新型コロナウイルスのパンデミック対策で、各国は国外からの旅行者にさまざまな条件や規則を設けています。特に、日本に行く場合はワクチンの接種を完了していても2週間の自宅待機が義務づけられており、さらにワシントン州は「水際強化措置に係る指定国・地域」に指定されたため、入国後3日間は検疫所での宿泊施設での待機も必要です。実際の手続きはどんな感じなのか、また、子ども連れの場合はどんなことに気をつけたらいいか、気になりますよね。そこで、7月はじめにシアトルから日本に一時帰国したAさんとHさんに、日本への入国までと入国してからの体験について伺いました。
Aさん: 大人1人、7歳と4歳の子ども
Hさん: 大人1人、7歳と5歳の子ども
どこで日本入国に必要な検査を受け、書類を作成してもらいましたか。
Aさん:渡航3日前にベルビューの Lake Bellevue Chiropractic で検査をしました。保険が適用されるということだったので、こちらにお願いしました。子どもも痛がる様子など見せることなく、5分程度で家族3人分の検査が終了。翌朝に結果がEメールとテキストメッセージで届き、陰性証明書の原本をオフィスに取りにいきました。
Hさん:私も同じところにお願いしました。日本入国に関する手続きにはとても慣れている様子で、とてもスムーズに検査できました。指定の書式を持参していなかったのですが、対応いただいた先生にその場でプリントアウトしていただきました。
アメリカでは12歳未満の子どもは新型コロナウイルスのワクチン接種を受けられません。未就学児のお子さんの空港・機内での感染対策はどのようにされましたか。
Aさん:感染対策については、手指消毒液を持ち歩いてこまめに使い、フライトで寝るときもマスクを外さないなど、常時気をつけました。ただ、マスクをしている時間がかなりの長時間に及び、途中どこかでマスクを外して休憩をとる場所もまったくないので、最後はとても息苦しく、気分が悪くなりました。
Hさん:空港も機内もすいていたので、人との距離がとりやすかったのは良かったです。ただ、マスクをずっとつけているのは確かに大変でしたね。日本到着後、重い荷物を抱えて長い距離を歩かされるのに、空港内の空調は弱いのでとても暑く、それが大人には息苦しく感じたのだと思います。子どもは慣れっこのようで、特に問題なさそうでした。
日本到着後、入国までのプロセスについての経験談をお願いします。
Aさん:私の場合は羽田に着陸したのが午後2時半、書類や検査のための検体をすべて提出し、結果を待つ部屋に着いたのが午後3時半、検査結果が出たのが午後5時半、ホテルでチェックインを済ませて部屋に着いたのが午後7時半、といったプロセスでした。
事前に聞いていた通り、着陸後はとても長い距離を歩かせられ、数えきれないほどあるチェックポイントを通過しました。とはいえ、とても大勢いるチェック担当の方(ほとんどが若い女性)は皆さん笑顔で優しく声をかけて下さり、子どもたちはウキウキと進んでいました。
検査結果が出てから、入国審査と税関を通ってホテル行きのバスに乗り込むまでは、グループでの団体行動になるので、ここに時間がかかりました。ホテルの部屋に着いた時には着陸から午後5時間近く経過していたので、子どもも疲れ切って、そのままベッドに倒れこんで寝てしまいました。
Hさん:私の便も午後2時くらいに着陸しましたが、ホテル到着は午後5時半ごろでした。チェックポイントは全部で15カ所くらいあるでしょうか。すべての書類や確認事項について、プリチェック、チェック、ポストチェックがあり、何度も何度も同じことを聞かれました。一つのチェックポイントを通過するたび、まだある、まだある、の連続という感じで。
でも、子どもは文句の一つも言わずについてきました。着陸時の検査では唾液の検体を出さないといけませんが、5歳児よりも7歳児の方がなかなか出せずに苦戦しました。あとは、オリンピックの前だったからでしょうか、税関で全員の荷物を開けて確認されたため、そこでかなりの時間がかかりました。
ワシントン州からの渡航の場合、到着後3日間にわたり政府指定のホテルでの待機が必要です。どのように過ごされましたか。
