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アメリカの子宮ガン検診「パップスメア(pap smear)」

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子宮ガン検診

子宮頸ガンと子宮体ガン

子宮は、袋状になった体部と子宮の入り口にあたる頸部とに分けて考えられており、子宮ガンには、子宮の入り口付近にできる子宮頸ガンと、袋になっている部分の内側にできる子宮体ガンがあります。発生率は、子宮頸ガンの方が子宮体ガンに比べてはるかに多く、また、子宮体ガンは主に閉経後の人にできますが、子宮頸ガンは若い人にもできます。ここでは、子宮頸ガンとその検診について説明します。

パップスメア(pap smear)

パップスメアは、日本で「子宮頸部細胞診」と呼ばれているもので、婦人科検診の際に行う検査子宮頸ガンの検査です。パパニコロー塗抹細胞診とも呼ばれます。セックスをしたことのある人なら誰でも受ける必要があります。

パップスメアの手順

子宮の頸部というのは、子宮に入っていく入り口の筒状の通り道と、その外側の部分(膣内に飛び出している部分)とから成り立っています。通り道の部分には、排卵時に卵白様のおりものを作る分泌腺が並んでいます。膣内に飛び出している部分は、単につるつるしているだけで、ちょうど頬の内側のような細胞構造(扁平細胞)をしています。ガンになるような細胞の変性が起こるのは、分泌腺の細胞と扁平な細胞との境目あたり(transformation zone)です。

従って、パップスメアでは、膣内にスペキュラム(膣鏡)というものを入れて子宮口が見えるようにし、ヘラとブラシで "transformation zone" の細胞を少し削り採ります。そして、その細胞をガラス板にこすりつけたり、アルコール液に浮かべたりして検査室に送り、顕微鏡で検査します。通常、約1週間で結果が出ます。なお、膣鏡を入れるのは身体を緊張させなければそれほど痛くはないはずです。非常に稀なことですが、子宮口の向きが極端に後ろだったり、極端に手前だったりすると、かなり無理な方向に膣鏡を動かすので痛い場合もあります。また、子宮口はほとんど感覚がないのが普通ですが、中にはとても敏感で、子宮口にヘラが触っただけで痛い人もいますが、これも非常に稀です。

子宮頸ガンの原因

  1. 遺伝的にガンのできやすい人は稀にいます。親戚に40歳代からガンができた人が何人もいるような場合は、ガンができやすい体質を受け継いでいる可能性が高いです。発ガン物質を避け、栄養のバランスに気をつけ、運動をして、ガン予防に努めるのと同時に、定期的にガン検診を受けましょう。
  2. タバコを吸う人はガンができやすくなります。タバコは肺ガン・心臓病との関係がよく知られていますが、子宮頸ガンもタバコを吸う人にできやすいことがわかっています。
  3. セックスによって感染するウィルスが子宮頸ガンを引き起こすこともわかっています。ヒト・パピローマ・ウィルス(HPV)というのは性病の一種で、セックスをしたことのある人なら知らないうちに持っていることの多いウィルスです。このウイルスにはさまざまなタイプがあり、性器のあたりに尖圭コンジローマと呼ばれるイボを作るタイプもありますが、ガンを起こすのは自覚症状のないタイプです。パップスメアで異常が出た場合、このウイルスが関係している場合が多いです。DNA鑑定でガンを起こしやすいハイリスクのタイプのウイルスなのか、それともガン化を起こしにくい低リスクのタイプのウイルスなのか鑑定することができます。

次のような理由から、子宮頸ガンの検査を受けることは非常に大切です。

  1. 子宮頸ガンの初期にはまったく自覚症状がないため、定期的な検診を受けないと発見できません。
  2. 子宮頸ガンは初期に発見できれば、ほぼ100%完治します。
  3. しかし、子宮頸ガンは手遅れになると死亡することもある、怖い病気です。アメリカ人の間では子宮ガンの検診が徹底されてきたので死亡率が減っていますが、アメリカに住む外国人の間では検診率が低いため、死亡率が高くなっています。
  4. 最近ではHPVウイルスが日本人女性の間にも多くみられるようになりました。また、タバコを吸う女性が増えたことからも、子宮頸ガンの発生率がこれからも増えることが予想されます。

情報提供:押尾祥子先生(ナースプラクティショナー・助産師・看護学博士)
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