ワシントン州認定ソーシャルワーカー
角谷 紀誉子さん
2019年3月15日付で、コンサルティングのサービスは終了しました。
【公式サイト】 www.successabroadcounseling.com
現在ロサンゼルスの医療系大学に留学している主人が、学校生活のことで悩んでいます。希望を抱いて日本から二年前に留学し、やっと今年から希望する大学生活をスタートさせたのですが、英語の実力の無さから授業になかなかついて行けないことや友人を作れないことで自信を失っています。英語の出来ないことは承知していながらも、先生や同級生とのコミュニケーションを取ることがなかなかうまく出来ず、あまりの不甲斐無さに悩む毎日です。大きな希望を抱いてここに来ましたが、今は学校へ行くことが辛く、夢がどんどん遠くなってしまうのではないかと不安に襲われる日々です。私としては、このままがんばって夢を実現して欲しいのですが、悩む主人の背中を押してまで進ませることにどうするのがいいのかと考える毎日です。主人は人一倍物事に対して気にする性分のようで、何かあるとすぐ下痢をしてしまいます。最近は下痢が続いているようで、これも一種の神経性のものなのかと余計気がかりになります。このまま志半ばで諦めて欲しくないのですが、私ができるアドバイスはないでしょうか?
回答:留学は華やかで素晴らしいものに聞こえますが、実際は、ほとんど毎日が孤独、プレッシャー、焦り、自己嫌悪の連続です。ご主人が今苦しんでいることは、留学生が通らなければならない苦労の道です。でも、この苦労は将来のために彼が自ら引き受けようとかって出たもので、留学を成功させれば彼の未来は普通の人とは違ったレベルに上がれるのです。英語ができない、アメリカの社会のシステムがわからない、どこへ行っても自分が幼児のように感じられる惨めさ。ホームシックも手伝い、辛さ、淋しさ、自己不信が、「留学してがんばるぞ」という夢や希望を色褪せたものにしてしまい、途中であきらめて帰国して行く人はいくらでもいます。
少しでもこの状態をよくするためには、彼が日本語で話せる人と心の中にあるイライラや辛さを語り合うこと、彼が欲しいものを持っている人(すでに医療系大学で留学を終えた日本人)にアドバイスをもらうこと、そして、あなたもアメリカで何かを見つけて始めることです。仕事をするというのではありません。あなたの関心、愛情、心配がすべて彼に注がれていると、今の状態の彼はもっとプレッシャーを感じるかもしれないからです。
そして、英語にハンディのある留学生が、日本での友人と同じような深さの人間関係をアメリカ人に求めるのは現実的にまだ無理です。たぶんとても「浅い表面的な」人間関係しか、初めのうちは作れないでしょう。3年、4年と一日一日を生きていくことで、友人は少しずつ増え、深い友情が芽生えていきます。
最後に、彼は人一倍物事を気にする人かも知れませんが、ロサンゼルスの医療系大学に留学しようとするくらい、能力も度胸もある人なのです。アメリカの学校生活に慣れるにつれて、本来の彼の強さは再び現れてくるはずです。今が一番、辛い時期だと覚悟してください。これを乗り越えれば楽になって行きますよ。
掲載:2001年12月
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。