“contempt” とは、法律用語としては一般的に、裁判所命令を無視または侮辱するような行為に対して使用されます。法廷命令違反行為に対する制裁方法には主に、刑事上のものと民法上のものの2つがあります。
一般的に、民法上の裁判命令違反行為に対しては、違反者に対して、 命令内容を再確認するとともに、命令に対する拘束力を確認するために経済的な制裁処置をすることが一般的です。一方、刑事上の犯罪者の違反行為に対しては、従前の命令とは別に制裁処置がなされ、違反行為自体が刑罰にも大きく影響します。
今回は、日本人に多く見られる民法上違反行為についての例を挙げながら、簡単にご説明します。
- 離婚 民法上の 不服従罪は、離婚訴訟に多く見られます。例えば、離婚が成立し、離婚判決が裁判所からなされると、裁判所提出資料の中に、両人が署名をしたParenting Plan、Order of Child Support、Property Agreement 等があります。その内容に反する行為があると、相手側、つまり元夫または元妻側から裁判所命令違反行為に対する制裁の申請書が提出されることがあります。日本人の間では、Parenting Planを通して元妻と元夫が子供の養育権を平等に持つことを約束しているにも関わらず、妻が子供を連れて米国を離れ、米国に住む元夫から子供に会う権利を奪うケースが多く見られます。また、元夫または元妻が養育費の支払い義務を怠った場合も、同様に不服従罪として扱われます。
- 共同経営 その他の例として、ビジネスを経営する共同経営者同士の訴訟では、法律に従って相互の権利を守る裁判所命令を出したにも関わらず、一方の経営者が経営に必要な資料や情報を隠したり盗んだりする場合があります。こうした行為は命令違反と見なされ、問題を起こした経営者のみならず、それに便乗した弁護士も制裁されることがあります。
- 訴訟での証拠開示 また、訴訟のディスカバリ(証拠開示)の過程で起きるケースもあります。自分が不利にならないよう、はっきりとした理由もなく、また保護命令の申請書も提出せずに、「証拠の開示ができない」と返答した場合です。 通常、証拠の開示を求める弁護士が相手側に資料/回答の提出を求める申請書をまず裁判所に提出しますが、その後、裁判所が提出を求める命令書を出したにもかかわらずそれを拒んだ場合も不服従罪と見なされます。
- 借金 借金の支払いを滞った場合も同様です。 破産宣告をしない限り、裁判所命令で定められた期日までに支払いをしなければ、制裁を受けることになります。
不服従罪が確定したにも関わらず、それにも従わない上、罰金の支払いもせず、さらに無視または反抗した場合は、仮に民法上の問題でも、刑事事件と同様に扱われ、刑務所に拘置されることもあります。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
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