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アメリカにおける、障害のある人へのサポート・システムについて

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Studio Mene and Counseling Services
高田 Dill 峰子さん

Mineko Takada-Dill, MA, LMHC, ATR
カウンセリング:
Rockwood Office Park
1409 140th Place NE, Bellevue, WA 98007

アート・セラピー・スタジオ:
7048 27th Avenue NW, Seattle, WA 98117
【電話】 (206) 276-4915
【メール】 info@studiomene.com
【公式サイト】 jp.studiomene.com
詳細プロフィールはこちら

高田さんへのご質問はこちらからお送り下さい。

障害のある子供さんをお持ちの家族の会で、日本語での子育てをサポートする会 『NIKO の会』 は、この夏で3周年を迎えます。

メンバーの子供さんがティーンから成人になる準備の一環で、このたび、現メンバーの数名を中心に『大人の会』 を立ち上げ、先日、Open Doors for Multicultural Families の大森さんのご紹介で州と郡の職員の方2名と話しあいの場を持つことができました。

障害のあるなしに関わらず、アメリカで暮らしていくには、子供がティーンになった頃から、将来の大学や職業の選択以外に、「どのように子供の独立を促していくか」を考えることがとても大切です。たとえ、子供に障害があっても、子供のさまざまな面での独立に向けて準備をすれば、将来の可能性が開けるものです。

ただ、アメリカでは、待っているだけでサポート組織が助けてくれることは、まずありません。子供が14歳になるぐらいから、親が率先してさまざまな準備を始める必要があります。

同時に、子供自身の独立のための心構えを育てることも大切です。今回ご紹介する組織は、子供が幼い時も条件がそろえばさまざまなサポートをしてくれますが、できるだけ早いうちに申請しておくと、将来相談できる場所を確保することになります。

DDADevelopmental Disabilities Administration の略で、障害のある人が社会に参加したり、障害のある人の家族へのサポートを促進する州の機関です。
公式サイト:www.dshs.wa.gov/dda

DDA のサポートが受けられる障害には以下のカテゴリがあります。

  • 知的障害(IQ が69以下)
  • 脳性まひ
  • てんかん
  • 自閉症(DSM 5 Code 299.00 自閉症スペクトラムの診断名と Adaptive Functioning Assessment-社会適応力の検査で69以下)
  • その他の発達障害や脳神経関係の疾患

注:DSM は心療内科で使われる診断を決めるマニュアルです。

医師の診断、サポートが必要であることを示す書類などが必要で、基本的には長期のサポートが必要な人向けの機関です。アメリカ市民でない場合、グリンカードを所持し、発行から5年以上たっていないと、要請する権利は発生しません。

自閉症関係では、DSM-IV のマニュアルが使用されいた時に診断を受け、アスペルガー症や PDD-NOS との診断をもらった場合、再検査をしてもらいます。そして、2013年に改正された新しいマニュアルの DSM-5の自閉症スペクトラム(Autism Spectrum)があるとの診断がおりないと、DDA のサポートを受けることはできません。つまり、自閉症スペクトラムと診断されても、知的障害がない場合はサポートは受けられないと言えます。また、知的障害があっても、社会適応力があれば、サポートが受けられない可能性もあります。

州の DDA に申請書を提出した後、Planned Action Notice という、DDA 側の意見書のようなものが送られてきます。ちなみに、この申請書には法的には90日以内に回答が送られてくることになっていますが、州政府の人材不足により、現在は申請から半年かかるようになっています。その中にどのようなサポートの対象になるか、またそれ以外のサポートを却下されたかの説明が記載されています。結果に納得できない場合、Due Process という再検査を申請することができます。

最近の調査で、ワシントン州内でも1500人以上の障害者が DDA のサポートを受けられる資格があるにも関わらず、資金不足が理由でサポートを受けられていないとの状況が発覚したため、まずは新たに5000人を対象とした資金が確保されました。必要とされる DDA のサポートの規模を州政府に把握させ、交渉を成功させるためにも、早いうちに DDA にサポートを申請することが大切です

DDA を通しての Individual Family Services は、市民権やグリンカードを持たない障害者のためのプログラムですが、サービスを受けるのを待っている人が多く、また、障害の度合いやサポートの必要度ではなく、申し込み順となっています。

以下はその他に知っておくとよい情報です。詳細はまた別の機会にご紹介します。

連邦政府が提供する資金で運営され、サービスを受けられる人を選別する州政府の DDA に対し、King County DDD(Developmental Disabilities and Early Childhood Supports Division)は、障害のある人に直接サポートを提供する、さまざまなサービス提供機関を運営しています。
>> kingcounty.gov/depts/community-human-services/developmental-disabilities.aspx

King County DDD が関わっているプログラムには、Early Intervention、または Birth to Three と呼ばれる、0歳から3歳までを対象にしたプログラムがあります。キング郡内に12の機関があり、EEU、Boyer Children’s Clinic、Kindering Center、NW Center、IFSP などがその中に含まれます。

子供が3歳になると、ここで受けたサービスは学校区に移行され(IEP)、必要な場合は21歳まで継続されます。

King County DDD は就職斡旋(Employment Services from King County)も行っており、キング郡内には28の機関があります。これは、州の機関である DVR(Division of Vocational Rehabilitation)、障害があるため仕事を見つけるのに支障がある人のためのプログラムと関連しており、短期でサポートを受けられます。

SSI(Supplement Security Income)は連邦政府の管轄で、障害があって働けない人に生活費の援助と、Medicaid と呼ばれる医療保険を提供してくれます。子どもが18歳以下の場合や家族の収入が基準額を超えている場合、生活費の援助は受けられません。

SSA は、一度は働いたことがあるものの、後から障害を持つことになった人向けの生活援助金のことで、そこからもらえる医療保険は Medicare と呼ばれます。

NIKO の会』 のモットーは、「忙しくて大変だけれど、少しずつでも自分でできることをし、助け合おう」。NIKO の会の『大人の会』では、DDA の申請のワークショップをする予定です。障害のある子供さんを抱えておられる方からの、ご連絡をお待ちしております。

協力:大森さやか(Open Doors for Multicultural Families
江村文子(NIKO の会コアメンバー) NIKO の会

掲載:2014年6月

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