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第117回 訴訟と直接関係のない事柄についての尋問への対応

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今回は、訴訟の際の証拠開示で、当事者または証人として尋問を受けた時の回答方法と、回答の範囲について、いくつかの例を挙げて簡単にご説明します。

まず、いったん訴訟が始まると、証拠開示の手続が始まり、 当時者または証人は書面での宣誓書または口頭での宣誓にて尋問を受けることがありますが、相手からの尋問には正直に回答しなければなりません。つまり、自分の知っている限りの事実を述べる義務があるということです。

尋問に対する回答については、裁判所規定、弁護士協会倫理規定、州法・連邦法等に基づいて進められ、自分が経験したことや事実を間違って証言したり、嘘をついたり、隠したりすると、裁判所から叱責されることがあります。また、他人から聞いた話(hearsay) や推測などは信憑性がないため、一般的に裁判所から認められる陳述ではありません。さらに、仮に自分の知っている内容について正直に回答したとしても、相手側が自分の都合のいいようにその情報を利用し、自分が不利な立場に置かれることもあるため、尋問の内容と回答の範囲に関しては、上記の規定・法律をよく理解する弁護士と十分相談したうえで回答する必要があります。

たとえば、証人と弁護士が話した内容(attorney-client privilege)を聞き出す尋問や、不当な理由(例えば、証人に嫌がらせをする目的)による尋問、裁判を有利に進めるための戦略として威嚇目的での尋問は、裁判所規程違反とされており、回答を避ける必要があります。

特に、日本人の証人に対してよくある不適切な尋問は、移民ステータスや、犯罪歴に関するものです。

たとえば、企業経営者として就労ビザを取得して採用したアメリカ人の従業員を解雇した場合に、従業員から「アメリカ人に対する差別だ」という理由で、訴訟を起こされる日本企業は少なくありません。その際、日本人の企業経営者の移民ステータスを確認するような尋問は、問題と直接関係がなく、嫌がらせや脅し、訴訟を一方的に有利に進めることが目的である限り、ワシントン州弁護士教会倫理規程法上(RPC4.4)によって禁止されています。

これらの不適切な尋問は、裁判所規定に基づいた「反対」「異議」を唱えることによって、回答することを避けることができます。ただしその異議や反対に対してあいて側が反対をした場合は、裁判所を通して尋問内容が正当であることを証明しなければなりません。

このように、訴訟専門の弁護士のアドバイスをもとに、回答する必要がある内容と回答すべきでない内容を判断し、裁判の動向と戦略を決定するようにしましょう。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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