
犬用車椅子を使うミスター・チップス(手前)と
新しい車椅子のフィッティングを受けるダックスフンド。
今回は、動物のリハビリテーションの内容やテクニック、器具について、簡潔にまとめてみたいと思います。
初診の際、問診以外に、関節の可動域や筋肉の衰え、跛行や歩行困難の有無、神経性の異常の有無などを調べたうえで、どのようなリハビリがそのペットに適しているか検討し、プランを決定します。
手技療法:
- マッサージ:いろいろなテクニックがありますが、擦ったり、叩いたり、揉んだりが基本です。最初は優しく全身をなでることにより、ペットをリラックスさせ、かつ身体のどの部分に問題があるのか判断します。
- ストレッチング:凝り固まった筋肉をほぐし、関節の可動域を大きくします。
- PROM(Passive Range of Motion): 問題のある関節の屈伸運動を、施術者が支えながら行います。特に、手術後に正しく行うことにより、関節や筋肉が固まるのを防いだり、関節の可動域を速やかに正常に戻すことができます。
- PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation):難しい名前ですが、簡単に言うと、病気やケガ、痛みなどで脳と筋肉のコミュニケーションが取れなくなった神経疾患の治療です。後肢が弱って引きずるように歩くようになった高齢の犬や、椎間板ヘルニアの手術後などに適用します。

首のレーザー治療を受けるグレース。犬用保護メガネで目を守っています。
物理療法:
少し物理の授業のようになりました。次回は運動療法についてです。
次は、どのようなテクニックを使うのか、詳しくご紹介したいと思います。
掲載:2020年5月 文・写真:Masami Seplow, DVM CVA CCRP