「スケトウ」と区別して「マダラ」と言いますが、「タラ」と言えば、普通は本種のことです。
タラは、北日本、オホーツク海、ベーリング海などに多く棲む寒体性の魚で、太平洋岸は相模湾以南にはいません。日本海側では南では水深150~200mの深い所に生息し、北に向かうにつれ浅いところにもいるようになり、樺太の辺りでは水深20mぐらいのところにいます。底曵き網や延縄(はえなわ)、刺し網によって漁獲されます。北米側はカリフォルニア沖までの沿岸に分布しています。
マダラは普通、群を作って泳ぎまわりますが、中には海底の岩のそばに棲みついて移動しないものもいます。高齢で太ったものは根ダラや磯ダラ、海を泳ぐスマートな体形のものは沖ダラと呼ばれます。
体長は1mあまりにも達し、体色は灰褐色で腹側は淡色となり、背中側には多く不定形の斑紋があります。
古来、タラ類は水産上の重要な資源です。特にヨーロッパでは、大西洋マダラはニシンと並んで古くから海洋漁業を支えてきました。北大西洋では、その資源をめぐってアイスランドとイギリスの間でタラ戦争が起こったほどです。
鍋・煮付け・ムニエル・粕漬けにすると美味しく、昔から乾燥魚としての利用も盛んで、素干しにされた干しダラ、棒ダラは保存性の高い食品として各地に流通しました。韓国では鍋、またキムチにも使用されるとかで、ホールでの輸出が好まれます。また、ヨーロッパ向けには以前、アラスカで水揚げ後、洋上または陸上でフィレを塩漬けにしたものが輸出されていましたが、現在は頭、および内臓を除去し、冷凍したマダラが輸出されています。ポルトガル向けには頭、および内臓を除去した冷凍品、ポルトガルの植民地だったブラジル向けには冷凍マダラをノルウエーで塩漬けにしたフィレがかなり輸出されているようです。ポルトガルでは、水で戻したこの塩蔵マダラ(ポルトガル、およびブラジルでは 『バカラオ』(bacalhau)と言う)を約500g、ジャガイモを1.5キロ、ニンニクを大1個、オリーブオイル、そしてパセリで煮た料理が有名とのことです。
「鱈腹食う」という俗語がありますが、これはタラは貪食性の魚でいろいろなものを多く食べ、そのため腹がふくれているところから出た言葉です。北日本では雪が降るころに獲れる魚なので、『鱈』 と書きます。
宇和島屋では、アラスカで延縄漁法で漁獲された生鮮マダラ(Pacific Cod、True cod)を販売しています。また、マダラの不漁時及びシーズン外では、延縄漁法で漁獲された生鮮マダラを船上で急速冷凍した鮮度抜群のマダラを販売します。ぜひ鍋にもご利用下さい。
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