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体験レポート: シアトルから日本に子連れ入国!2021~2022年の年末年始

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体験レポート:シアトルから日本に子連れ入国!

到着時の成田空港

新型コロナウイルスのパンデミック宣言が出されてから2年近くが過ぎ、各国は現在も国外からの旅行者にさまざまな条件や規則を設けています。特に、日本に行く場合はワクチンの接種を完了していても14日間の隔離が義務づけられており、さらにワシントン州はオミクロン変異株の感染者が確認された2021年12月に再び「水際強化措置に係る指定国・地域」に指定されたため、入国後3日間は検疫所が指定した宿泊施設での隔離が必要となっています。オミクロン変異株が出てきてからの日本との往復はどんな感じなのか、日本の家族の諸事情で12月中旬にシアトルから10代のお子さん2人と日本に一時帰国した M さんに、日米往復の体験について伺いました。

– 日本に行くフライトに乗るまでの準備について教えてください。

現時点で、日本入国には、搭乗前72時間以内の新型コロナウイルス検査による陰性証明書が必要です。在シアトル日本国総領事館の公式サイトに掲載されている、ショアラインの US BioTek Laboratories で検査を受けました。

子どもたちは13歳と15歳で日本とアメリカの二重国籍なので、いつもならアメリカの出入国はアメリカのパスポート、日本の出入国は日本のパスポートを使います。でも、日本は現在、外国人の観光目的の入国を許可していません。なので今回は航空会社のアドバイスもあり、アメリカ出国と日本の出入国には日本のパスポートを、アメリカに戻ってきて入国する時はアメリカのパスポートを使うことにしました。念のため、陰性証明書には追加料金を支払って、日本のパスポート番号と日本語の名前のもの、アメリカのパスポート番号とアメリカの名前のものと、2種類を作成してもらいました。

クリスマスに息子それぞれに新しいスマートフォンをプレゼントしたので、自分のスマートフォンを含め3台に日本での隔離期間中に位置情報・健康状態・居所を確認するのに必要なアプリをダウンロードして設定しておきました。その他にも、紙で用意しなくてはならない書類があり、すべて揃っていないと入国できません。落ち度のないよう、自分と子どもたちの分を何度も見直して準備しました。

しっかり準備したつもりでもちょっとした不備があって「日本行きの飛行機に乗れなかった」「日本に入国できなかった」といった、いろいろな体験談を直接聞いたり、ネットで読んだりしていたので、前日は不安でよく眠れませんでした。

– お子さんは15歳と13歳。ワクチン接種状況は。ご自分とお子さんの空港・機内での感染対策はどのようにされましたか。

子どもたちはワクチンの2回接種を完了し、私も2回接種とブースター接種を完了しています。シアトル・タコマ国際空港到着時からマスクを常に着用して、手を触れるものは除菌シートで全部拭きました。日本行きの飛行機は40%の埋まり具合で、一人が2、3席づつ使える状態。

今回私が日本に行った2021年12月中旬は、日本入国時の検査で乗客に一人でも陽性者がいると同乗者全員が濃厚接触者となって検査所指定の施設での隔離が長引くことになっていましたから、どこに座っても 同じだったのでしょう、フライトアテンダントに聞いたら「空いている席に移動してもいいですよ」と言われました。
※2021年12月28日付で、濃厚接触者の定義は従来株と同様に「陽性者のすわっていた列とその2列前後」に戻されました。

– 日本到着後、入国から検疫所指定のホテルにチェックインするまでの流れはいかがでしたか。

日本に飛行機が着陸してから、検疫所指定のホテルにチェックインするまでのタイムラインです。
4:25pm: 着陸
5:45pm: 書類確認
5:55pm: 新型コロナウイルス検査
8:10pm: 検査結果入手、入国手続き
8:40pm: バスでホテルへ出発
9:40pm: 潮見の APA ホテルに到着
10:05pm: 個別にチェックイン。隔離中の説明を受けた後、部屋へ入室

成田空港に到着してから、入国者が確認を受けるのは、(1)書類 (2)アプリ (3)唾液検査 の3つですが、事前に体験者から聞いていたとおり、長い距離を歩かされ、各ステーションで同じ質問と確認を繰り返されました。今の時代に紙の書類しか受け付けないこともそうですが、クリアファイルに3人分の書類を入れて、ステーションからステーションへ移動します。同じ書類が何度も確認され、チェック済みという印が書かれ、アプリの操作も一人ひとりに教えます。担当の係員はみなさんとても丁寧で親切でしたが、このプロセスにはあまりにも無駄が多いと感じました。

さらに、空港内は暖房が効きすぎていて暑いので、ぐるぐる歩かされている間に喉がカラカラになりました。検査の30分前には水も飲んではいけないと聞いていたのでガマンしていたのですが、唾液検査のところで唾がなかなか出ませんでした。唾が出るようにと壁にレモンと梅干しの写真が貼ってあるのですが、私にはともかくハーフの子供たちには効果はありませんでした(笑)。

