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パンデミック【体験談】(1)「在宅勤務と子育ての両立にチャレンジと工夫の日々」 フリーランス 渡辺佑子さん

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遊具の使用が禁止された公園

新型コロナウイルスのパンデミックで、ワシントン州では2020年3月から経済活動・社交に規制のある日々が続いています。日々の生活はどのように変化しているのでしょうか。

今回は、ジャングルシティで『シアトルのスタートアップ』取材記事を担当してくれている渡辺佑子さんに聞いてみました。

– 自宅待機命令では、生活はどのように変わりましたか?

自宅待機命令が出るかなり前から、夫と私の勤務先は在宅勤務に切り替わり、その後、6歳の娘が通っていたキンダーガーテンが休校になりました。その後、3歳の息子が通っていた保育園への通園を自粛するようになり、今では夫と私が遠隔勤務を続けながら、子供2人の面倒をみる日々が続いています。

夫も私もテクノロジー関係の仕事をしていて、日頃から遠隔勤務には慣れているので、仕事に影響はほとんどありません。ただ、子供2人の面倒を見ながらフルタイムで仕事をするというのは人生初の経験なので、その点はかなり右往左往しています(笑)。

食料品の買い物は、人混みを避けるために早朝に夫が一人で出かけるようになりました。もともと、買い物は週に1回食料品をスーパーでまとめ買いする程度。なのでペースはあまり今も変わっていませんが、しっかりリストを作って買い出しに出かけるようになっています。

他の変化と言えば、週末にお友達とプレイデートしたり、通っていたジムやヨガのクラスに行くことがなくなったことでしょうか。でもその代わり、オンラインでプレイデートやハッピーアワーをしたり、お友達とチャットや電話をしたりする時間がとても増えました。

– 子連れで外出するときは、どんな時ですか?何に気を付けていますか?

家族で自転車に乗ってグリーン・レイクを一周

1日に1回は必ず家族で近所に散歩に出ることにしています。家族で自転車に乗ってグリーン・レイクを一周したり、近所をぶらぶら散歩したりしています。

でもそのくらいですね。公園の遊具も使えませんし、お店に入ることもできないので、サイクリングと散歩くらいしか子連れで外出するところがありません。

このあたりでは、誰もが社会的距離を取ることにとても気を使っているように感じます。道で誰かとすれ違う際も、どちらかが反対側の歩道に移動したり、車道にはみ出たりするので、人と近づくことが基本的にありません。

そのため、今のところ特にマスクや手袋をしたりはしていません。でも家に帰ったら、全員手洗いは念入りにするようにはしています。

– デイケアや学校も閉鎖となって、自宅ではどのように過ごしていますか?

夫婦共に働きながら幼い子供2人の面倒を見るというのは、どう考えても無理があります。数日やってみましたが、家族全員イライラしっぱなしで一日が過ぎていきました(苦笑)。

そのため、途中から夫が週に1回有給を取り、それを1日2時間弱ずつに分けて使い、時短のような働き方に変えることにしました。

朝6時からお昼頃までは夫が部屋にこもって集中的に仕事をし、私は仕事をしながらタブレットやDVDを使いながら子供の面倒を見ています。お昼のあとは、私が仕事に集中して、代わりに夫が子供たちとサイクリングに行ったり、庭で縄跳びをしたりして遊んでいます。

振り返ると一番大変だったのは「明日どうなるかわからない」というフェーズだったと思います。明日会社に行けるのか、保育園に行けるのか、またどういう状況だったら行けるのか、行けなかったら誰がどうやって面倒を見るのか、という複数のシナリオのシミュレーションをするのは、とても大変でした。

なので、今年度は学校がもう開かないと聞いた時には、正直安堵感を覚えました。今後どうなるかわかれば、対策もできますからね。

– お子さんは勉強したりしていますか?

正直言って、あんまりしていません(笑)。

学校からはいろいろな先生からメッセージやリソースが日毎に送られてきて、とても感謝しているのですが、あまりにたくさんメールやメッセージが届くので、正直、親がついていけていません。

まだ子供も幼いので、課題をひとつやるにも親がセットアップをして、指導しないといけません。仕事しながらそれをやろうとすると、どうにも自分のストレスになるので、それならいっそ諦めてしまおうと。(先生ごめんなさい!)

その代わり、東海岸に住んでいる中学生と高校生の甥っ子たちに、毎日1時間スカイプで算数と英語を教えてもらっています。わずかながらお礼を払っているので、向こうも家から続けられるアルバイトとしてありがたがられています。お互いの親も、自由な時間ができて助かっていますし、こんな機会に遠くのいとこと仲良くなれるのも素敵だなと思っています。

– 家にいる時間が長くて、ストレスはたまりませんか?

テクノロジーを使う時間が圧倒的に増えたのはストレスの原因になっている気がします。仕事の会議も増えましたし、オンラインのイベントも毎日のようにあります。子供がタブレットを使う時間もあまり長くしたくないのですが、静かに遊んでいてもらえるのは助かるし・・・。あると助かるけど、あまり使いすぎるのも良くないので、コントロールしないといけない。そこが、ストレスフルに感じます。

あとは、全員朝昼晩3回家で食事をするので、作って食べて掃除して、をエンドレスにひたすら繰り返している感じがしますね(笑)。地元企業のサポートも兼ねて、週に最低でも2回は近所のレストランからテイクアウトすることにしていますが、家計的にも毎日そうするわけにはいきませんし。

家族と四六時中顔をつき合わせているのがストレスになるという問題は、夫と私でシフト制を取り入れたことで解消できていると思います。扉を閉め切って作業に集中する時間が少しでもあることで、1日の生活にメリハリがつけられている気がします。

– キメの一言をお願いします。

自分でこんなことを書いていて何ですが、他の家族がこうして過ごしている、とか、お友達はおうちでこんな勉強の仕方をしている、などという情報は極力気にかけないよう心がけています。

こんなこともできるからやりたい、やらせたい。でも、仕事が入っていてできない・・・というのが何回か続くと、すぐに気が滅入ってしまいます。こんな状況下で気が滅入ると、回復するのは至難の技なので、そうならないようにメンタル面に特に気をつけています。

周りの状況は刻々と変わっていくし、その中でできることもみな違う。だからこそ、他の誰かと比べるのではなくて、自分自身が気楽にできて楽しいと感じる、その感覚を研ぎ澄ませて、それを頼りに生活したいと思っています。

– 家庭や住環境はそれぞれですし、また、広いアメリカではその地域での状況も異なるので、他の家族のことを極力気にかけないというのは大切な気がします。友達と会えない、なんでもオンライン学習ばかりだと、子どももストレスがたまってしまいますよね。自分の子どもと丁寧に向き合っていこう・・・と改めて思いました。ありがとうございました。

掲載:2020年4月 聞き手:オオノタクミ



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