Aさん:私が振り分けられたのは羽田空港から近い、通常なら大浴場がついていることで知られるビジネスホテルでした。運よくツインの部屋を割り当てていただけたので、荷物も広げることができ、とても快適でした。
ドアノブにひっかけられた幕ノ内弁当を1日3回取るため以外には、ドアを開けてはいけないという規則でした。でも運よく私の実家に近いホテルだったので、家族に子ども用のおやつやジュースを差し入れてもらうことができ、とても助かりました。パソコン用のアダプターを忘れてネットで購入したのですが、それも翌日すぐにホテルの職員の方に部屋まで届けてもらえました。
親としては3泊4日もホテルに缶詰めになることをとても心配していたのですが、子どもたちは珍しい日本のテレビやお弁当、お風呂やトイレに夢中で、あっという間に時間が過ぎたようです。コロナ禍が長引いて、ホテルに泊まるということも長期間なかったので、それで余計に楽しかったというのもあるかもしれません。
Hさん:私に割り当てられたのは、羽田空港の国際線ターミナルの向かいにある観光用のホテルでした。ツインのお部屋でしたが、そんなに広くありません。でも久々に深いお風呂に入れるのは嬉しくて、子どもは1日に何度も入っていました。他にも、渡航前にターゲットで買い込んだ塗り絵や粘土、パズルなどで遊んで過ごしました。
アメリカから来ているし、久々だからというのもありますが、支給されるお弁当はとても美味しいです。ただ、子どもたちには食べられるものと食べられないものがあるので、差し入れてもらったおやつや、持ってきたパンを食べてしのぎました。時差ボケで早く起きるにもかかわらず、朝食の配布は午前9時近くになるので、差し入れてもらった食料がとても役にたちました。
3日間の待機後は公共交通機関を利用せずに2週間の自主隔離のための滞在先(実家など)に移動する必要がありますが、どのように移動されましたか。
Aさん:私は滞在先が空港の近くなので、検疫所が運航するシャトルバス(通常、隔離のために個々が手配する近隣のホテルを巡回しています)に乗り、近所で降ろしてもらいました。
Hさん:実家は静岡県なので、両親が自家用車を1時間半ほど運転して、空港まで迎えにきてくれました。
2週間の自主隔離中には、複数のアプリを介して所在地の確認が行われます。こうした確認にどのように対応したか、教えてください。
Aさん:ビデオ通話をするアプリ(担当者と通話する場合と、AI処理のための録画のパターンがありました)と、プッシュ通知が来るたびに「今ココ」ボタンを押すためのアプリ、そして別途Eメールでも毎日規定のフォームに回答する必要があり、これら全部のやり方に慣れるまで数日かかりました。
Hさん:7月上旬にアプリがアップデートされたようで、私にはEメールでフォームに回答するのはなくなったようです。その代わり、ビデオ通話をするアプリに回答するボタンができたようです。
これから子連れで日本入国を予定されている方に、アドバイスがあれば教えてください。
Aさん:事前に下調べをしっかりし、できれば最近入国した方に話を聞くなどして、準備万全で渡航してください。検査結果が長時間出ないなど、想定外のこともあるかもしれませんので、お子さんが幼い場合はおもちゃやおやつなどを多めに持っていく、機内では体力温存のためできる限り睡眠をとる、などの対策をおすすめします。
Hさん:空港内のチェックポイント通過のために、書類をいれるクリアファイルのようなフォルダを持っていくのがおすすめです。フォルダなしで手に持っていたのでバラバラになり、大変でした。また、マスクで息苦しくなるのを避けるため、ジョギングなどに使うスポーツ用マスクを持っていくのもいいかもしれません。
後は、機内に持ち込めるスーツケースに、パン、即席ラーメンなどの食べ物やおもちゃをたくさん詰めていくことをおすすめします。ホテル滞在中の飲み物にバラエティがないので(私の場合は、紙パックの緑茶だけでした)、水に溶かすと麦茶やジュースになるようなパウダーのものが重宝しました。最後に、お弁当の割りばしを使えない年齢の子ども用に、プラスチックのフォークやスプーンも持っていくと良いと思います。
ありがとうございました。
掲載:2021年7月
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