幼いお子さん連れの場合、長い距離を歩かされるのは大変ですね。ぐずっているお子さんもいました。

日本帰国者が情報を交換しあう Facebook グループのおかげで、事前に「最後の段階の検査結果を待つ椅子にすわるまで、飲み物の自動販売機もトイレもない」と知っていたので、飲み物は持参し、飛行機をおりる前にトイレを済ませ、紙の書類はクリアファイルに入れて持ち歩きました。

– ワシントン州からの渡航の場合、到着後3日間にわたり政府指定のホテルでの隔離が必要です。どのように過ごされましたか。

入国後の検査で陰性判定が出たので、入国審査・税関を通り、グループに分けられました。「これからホテルに移動します」とは言われたのですが、どのホテルかは、私が聞くまで言ってくれませんでした。バス乗り場に移動し、バスに乗る前に「どこに行くのでしょうか」と聞いたら、「潮見です」と言われました。それでようやく、事前に聞いていた潮見のAPAホテルだなとわかりました。でも、行先をちゃんと発表しないので、周りの人が私に「どこって言っていましたか?」と聞いてきました。なぜ発表しないのかはわかりません。そこからバスに乗せられ、ホテルに到着したのは午後10時5分。成田空港着陸から約5時間半かかりました。

お部屋はとても狭く、もともと広くないツイン用の部屋に無理やり3つのベッドを入れた感じでした。でも、年末にホテル不足で名古屋や福岡までチャーター機で飛ばされる人もいる中、都内のホテルというだけでラッキーだと思いました。

ホテルに着くまでにものすごく疲れたので、明日は遅くまで寝ていよう!と思ったのに、午前6時50分に館内放送がありました。「ピンポンパンポ~ン♪ 本日チェックアウトの方は、検査キットに検体を入れて、ドアの外に置いてください」と、チェックアウトしない人の部屋まで聞こえます。さらに、午前7時に朝食、午後12時に昼食、午後7時前に「これからお食事をお配りしますので、ドアを閉めてお待ちください」、そしてその10分後に「お配りしましたので、お取りください」と、館内放送があります。まるで映画 『Squid Game』の一場面のようだと思いました。

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ホテル到着日の夕食

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ホテルでの隔離2日目の朝食

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ホテルでの隔離2日目の夕食、APA ホテル特製弁当

隔離期間の3日間で外の世界を覗けるのは、食事を取るためにドアを開けた時だけでした。隣の人と手を振って元気づけあいましたよ。また、部屋には数センチぐらい開けられる窓がありました。私たちの部屋はなぜか異様に暑くて、暖房を切って窓を開けても気分が悪くなってしまうほど。冬ですから T シャツも1枚づつしか持ってきてなかったので、ホテルに頼んで冷風機を持ってきてもらいました。

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Uber Eats でホテルに配達してもらったもの
(ホテルによって使えないところあり)

隔離2日目、このホテルは Uber Eats を使っても良いとのことだったので、近所のローソンからいくつかデリバリーを頼みました。部屋にはコーヒーメーカーがなくコーヒーに飢えていたので、カフェラテなど。ホテルによって Uber Eats を使えないところもありますし、注文しても良い物・ダメな物が決まっています。例えば、アイスクリームや寿司、コンビニ弁当など、常温で保存できないものはNGでしたが、パピコは特別に許可してくださいました。ホテルがすべて検査をしてから、部屋に届けてくれます。ちなみに、アルコールは外からの持ち込みが一切禁止されているので、持参した場合のみ飲めることになります。

– 検疫所指定の宿泊施設での隔離終了後について教えてください。

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ホテルでの隔離終了後、再び全員がシャトルバスで成田空港に戻されて解散する

3日間の隔離が終わって検査を受け、陰性となったので、残りの11日間の隔離期間を実家で過ごせることになりました。ホテルは東京で実家から30分の位置にありましたが、なぜか再び全員がシャトルバスで成田空港に戻され、そこで解散です。まるで振り出しに戻ったような感覚でした。

隔離期間中はタクシーを含め公共交通機関を使わないという規則がありますが、これまであんなに隔離して監視していたのに、あれは何だったのかというぐらい、誰も見ていません。これなら黙って公共交通機関に乗ることができてしまいます。でも、ルールは守るという書類にサインをしたので、規則に従ってハイヤーを手配しました。大型スーツケースが4個あったので大型車を手配しなければならなくなり、片道2万5000円かかりました。

今の一番安いオプションは、成田空港から上野方面に行くスカイライナーの帰国者専用車両での移動だそうです。

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隔離期間終了後、ようやく外出

実家での11日間の自主隔離中は、1日3、4回、ランダムな時間に、位置情報と居場所確認のビデオコールがありました。私たちの場合はだいたい午前10時頃と午後5時頃が固定時間で、それ以外に1、2回あるかないかの頻度です。すべて自動コールで、誰かと話すことはありませんでした。その他、毎朝の健康状態の入力もありました。

