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第52回 冬の庭の話

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真知子・フォートさん

執筆者:真知子・フォート
2010年にワシントン州立大学のエクステンション・プログラムでマスターガーデナーの資格を取得して以来、コミュニティ・ガーデンや園芸相談、コミュニティガーデンの世話などボランティア活動を続けています。自宅のスタジオではイケバナ教室を開講中。初級クラスはオンラインでも受講できます。お問い合わせは machikofa@gmail.com まで。

草月指導者連盟会員、草月シアトル支部ボードメンバー、インターナショナルイケバナシアトル支部ボードメンバー

今年もクリスマスが迫り、まもなく新しい年が明けますね。

新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだせいか、昨年に比べると不自由さはそれほど感じませんでしたが、ここにきて再び感染が始まっているようです。

そして、経済の低迷、インフレーションが進み、30年振りの物価の高騰、品物不足もあり、お買い物に行っては驚きの連続です。来年はどんな年になるのだろうと不安ではありますが、来年への希望と祈りをこめて、恒例の草月シアトル支部 Virtual Exhibition に出展する 祝い花をいけようと、花材探しに我が家の庭を散策しました。

冬の庭は寂し気ですが、赤い実と花の蕾をつけツヤツヤした緑の葉の美しい常緑低木が目に入ってきました。なんと、あの地味なスキミア(Skimmia)!醜いアヒルが美しい白鳥になった童話を思い出しました。

スキミア

スキミア

ミカン科の常緑低木のスキミアは、晩秋から冬に赤い実と花の蕾をつけて、春になると白い小花を咲かせます。実をつける雌株と花を咲かせる雄株があり、実をつけるには受粉が必要なので、花を咲かせる雄株を近くに植える必要があります。

我が家の庭に植わっているスキミアは2株、少なくとも15年以上は経過しているはずで、成長が遅く今の今までほとんど気付かずにいました。半日蔭の木漏れ日のある小道沿いで、寒さにも暑さにも強く、害虫もつかず、病気もなし。水やりも、肥料も、剪定もしていません。なんて手のかからない植物なのでしょう!

他の花材も集まりました。まず、窓のあるユニークな背の高い花瓶に、庭に落ちていた苔付きの枝をはべらし自然のたたずまいを作り、スキミアと曲線のある赤い実のクラスターベリー(Cluster Berry)でラインを出して骨組みにし、お店で買ってきたもう一種の直線の赤い実(Winter berry)とフォーカルの白いユリをいれ、スキミアの葉を少々加え、バランスよく整えました。前に向かって進んでいけそうな、力強い祝い花がいけられ満足です。

スキミア

スキミアを使ったイケバナ

もう今年もこれでいけ終わりと思っていたら、庭を散策中、甘い甘い香りに誘われていくと、花が終わった後に、忘れずに有機肥料及びコンポストを与えたのが効き、すごい花の数の Pink Dawn Viburnum(ガマズミ属)が咲いているではありませんか。

Pink Dawn Viburnum

Pink Dawn Viburnum(ガマズミ属)

我が家の半日蔭の庭に10年ぐらいでしょうか。落葉花木で、ピンク甘い香りの可愛い小花が冬から早春まで咲き続ける貴重な冬の植物です。すっかり高揚して、もう一点、2022年は好転するようにと心をこめて、日本の伝統的な松竹梅(しょうちくばい)のようなイケバナ及びビデオを創作することができました。これらは、草月イケバナシアトル支部の Virtual Exhibition にてご覧いただけます。

Pink Dawn Viburnum

Pink Dawn Viburnum(ガマズミ属)
を使ったイケバナ

松(しょう)は、適当なのが見つからず、友達に分けてもらい、竹(ちく)は竹ひごを花器に巻き付け、門松(かどまつ)効果を出し、おめでたい白と赤の水引きを巻き、梅(ばい)は、ここ地元では2月頃に咲き始めますから、この Viburnum を梅の代わりに使い、フォーカル花はピンクのオリエンタルリリーを使いました。とても明るい祝い花になり、来年は大丈夫と思えます。早々と、玄関を入ったところに飾っていますが、Viburnum の甘い香りが家中に漂い、心が和みます。

ただ今、草月シアトル支部会員たちによる作品がバーチャルで見られる Virtual Exhibition が公開されています。

このサイトをクリックすると、ホームページが出てきます。Home の隣の2021 Annual Exhibitionをクリックすると、2021 Demo と 2021 Photo の二つの選択が出てきますので、見たい方をクリックしてください。Demo の方は、クリスマス花や新年イケバナなどのいけ方をご覧になれますので、いけてみようと思っている方には参考になるかと思います。Photo の方は、新年、クリスマス、冬、秋のテーマで様々な作品が出展されています。お楽しみください!

2022年も心身ともに健やかに、Happy Gardening!

掲載:2021年12月

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