • 病気やけが等でも休暇の許可が下りない。または職場での配慮がない。
    • 休暇から戻ってきたら、自分のオフィスの環境が悪くなっていた。
    • 社外で同僚や上司と行動を共にしないため、社内での対応が悪くなった。
    • 業績を上げているのに昇格・昇給しない。
    • 同僚よりも給料が少ない。または最近、減給があった。
    • 意思の疎通の欠陥を言葉の問題として中傷される。
  1. 次に、自分の立場と状況を把握します。たとえば、a)問題のあった相手が自分の上司・会社責任者で、自分よりも権限のある相手か、b)問題の相手が自分を日本人(外国人)として意識して言動しているか、c)自分は妊娠しているか、または慢性的な病気やけがをしているか、d)自分は女性で、問題の相手は男性か、e)自分は日本人で、問題の相手はアメリカ人か、または職場の大多数がアメリカ人か、f)自分は40歳以上か、といった、自分の位置づけです。
  1. もし、1のいずれかと2のいずれかが自分の状況にあてはまるなら、法律に関わる可能性があるので、この時点から問題の相手との連絡をできる限り電子メール等で残すようにし、口頭でのコミュニケーションについては問題が起こった日時と内容を正確に記録するようにします。
  1. 会社との雇用契約書と社員手引きを読み、会社が社員に対して保護できる内容について確認します。もちろん、こうした契約書や企業の資料は問題が起きる前に知っておくことが望まれますが、問題が発生した時点でさらに注意深く内容を確認します。たとえば、雇用契約書に雇用条件やそれに対する報酬と条件が明記されていた場合は、自分がそれに違反していないか、また自分が特殊な雇用関係を会社と結んでいないか等を確認します。また、アメリカ企業の社員手引きには必ず差別禁止条項、公正な賃金体系、福利厚生の仕組み、いじめや問題等があった場合の手続き・対処の仕方も記載されています。
  1. 会社の人事課の責任者か、雇用者と相談する。会社の規模によっては雇用者に直接相談することもありますが、たいがいの社員手引きには人事課(HR)への報告が規定されています。その際、自分の報告メモを提出します。ただし、人事課や雇用者に相談する前に、問題のあった相手と和解する努力が必要です。最初から法的手段や雇用者・責任者を巻き込む方法をとると、簡単に解決できた問題をかえってこじらしてしまう可能性があります。また、こうした報告を頻繁にするようになると、会社側は「実は本人に問題があるのでは」という疑いを持ちかねません。
  1. 弁護士に相談します。もし、1から5までの手順を踏んでも状況が改善されない、または会社が行動を起こさない、そして問題が法的問題、たとえば差別、極度の嫌がらせ、報酬・賃金に関する問題だと判断したら、弁護士に相談します。この段階になると問題は非常に大きくなっていますので、弁護士が会社を相手に話を進めます。
    なお、雇用者自身が1に記載した内容に加え、違法雇用・解雇や賃金支払い滞納等の違法行為をすることもあるので、その場合は上記のステップを踏まずに弁護士に直接相談します。
    以上、被雇用者としての問題解決の方法をご説明しました。会社側も、こうした問題を防ぐために、連邦・州の雇用法に従って被雇用者(契約社員も含む)に対応し、しっかりとした社員手引きを作成して雇用問題の対策を立てれば、被雇用者相手の法律問題を避けることができるでしょう。
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