– 昨年12月から米国入国には陰性証明も必要になり、さらに搭乗前1日以内に検査という決まりになりました。これにはどのように対応されましたか。

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米国入国に必要な陰性証明を取得するために使用した家庭用新型コロナウイルス検査キット
(使用可能かどうか、利用する航空会社に確認すること)

もともとは2週間の帰国予定だったのですが、2週間隔離が決まってしまったので1週間延ばして3週間の滞在にしました。それでも外に出られる自由時間は1週間しかありません。「その限られた時間の中で指定の検査場に行くのは、時間もお金ももったいない」と思ったので、アメリカで認可された家庭用新型コロナウイルス検査キットを購入して、日本に持参しました。検査をビデオ通話しながら行うものです。航空会社によっては受け付けられない場合があると言われたので、それぞれの航空会社に確認する必要があります。

私は念のために JAL に確認したところ、「当社では問題ないものの、米国入国時に確認があった場合はどうかわからない」との回答でした。でも、米国入国時に検査結果を確認することはないと聞いていたので、この家庭用自宅検査キットにしました。

アメリカ帰国前夜、オンラインで係の人とつながり、1対1でビデオ通話しながら未開封の箱を開け、箱の裏側のQRコードを見せ、パスポートを見せて本人確認。キットを鼻に入れるのも指示に従いながらやるので、ちょっと緊張しました。

検査薬につけたキットはずっと写しっぱなしで待つこと15分。すり替え防止ですね。そして結果が係の人によって確認されます。所要時間は各自20分で、3人合計1時間。無事に全員陰性という結果が出てホッとしました。すぐにメールで証明書が届いたので、事前にダウンロードしておいた JAL のアプリで結果を送信し、完了しました。とても便利でした。このアプリは路線によって使える路線と使えない路線があるので、確認しておく必要があります。

日本に入国してから、隔離施設にいた時も、実家に移動してからも、同乗者にオミクロン変異株感染者がいたことが判明したら隔離施設に戻されるわけですから(※)、毎日そのことも気がかりでした。でも、運よくそういうこともなく、家族と一緒に過ごすことができました。
※2021年12月28日付で、濃厚接触者の定義は「陽性者のすわっていた列とその2列前後」となっています。

– 日本出国からアメリカ入国までの流れはいかがでしたか。

成田空港の出発ロビーは、これまで見たことないほど閑散としていました。シアトル行きの飛行機もガラガラで、一人4席づつ使って横になることができました。日本の入国の厳しさに反して、アメリカ入国時は新型コロナウイルス検査も陰性証明の提示もなく、通常通りで拍子抜けしました。そして、入国審査と税関を通ると、シアトルの空港には普通に人がいました(笑)。

– これから日本入国を予定されている方に、アドバイスがあれば教えてください。

  • 書類や必要なものは念入りにチェックすること。
  • 成田空港では3~9時間かかることを想定して、お子さんのおもちゃや飲み物、食べ物を十分用意しておくこと。
  • 歩きやすい靴、軽装で行くこと。
  • 書類はクリアファイルに入れておくこと。
  • 飛行機内でトイレを済ませておくこと。
  • 検査結果待ちの所まで自販機もないので、飲み物と軽食、スナックなどを持参すること。
  • 替えのマスクを用意すること。

今回は家族の事情で、どうしても帰国する必要がありました。でも、アメリカ出国前72時間以内に検査をして陰性証明をもらっていたとはいえ、飛行機で移動中に感染する可能性もあります。実家には高齢の父がいますから、家族にうつす確率を減らすためにも、私たちにとっては3日間の施設隔離はありがたかったです。家族はあたたかく迎えてくれました。大変でしたが、一時帰国して本当に良かったです。

日本滞在中にテレビで見ましたが、帰国者の中に感染者がいて、その人の行動が執拗に追跡されていました。他に主なニュースはないのか、民放チャンネルが揃ってそのことを話題にしている時がありました。この大変な時期に一時帰国をしようとする人は、それぞれゆずれない事情があるのだと思います。

でも、報道の仕方が違いますね。「イギリスとアメリカはもう感染爆発で、医療機関も崩壊」「帰国者がウイルスを持ち込む」と、もう「帰って来るな」と言わんばかりの内容で、とても肩身が狭くなりました。自分で現地のニュースを読んだり、調べたりせずに、日本で報じられたことを鵜呑みにするのは危険ですね。偏った見方になってしまいます。

ですので、家族の事情など、どうしても今、行かないといけない状況かどうか、十分に検討されることをおすすめします。

– ありがとうございました!

掲載:2022年1月

この体験レポートを通して提供している情報は、一般的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、渡航条件は頻繁に変更されます。提供している体験談は、掲載時の個人的な体験です。読者個人の具体的な状況に関しては、利用する航空会社、政府機関の情報を確認し、各自の状況にあう対応をする必要があります。各個人の状況にあった入国前の準備や入国時・入国後の対策については回答できかねますので、あらかじめご理解ください。新型コロナウイルス関連の情報は、必ず連邦、州、郡、地方の公衆衛生機関、医療保健機関の公式サイトや公式ソーシャルメディアで最新の情報を入手するようにしてください。

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