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シアトルの老舗魚屋『ミューチュアル・フィッシュ』、74年の歴史に幕

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シアトルで最も長い歴史を誇る魚屋 『ミューチュアル・フィッシュ・カンパニー』 が、現オーナーの引退を機に、9月16日で閉店すると発表しました。

ミューチュアル・フィッシュ・カンパニーは、日系2世のディック・ヨシムラさんが、弟のデニーさん、息子のハリーさんとともに、1947年にイエスラー・ウェイに開店した店。1965年に現在のレーニア・アベニューの店舗( 2335 Rainier Avenue South, Seattle)に移転し、現在はハリーさん(80)とその息子のケビンさんが経営しています。

シアトル・タイムズは6日付けの記事で、「魚を買うならここという評判は、シアトル南部だけでなく、さらに広い範囲に広がっていた。新鮮な魚が各地から空輸され、丁寧に尊敬を持って扱われる店で、貝類の水槽を設置したのも、カリフォルニア州やハワイ州から魚を空輸したのも、同店がシアトルで最初だった。新鮮な蒲鉾を魚から作る数少ない地元の魚屋のひとつ。ディック・ヨシムラは、その包丁さばきのテクニックと正確さで尊敬を集めていた」と報じ、ここからキャリアをスタートした Seattle Fish Guys や Kuzma’s Fish Market などの業者や、ディックさんから多くを学んだシェフのトム・ダグラスのコメントを紹介しています。

2012年のシアトル・タイムズの死亡記事によると、ディックさんはカリフォルニア州で生まれ、日本で幼少時代を過ごした後、10代だった1930年代に弟のデニーさんと米国に戻り、わずか15歳でシアトルの魚市場で働き始めた人物。太平洋戦争中に連邦政府によって米国西海岸の約12万人の日本人と日系アメリカ人とともに強制収容所に送られましたが、その働きぶりが高く評価されていたため、戦後すぐに働き始め、1947年にミューチュアル・フィッシュ・カンパニーを創業しました。

ハリーさんは Eater Seattle の取材に対し、人手不足、COVID-19が経営に与える影響、気候変動による海水温と海流の変化で魚の調達が困難になったこと、周辺地域の治安の悪化を閉店の理由として挙げています。

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