アメリカでは仕事や生活の環境によって「移民が多くて、人種も多様だ」と思える場合がありますが、実際、アメリカに住んでいる外国生まれの人口はどのぐらいなのでしょう？
国勢調査局が毎年発表しているアメリカン・コミュニティ・サーベイで調べてみました。
外国生まれの人口が過去最高に
国勢調査局のアメリカン・コミュニティ・サーベイの2022年の推計で、外国生まれ（foreign-born）の人口が、昨年、100万人近く増え、過去最高の約4618万人に達したことがわかりました。
その結果、外国生まれの人口がアメリカの人口約3億3330万人に占める割合は約13.9%に。1970年には総人口の4.7%に相当する960万人だったことからすると、52年間で大幅に増えたことがわかります。
【外国生まれの人の出身地域】
ヨーロッパ 10.2%
アジア 31.1%
アフリカ 6.0%
オセアニア 0.6%
ラテンアメリカ 50.3%
北米 1.8%
外国生まれの住民の53.1％にあたる約2451万人は、米国に帰化（米国籍を取得）しています。
非営利の公共メディアの NPRは、「アメリカの人口において、この増加はそれほど大きなものではない。しかし、トランプ政権の政策やパンデミックの影響で近年成長が急減速していたことを考えれば、これは重要なことである」と指摘しています。
この記事では、COVIDのパンデミックで停止していたビザの手続きや難民の審査といった合法的な移民受け入れが徐々に再開されたこと、アフガニスタンやウクライナからの入国者が増加していること、ラテンアメリカやアジアからの新移民が大幅に増えていること、新移民のかなりの数が大学や大学院で学位を取得していること、中南米から米国とメキシコの国境に到着する記録的な移民の流入への対応に政府が引き続き苦戦していることなど、米国を取り巻く移民の状況解説が読めます。
ワシントン州の場合
外国生まれの住民の人口は、地域でかなり違いがあります。
ここワシントン州の人口は約778万5800人。そのうち米国生まれは659万7400人で84.7%、外国生まれは118万8392人で15.3%と、アメリカ全体に占める割合を上回っています。
外国生まれの出身地はアジアが45.8%と最も多く、ラテンアメリカ（28.1%）、ヨーロッパ（13.6%）、アフリカ（6.8%）、北米（3.9%）、オセアニア（1.9%）と続きます。このうち米国に帰化した人は48.9%、帰化していない人は51.1%です。
シアトルの場合
ワシントン州最大の都市シアトル市の人口は約75万人。そのうち米国生まれは79.7%にあたる59万6800人で、外国生まれは20.3%にあたる15万2500人と、ワシントン州全体に占める割合を上回っています。
このうち米国に帰化した人は半数以上の51.3%で、帰化していない人を上回りました。
外国生まれで、2010年より前から住んでいる人は55.2%、2010年以降に来たアメリカ在住歴12年以下の人が占める割合は44.8%。比較的新しい移民が多いことがわかります。
ベルビューとレドモンドの場合
では、レイク・ワシントンの東側の「イーストサイド」で、有色人種の移民が多いベルビューやレドモンドはどうでしょうか。
ベルビューの人口は約15万2800人で、米国生まれは56.9%、外国生まれは43.1%と、10人あたり4.3人が移民であることがわかります。このうち米国に帰化した人は39.6%で、帰化していない人が60.4%。
人種別に見ると、最大の人種グループはアジア系で約41.7%にあたる約63,700人と、白人の約61,000人（39.9%）を上回っています。アジア系の最大グループは中国系（16.5%）、次いでインド系（14.7%）、韓国系（3.8%）、日系（1.9%）、ベトナム系（1.9%）、フィリピン系（0.7%）と続きます。
ベルビューの隣のレドモンドもアジア系が多い地域です。人口約76,800人のうち、米国生まれは59.4％、外国生まれは40.6％。ベルビューほどではありませんが、10人あたり約4人が外国生まれです。このうち米国に帰化した人は31.9％で、帰化していない人が68.1%。
最大の人種グループは白人で約33,300人（43.4%）ですが、2位はアジア系で約41.3%にあたる約31,700人。アジア系の人口ではインド系が約179,200人（23.3%）で最大のグループとなっています。次いで中国系（約10100人：13.1%）、フィリピン系（約1800人：2.3%）は1万人以上の人口がいます。一方、韓国系は406人（0.5%）、ベトナム系は246人（0.3%）、日系は170人（0.2%）となっています。
キング郡の場合
シアトルやベルビュー、レドモンドのあるキング郡の人口は約226万7000人で、米国生まれは74.4%、外国生まれは25.6%。
外国生まれで帰化した人は過半数に近い49.0%を占めています。
また、外国生まれで2010年より前から住んでいる人は71.7%で、2010年以降に来たアメリカ在住歴12年以下の人が占める割合は28.3%でした。
