スクイム(Sequim)は、オリンピック半島北部、ポート・エンジェルスの東に位置する人口約7,000人の小さな町。温暖で雨の少ない気候で、北米最大のラベンダーの栽培地であることから、「アメリカのラベンダーの都(Lavender Capital of North America)」として知られています。
7月中旬になると、町の中心部でラベンダー・フェスティバル・ストリートフェアが開催され、ラベンダーの花はもちろん、そのエキスで作られた石鹸やシャンプーなどさまざまな商品を購入できます。
スクイムの歴史
この地域は長年にわたり先住民族クララム族などが住んでいたところで、”Sequim” という名前はその言葉に由来し、「静かな水の地」という意味を持つとされています。
現在のスクイム周辺を探検していたジョージ・バンクーバー船長が、イギリスのダンジネスに似た地域をニュー・ダンジネスと命名したのは1792年のこと。
オリンピック山脈の「レインシャドウ効果(雨陰効果)」によって、周囲よりも雨が少ない土地として人気が高まり、19世紀後半から白人の入植が進みました。また、隠居生活を送る場所としても人気が高まり、Costco や KFC、QFC などといった大手チェーンが店舗を設置するようになりました。
スクイムの町に差し掛かると、オリンピック半島に固有のルーズベルト・エルクをかたどった金属製の彫刻がハイウェイの右側に設置されているのが見えます。スクイムには約100頭のルーズベルト・エルクが群れをなして住んでおり、車が通る道路でさえも我が物顔で占領することがあるそう。オスのエルクは体重千ポンド、メスのエルクは体重700ポンドもあり、衝突すると車に乗っている方も大ケガをすることになりかねません!注意して運転しましょう。
アクセス

シアトルからは:
- フェリー(エドモンズ → キングストン)+ドライブ(約1時間30分)
- または陸路で I-5 を南下 → ハイウェイ104号 → ハイウェイ101号に合流(合計約3時間)
スクイム周辺の見どころ
- オリンピック・ゲームファーム(家族連れ・動物好きに)
- ラベンダーファーム(夏が見頃。6月下旬〜7月中旬)
- ダンジェネス・スピット(Dungeness Spit)
北米最長の自然の砂嘴(長さ約8km)を歩く人気トレイル。野鳥観察や潮風を感じながらの散策に最適。 - スクイム湾自然保護区(Sequim Bay State Park)
キャンプやカヤック、潮干狩りが楽しめる海辺の州立公園。
ダンジネス・スピット(砂嘴)と野生生物保護区

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スクイムに来たら、スクイム・ベイ州立公園や、米国最長の自然砂でできた長さ約5.5マイル(約8.8キロ)の砂嘴(Spit:さし)と、アザラシや鹿などの野生動物や野鳥がたわむれるダンジネス野生生物保護区は見逃せません。
毎年約15フィート(約4.5メートル)ずつ伸びる砂嘴の先端にある灯台 The New Dungeness Lighthouse は1746年に建てられたもので、駐車場からこの灯台までは片道約5.5マイル(約8.8キロ)のトレイルになっています。砂の上をゆっくり歩けば約3時間かかりますが、晴れた日はカナダのバンクーバー島やあざらしなどの海洋生物、鹿の群れなどを見ることができるので、少しだけでも歩いてみてはいかがでしょう。

灯台には民間人の入場も許されているので、ぜひ入ってみましょう。ボランティアで灯台守をしている人たちとの世間話では珍しい話が聞けるかもしれません。内部の螺旋階段を登りきったところから眺めるファン・デ・フカ海峡は美しい。周辺はきれいな芝生が植えられ、夏はピクニック・テーブルでのんびりできるので、ランチを持参して出かけるのもおすすめです。
野生動物とふれあえる!オリンピック・ゲームファーム

オリンピック・ゲームファーム(Olympic Game Farm)は、スクイムにある野生動物パークです。動物園とは異なり、自家用車に乗ったまま園内をゆっくり走行しながら動物を見られるため、ストローラー(ベビーカー)や長時間の歩行が難しいお子さんやシニアもストレスなく楽しめます。バイソン、エルク、鹿、クマ、ラマなどが道のすぐそばまで近づいてきて、車の窓からパンを差し出すとその場で食べてくれることも。
この施設はもともと、ディズニー映画やTV番組のために訓練された動物たちの保護・飼育場所として始まったもので、設立者のクレイグ・ローズ氏はディズニーと長年提携し、『ドリトル先生航海記』や『ラッシー』など、数々の作品で活躍した動物たちの引退後の生活の場を提供していました。
現在は一般公開されており、子ども連れの家族旅行や自然・動物好きの観光客に大人気。年中無休(天候による変動あり)で、シアトルから日帰りでもアクセス可能です。
▶ 特に喜ばれるポイント
- 車のすぐそばまでやってくるラマやバイソンに大興奮!
- パン(専用のもの)を窓越しに差し出してエサやり体験ができる
- 鳥類や小動物を見学できるウォーキングゾーンもあり
- 車内でお昼寝もできるので、子どものリズムに合わせて動ける
▶ ファミリー向けアドバイス
- 車の窓やドアのロックを確認してから入園(動物が突いてくることがあります)
- 動物に与える用のパンは入口で購入可能(自前のパンは禁止)
- 休憩エリアやトイレもあります
- 双眼鏡やカメラをお忘れなく
晴れの日はもちろん、曇りや小雨でも十分楽しめるのもポイント。雨天でも窓を開けずに観察できるので、天候に左右されにくいお出かけ先として重宝します。
スクイムでの1日モデルコース|夏のラベンダーと自然に癒される旅

©︎Eiko
「スクイムを1日で満喫したい!」という方向けに、見どころをギュッと詰め込んだ1日モデルコースをご紹介します。シアトルから日帰りも可能ですが、できれば1泊してゆったり巡るのがおすすめです。
▶ 午前|オリンピック・ゲームファームで動物とふれあい
- 開園時間に合わせて訪問(動物たちの朝の食事時間&混雑前がおすすめ)
- ドライブスルーでゆっくり観察&エサやり
- ピクニックテーブルがあるので、外で食事をすることも可能
▶ 昼食|スクイムのカフェやファミリーレストランでランチ
- 「Oak Table Cafe」:地元で人気のブランチ・レストラン
- 「Adagio Bean and Leaf」:ラベンダー風味のドリンクが楽しめるおしゃれカフェ
▶ 午後(A)|ラベンダーファーム&自然体験
- 時期:6月末〜7月中旬がラベンダーの見頃
- 「Purple Haze Lavender Farm」や「B&B Family Farm」など、見学&ショップ併設の農園へ
▶ 午後(B)|ダンジネス・スピット&自然体験
- 天気のいい、寒すぎない日におすすめ
- 「ダンジェネス・スピット(Dungeness Spit)」で海辺の散歩や野鳥観察
- 地元の店でラベンダー製品、地元産はちみつ、ハーブティーなどを購入
- スクイム・マーケットもおすすめ(5月〜10月)