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アメリカの連邦祝日『コロンブス・デー』と『先住民の日』

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コロンブス・デー(Columbus Day)は、アメリカ合衆国の連邦祝日の一つで、10月の第2月曜日に祝われます。1492年にイタリア人のクリストファー・コロンブスがスペインから航海し、現在のバハマ諸島に到達したことを記念するもので、1968年にリンドン・ジョンソン大統領が『コロンブス・デー』を連邦祝日にする法案に署名し、1971年に連邦祝日となりました。

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賛否両論を呼ぶ理由

この日は、特にイタリア系アメリカ人にとっては、コロンブスの功績を讃える文化的・歴史的意義を持つ日とされ、パレードなども各地で開催されてきました。

しかし、コロンブスの生涯についての研究が進み、先住民にとってコロンブスの到着は土地の強奪、文化の破壊、虐殺の始まりでもあったこと、ヨーロッパから探検家や入植者が到着するはるか昔から先住民が住んでいた事実に対する認識が深まるにつれ、Indigenous Peoples’ Day(先住民の日)や Native American Day(アメリカ先住民の日)を正式に制定することを求める運動が活発になりました。

1990年、サウスダコタ州はアメリカで初めて「先住民の日(Indigenous Peoples’ Day)」を制定。先住民が人口の推定約8.5%を占めるサウスダコタ州は、1990年にこの日を「アメリカ先住民の日」に制定した最初の州と考えられています。(2023年国勢調査)以降、全米各地の州や都市が、10月第2月曜日を先住民の文化と歴史を称える日として祝うようになりました。

『先住民の日』(Indigenous Peoples’ Day)とは?

「先住民の日」(Indigenous Peoples’ Day)は、アメリカ先住民(Native Americans)の多様な文化、歴史、貢献を称える日です。この日は、従来のコロンブス中心の物語に代わり、先住民の視点に立った歴史の重要性を再認識する機会として位置づけられています。

2021年10月8日、バイデン大統領はアメリカ合衆国大統領として初めて、連邦レベルでも10月第2月曜日を Indigenous Peoples’ Day(先住民の日)と正式に認める大統領布告(presidential proclamation)を発出しました。これは、後にアメリカ合衆国が建国される土地を含むアメリカ大陸の最初の住民は先住民であることを認める日です。

バイデン大統領はこの大統領布告で、「何世代にもわたり、連邦政府は組織的に先住民を同化させ、追放し、先住民の文化を根絶しようとしてきた」「今日、私たちは先住民の回復力と強さ、そして彼らがアメリカ社会のあらゆる側面に与えてきた計り知れないポジティブな影響を認識する」と述べています。

また、バイデン大統領は、米国議会で定められたコロンブス・デーについての宣言も行いました。この宣言書では、イタリア系アメリカ人のアメリカ社会の伝統と文化を豊かにし、貢献し続けていることを称賛する一方で、コロンブスをはじめとする同時代の探検家たちがアメリカ大陸にもたらした害悪についても言及しています。

「今日、私たちは、多くのヨーロッパ出身の探検家が部族国家や先住民のコミュニティに与えた過ちと残虐行為の痛ましい歴史を認識している。過去の恥ずべき事実を埋もれさせず、正直に向き合い、明るみにし、できる限りの対策を講じることは、私たちの国家としての偉大さを示すものだ。西部開拓は先住民のコミュニティに、暴力、部族の強制移動と土地の盗用、病気の持ち込みと蔓延など、荒廃の波をもたらした。 この日、私たちはこの痛ましい過去を認識し、先住民のコミュニティに投資し、部族主権という厳粛で神聖な約束を守り、すべての人々の尊厳、敬意、正義、機会を中心とした明るい未来を追求することを決意する」

ただし、コロンブス・デーは廃止されたわけではなく、引き続き連邦祝日として存続しており、同じ日に二つの記念日が併存する形になっています。

2025年時点で、先住民の日(Indigenous People’s Day)は28州で認められており、ワシントン D.C.、メイン州、ネブラスカ州、ニューメキシコ州で州の祝日に制定されています。(Time and Table

ワシントン州での『コロンブス・デー』と『先住民の日』の扱い

コロンブス・デー(Columbus Day)の扱い

コロンブス・デーは連邦祝日(federal holiday)ですが、ワシントン州の祝日(state holiday)ではありません
州政府の公式祝日一覧には、コロンブス・デーは含まれていません。そのため、州政府機関や地方自治体のオフィスは通常通り営業し、州職員も勤務します。ただし、連邦祝日であるため、連邦政府機関(郵便局、連邦裁判所など)は休業となります。

先住民の日(Indigenous Peoples’ Day)の扱い

ワシントン州では、先住民の日(Indigenous Peoples’ Day)を州の公式祝日として認定していません
州政府の公式祝日一覧には、コロンブス・デーは含まれていません。

しかし、シアトル市やオリンピア市などの一部自治体では、先住民の日を公式に認めています。シアトル市は2014年に、オリンピア市は2015年にそれぞれ先住民の日を制定しました。これらの都市では、10月第2月曜日に先住民の文化や歴史を称えるイベントや式典が開催されています。

ネイティブ・アメリカン・ヘリテージ・デー(Native American Heritage Day)

ワシントン州では、11月の第4木曜日(感謝祭)の翌日である金曜日を「ネイティブ・アメリカン・ヘリテージ・デー」として州の公式祝日に定めています州政府の公式祝日一覧)。この日は、州政府機関は休業となります。

まとめ

祝日ワシントン州の扱い
コロンブス・デー(10月第2月曜日)州の祝日ではない。州政府機関は通常営業。
先住民の日(10月第2月曜日)州の公式祝日ではないが、一部自治体(例:シアトル、オリンピア)で認定。
ネイティブ・アメリカン・ヘリテージ・デー(11月第4木曜日の翌日)州の公式祝日として認定。州政府機関は休業。
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