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動物のリハビリテーションの種類&テクニック

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動物のリハビリテーション

犬用車椅子を使うミスター・チップス(手前)と
新しい車椅子のフィッティングを受けるダックスフンド。

今回は、動物のリハビリテーションの内容やテクニック、器具について、簡潔にまとめてみたいと思います。

初診の際、問診以外に、関節の可動域や筋肉の衰え、跛行や歩行困難の有無、神経性の異常の有無などを調べたうえで、どのようなリハビリがそのペットに適しているか検討し、プランを決定します。

手技療法:

  • マッサージ:いろいろなテクニックがありますが、擦ったり、叩いたり、揉んだりが基本です。最初は優しく全身をなでることにより、ペットをリラックスさせ、かつ身体のどの部分に問題があるのか判断します。
  • ストレッチング:凝り固まった筋肉をほぐし、関節の可動域を大きくします。
  • PROM(Passive Range of Motion): 問題のある関節の屈伸運動を、施術者が支えながら行います。特に、手術後に正しく行うことにより、関節や筋肉が固まるのを防いだり、関節の可動域を速やかに正常に戻すことができます。
  • PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation):難しい名前ですが、簡単に言うと、病気やケガ、痛みなどで脳と筋肉のコミュニケーションが取れなくなった神経疾患の治療です。後肢が弱って引きずるように歩くようになった高齢の犬や、椎間板ヘルニアの手術後などに適用します。
動物のリハビリテーション

首のレーザー治療を受けるグレース。犬用保護メガネで目を守っています。

物理療法:

  • ヒートパックとアイスパック:一般的に、ケガや手術後、24時間から48時間まではアイスパック、そのあとはヒートパックを使いますが、ストレッチやマッサージ前にヒートパックを使い、運動後はアイスパックを使うこともあります。
  • レーザー(LASER):波長が赤外線より短く、紫外線より長い光線です。治療に使うのはクラス3か4のレーザーです(ちなみに、DVD を読み取るのはクラス1)。手術に使うレーザーほどの高熱は発しませんが、誤った使い方をすると、皮膚や目にダメージを与えてしまいます。細胞を刺激して、ATPの製造を促し、回復を早めたり、痛みや炎症を抑える働きがあります。
  • 電気刺激(Electrotherapy): 痛みの周辺や、刺激したい筋肉の始まりと終わりに電極を置き、低周波を通電する治療法です。痛みを緩和します。
  • 超音波療法(Ultrasound):人間には聴くことのできない域の音波を当て、損傷した組織の回復を早めます。また、熱も生じるので、ストレッチやPROMの前に使うと、可動域が広がります。
  • 衝撃波療法(Shock wave):高エネルギーの音波です。腎臓の結石を粉砕するのにも使われるように、レーザーや超音波よりも深く浸透します。 関節炎にも効きますが、腱鞘炎など靭帯や腱の炎症に効果的です。
  • 少し物理の授業のようになりました。次回は運動療法についてです。

    次は、どのようなテクニックを使うのか、詳しくご紹介したいと思います。

    掲載:2020年5月 文・写真:Masami Seplow, DVM CVA CCRP

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