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芥川賞受賞作家・中村文則さん朗読会

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芥川賞受賞作家・中村文則さん朗読会

2005年に 『土の中の子供』 で第133回芥川賞を受賞した作家の中村文則さんが、全米ツアーの一環でシアトルを訪れ、25日に Panama Hotel Tea & Coffee House で朗読会を開催した。

アメリカでは昨年3月に初めて、第4回大江健三郎賞受賞作 『掏摸<スリ>』 の英訳本『The Thief』 を出版。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の2012年ベスト・フィクション10冊に選ばれたほか、ロサンゼルス・タイムズ文学賞にもノミネートされた。現在、アメリカを含む9カ国で翻訳出版されている。

中村さんが小説と出会ったのは高校生の時。太宰治や三島由紀夫、芥川龍之介、安部公房、大江健三郎などの著作を愛読し、海外の作家ではドフトエフスキーやカミュ、カフカ、サルトルなどを好んだ。「支えになったのは、自分自身でも周囲の大人でもなく、作家の言葉」だったという。「あの頃にたくさん本を読んでいなかったら、作家になっていなかったかもしれません。傍らにはいつも本がありました。」大学在学中に小説を書き始め、25歳の時に 『銃』 で第34回新潮新人賞を受賞して作家デビューを果たした。

中村さんの8作目の著作 『掏摸<スリ>』 は、都会に生きる天才的スリ師が主人公。スリの場面を細かく描写するため、友人を実験台に練習もした。「人の運命をコントロールする存在がいれば怖いという思いがありました。”スリ” と “コントロール” という2つのキーワードが組み合わさった時に、これは小説にできると確信しました。人間には誰でも悪の部分があって、そこを描くことでより人間を深く理解することができるのではと思っています。」

2010年に出版した 『悪と仮面のルール』 の英訳本 『Evil and the Mask』 も今年6月にアメリカで出版される予定だ。中村さんはアメリカでの出版を機に、英語の勉強にも本格的に力を入れている。「英訳本を自分でも読みましたが、言いたいことがそのまま伝わっていると思いました。アメリカの人には、どの著作も読んでもらいたいですね。」

芥川賞受賞作家・中村文則さん 全米ツアーの一環で朗読会を開催

紀伊国屋シアトル店では、中村さんの 『土の中の子供』『銃』『悪意の手記』『世界の果て』『迷宮』『惑いの森~50ストーリーズ』『掏摸<スリ>』 の8冊が購入できる。

掲載: 2013年5月2日

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