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「自分の好きなことを自信を持って追いかけて」グーグルの技術者・岩尾エマはるかさん 円周率のギネス世界記録を更新!

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岩尾エマはるかさん

円周率のギネス世界記録を更新した、岩尾エマはるかさん

「円周率の日」(Pi Day)として知られる3月14日。今年は、「グーグルの日本人技術者が円周率のギネス世界記録を更新した」というニュースが世界を駆け巡りました。その日本人技術者とは、グーグルのシアトルオフィスに勤務している岩尾エマはるかさん。高校の担任に文系の学部を勧められ、大学で教育系の学部に進学したものの、大学教授からのアドバイスで幼い頃から好きだったコンピュータの分野に転向し、現在はクラウド・デベロッパー・アドボケイトとして活躍しています。一般には「3.14」で知られている円周率にはパターンがないため、桁を増やすのは非常に困難だそうですが、岩尾さんらは25のクラウド上の仮想マシンで y-cruncher と呼ばれるアプリケーションを使い、約121日間で9兆桁近い更新を実現しました。岩尾さんにメールでお話を伺いました。

– 今回の計算では、小数点以下約31兆4000億桁まで計算されました。

はい。正確には 31,415,926,535,897桁まで計算しました。円周率の最初の14桁になります。前回の記録は約22兆桁なので、9兆桁近い更新です。

– 12歳のときに円周率に興味を持ったということですが、なぜ、どのようなことに興味を持たれたのでしょうか?過去の日本人の円周率の記録保持者にインスピレーションを受けましたか?

(円周率について)小学校の算数の授業で学んだので、身近な数字だったことと、その中で小数点以下の数字が繰り返さずに無限に続くところが不思議に感じられました。日本人が記録を持っていたこと、その人たちが書いた記録の概要を日本語で読めたことは、円周率計算をより身近なものに感じるきっかけだったと思います。

– 日本の筑波大学在学中に当時の円周率計算の世界記録保持者だった高橋大介准教授に師事したことは、今回のことにどんな影響を与えたのでしょうか。

世界記録は遠い世界のことだと思っていましたが、実際に達成者と話すことで、何が具体的に難しいのかなど、実際の課題として認識できるようになりました。

– 今回の計算ではどういったことが課題でしたか?実際、このタイミングでこの計算を行ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

Google Cloud のチームに参加してから、そのリソースを活かして円周率の計算ができないかということは常に考えていました。170テラバイトという、アメリカ議会図書館の印刷物コレクションに匹敵するデータをどう上手く扱うかが課題で、その解決策を思いついたことが今回の記録達成につながっています。計算中はプログラムが停止していないかの監視などしながら、通常の Developer Advocate としての仕事を行っていました。

– クラウド・デベロッパー・アドボケイトとは。

グーグルの技術や製品を使う社外の技術者が、それらを最大限に活用できるようにお手伝いする仕事です。新しい技術の魅力や詳細をプレゼンテーションやブログポストなどを通じて伝えたりします。また、より良い製品開発のために、社外からの意見を社内の開発チームに伝えることも仕事のひとつです。

– 岩尾さんのされているようなお仕事をしたいと次世代の子供たちに言われたら、どんなアドバイスをされますか?

他の人がどう言おうとも、自分の好きなことを自信を持って追いかけてください。私は幼い頃からコンピュータが好きでしたが、高校の担任の先生に文系を勧められ、大学は教育系の学部に入学しました。その時の教授に「コンピュータのことが好きなのであれば、情報系に移る試験を受けたらどうか」と提案され、移ることができました。その後も本当に自分がソフトウェアエンジニアの仕事に向いているのか悩むこともありましたが、続けてきてよかったと思っています。

– これから新たに挑戦したいことを教えてください。

今回の記録達成で、クラウドが複雑な数値計算にも活用できることが示せたと思うので、実際に気候、医療、金融、数学などの分野で問題解決しようとしている人たちのお手伝いをしたいと思っています。クラウドは今後も良くなっていくので、将来また円周率自体の記録も更新できればと思います。

編集後記:グーグルの広報を通じて一度だけメールで質問をお送りするという方法でしかお話を伺えなかったのが残念でしたが、岩尾さんの柔軟な発想、好奇心を持ち続ける姿勢を感じることができました。自分の好きなことを追いかけるには勇気がいることもありますが、好きな道を進むことを提案してくれた大学教授がいたこと、そして方向転換し努力し続けてこられた岩尾さんからのメッセージをこうして文章にしておくことで、より多くの人が一歩を踏み出す後押しができればと思います。

掲載:2019年3月 取材:編集部



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