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第19回 I-9 Form に関わる差別問題を防ぐための注意点

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2009年より、I-9 Form の内容と手続きが新しく変更されました。変更の内容としては下記などが挙げられます。

1) すべての雇用者が新しく採用する被雇用者に I-9 Form の記入を義務づけること
2) 契約社員・季節労働者の I-9 Form を労働許可証の期限が切れた時点で更新すること
3) パスポートなど、提出書類が有効であること

雇用者は、この I-9Form を新入社員を採用してから最低3年間、その新入社員または既存の被雇用者が会社を辞めてから1年間は、保存する必要があります。さらに、移民局が企業の被雇用者の身分を証明することを要求した場合は、90日以内にI-90 Formを被雇用者に提出させる必要があり、この I-9 Form に関わる規則に従わない企業は、刑法による罰則の対象にもなります。また、提出された I-9 Form を基に被雇用者を差別した企業には罰金が課されます。従って、企業としてはこの規則に関する情報を社員規則に列記しておく必要があります。

さて、今回はこの I-9 Form に関連した差別の訴訟が最近増加しているため、採用時に雇用者が被雇用者に提出を求める書類(I-9 Form を含む)とそれに関わる差別(これを “Document Abuse”(公文書の乱用)と呼んでいます)を防ぐための注意点をご紹介します。

  1. I-9Form は採用以前に記入を求めないこと。もし I-9Form の記入を面接時・採用前に求めてその後採用をしなかった場合、志願者から差別的な理由で採用しなかったとして訴えられる可能性があるからです。また、「I-9 Form を提出しなければ採用しないという」条件を出した場合も問題になります。
  2. 採用前にグリーンカードの提出は求めないこと。もしグリーンカード保持者を採用し、ビザを必要とする人を採用をしなかった場合、国籍による差別とみなされることがあります。
  3. 被雇用者に余分な書類の提出を求めないこと。これは採用以前でも採用後でも差別と見なされることがあります。特に、あるグループの被雇用者に特別な書類提出を求めた場合は、これ自体が差別として判断されることがあります。一例として、Tropicana Hotel & Casino in Atlantic City, New Jersey という企業がこの差別待遇で司法省から民事処罰として75,000ドルの支払いを求められました。
  4. 米国民を正式採用しておいて、同じ技術と能力を持つ外国人を短期契約採用にしたり不採用にしないこと。同じスキルを持つ労働者に対しては、同じ扱いをすることが鍵です。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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