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根強いファンを持つ料理人の中野隆一さん、エドモンズ市に『山海』を開店

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2002年に独立開店した店を人気のネイバーフッド・レストランに育てあげた中野隆一さんが、約1年半の準備期間を経て、シアトル郊外のエドモンズ市に日本食レストラン『山海』を開店しました。シアトル市の中心ではなく、あえて郊外の街を選んだこと、『山海』ならではのこだわりなどについてお話を伺いました。

中野隆一さん

中野隆一さん(中央)

― 開店おめでとうございます。新しくオープンされた『山海』について教えてください。

今回の店は32席で、『喜作』 の半分弱くらいのサイズです。エドモンズは10年くらい前まではリタイアした人たちが多く住む静かな街でしたが、シアトル市内の地価高騰と住宅不足からか、近年、若い世代の住民が増えています。

街はウォーターフロントにあり、夏は観光客が多いですね。エドモンズ市自体が、一年を通していろいろなイベントで集客に貢献してくれることもあり、ここ数年、エドモンズのレストラン業界も非常に活気があります。

いずれはここで店ができたらいいなあと数年前から思っていました。

中野隆一さん

― 中野さんがまたカウンターでお寿司を握ってくださるのをとても楽しみにしていたファンが多いと思います。『山海』ならではのメニューやこだわりは。

今回はディナー営業のみなので、午前中からお昼過ぎまでは、まるまる自分の仕込みと研究に充てられます。

今まで時間の制約などでできなかった、一手間かかったメニューを増やしていこうと思っています。基本は、お客様に楽しんでもらって帰っていただくことが大原則です。

― シーフードに関してはサステナビリティが注目されています。伝統的な寿司は新鮮な魚介類が命ですが、中野さんの今後の寿司についてのお考えを聞かせてください。

中野隆一さん

サステイナビリティと魚の問題は難しいですが、基本はマーケットにあるものは何でも使う方針です。あえて、サステイナビリティを全面に出すことはしないつもりです。

ただ、資源保護は大切ですので、獲る側の人たちをレギュレーションでコントロールして欲しいと思います。もう獲った後では、美味しく食べるしかそれを活かす道はないですので(笑)。

養殖業者も技術の向上等を通じて、環境にやさしい養殖をしてほしいですね。現在のところ、北米の養殖場は日本のそれに遠く及んでいないと思います。

― ありがとうございました。

岐阜県高山市出身の中野さんが料理人になりたいと思ったのは、生活費のために居酒屋でアルバイトを始めたのがきっかけだったそう。大学卒業後に新卒で就職した製薬会社を辞め、茨城県の割烹『喜作』で料理の道に入りました。その後、1990年にハワイのレストランから誘われて移住しましたが、「日本にはいつでも帰れる」と、1992年にシアトルのレストランへ。以来、ずっとシアトルで寿司を握り、シアトルを代表する寿司職人の一人として根強いファンがついています。

グランドオープニング当日の11月1日は、中野さんの寿司に舌鼓を打つ人たちでにぎわっていました。メニューには、刺身や寿司、てんぷらなどの定番は言うまでもなく、地元産グイダックのソテー、塩麹に漬けた鶏肉のグリル、鰻のちらし寿司、そしてアメリカならではの意外な食材を組み合わせた巻き寿司などもラインアップ。これからさらに産地や素材にこだわった料理が楽しめそうで、期待が高まります。

SanKai 山海
111 4th Ave North, Edmonds
(425) 412-3417
www.sankaisushi.com
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中野隆一さん 略歴
岐阜県高山市出身。大学時代にアルバイトをした居酒屋で料理に目覚め、新卒で入社した製薬会社を退職して料理の道へ。茨城県の割烹『喜作』で修行し、1990年から約2年にわたりハワイのレストランに勤務した後、1992年にシアトルのレストランへ。10年後の2002年に独立し、グリーン・レイクのそばに開店した『喜作』をネイバーフッド・レストランに育てあげるが、2018年に売却。翌2019年11月に地元のエドモンズ市に『山海』を開店。

掲載:2019年11月

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