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スピーチ・セラピー 第2回「音声(speech)」について

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今回は、スピーチセラピーの1つの分野である「音声(speech)」についてお話したいと思います。

音声(speech)に関する分野には、構音、吃音、声、発語失行などの症状が含まれます。

「構音」

構音とは、肺からの呼気を使い、声帯や舌・唇などの器官を動かすことによって、言語音を作り出すことを言います。言語に含まれる音を誤って構音してしまうことを「構音障害」と言いますが、その原因はさまざまです。たとえば、

  1. 構音器官に麻痺がある場合
  2. 口蓋裂などの器質的原因によって正しく構音できない場合
  3. 聴力障害のため正しく音を聞き取れないために誤った構音をしてしまう場合
  4. 上記のような特定の原因がないにもかかわらず、カ行、サ行など、ある一定の音が言えない場合。

4歳を過ぎてもはっきりとおしゃべりできない場合や言えない音がある場合には、周囲から指摘されることによる心理的ストレスの原因にもなるため、スピーチセラピーによる問題改善が望まれます。

「吃音」

アカデミー賞を受賞した映画 『英国王のスピーチ』(原題:The King’s Speech)をご覧になられた方もいらっしゃると思いますが、この映画では吃音症状で悩む英国王ジョージ6世が描かれていました。映画の中で紹介されている治療法は現在行われている治療法とは異なりますが、吃音を理解する上ではとても参考になる映画だと思います。吃音の症状には以下の3つがあります。

  1. 単語の一部を繰り返してしまう(例、「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくは」)
  2. 単語内の一音を引き伸ばしてしまう(例、「ぼーーーーくは」)
  3. 話し出そうとしても言葉がつまって出てこない(例「・・・・・ぼくは」)

原因としては、遺伝的・神経的・心理的原因のほか、発達段階の途中で一時的に現れるものもあります。家族に吃音の問題がある人がいる、言語発達に遅れがある、あるいは吃音症状が6ヶ月以上続いている、といった場合には自然治癒の可能性が低いため専門家に相談した方がよいでしょう。お子さんに吃音が出てきた場合、お子さんの言葉を代弁するのではなく、お子さんが落ち着いて話せるよう、生活のペースを少しゆっくりにしてあげたり、お子さんの話をゆっくり聞いてあげる雰囲気作りをしてあげることが大切です。

「声」

声の障害とは、声帯ポリープや喉頭癌、麻痺などの疾患によってうまく声が出せなくなることで、年齢・性別不相応な声の高さや大きさもこのカテゴリに含まれます。日常生活の中で、大きな声を出しすぎた後や風邪を引いたときに、一時的に声がでなくなってしまったり、声が裏返ってしまったりすることがありますが、そういった一時的な症状が慢性的に続いてしまう場合は、スピーチセラピーの対象になります。

「発語失行」

あまり聞きなれない言葉だと思いますが、「発語失行」とは口腔器官の麻痺などがないにも関わらず、大脳で発語のプログラミングがうまくできないために正しく発語できない状態を言います。脳梗塞の後遺症としてこの症状が現れることもありますが、発語失行を持って生まれてくる(先天性発語失行)子どももいます。

以上、今回は「音声(speech)」に含まれる症状についてご説明いたしました。次回は「言語(language)」についてお話したいと思います。

情報提供:言語聴覚士 鈴木 美佐子さん

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