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イワナ (漢字名:岩魚、分類:サケ目サケ科イワナ属、英名:Japanese Char)

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日本の本州では他の魚が生息できないような山間の渓流部でよく見られるため、一般に渓流魚の代表のようなイメージがあるイワナですが、その生活史は変異に富み、水温の低い北の地方では河川下流域に住むものや降海するものも多くいます。サケ科としてはやや細長い体は著しく細かいウロコにおおわれ、体側の斑紋は白~橙赤色。地色よりもむしろ淡く、腹びれやしりびれの前縁が白く染まっているなどといった特徴があります。

イワナは貪欲な肉食魚で、河川では水生昆虫や川面に落ちた昆虫、ザリガニや小型両棲類(カエルやサンショウウオなど)などを、海では小魚などを主に食べています。河川では普通は全長30~40センチほどまでしか成長しませんが、湖に住むものや降海したものにはときとして70センチを超すものもいます。釣り人の川魚の華ともいわれるイワナがサケ科とは信じられないことですが、イワナはサケ科の魚、アメマスが「陸封」されたもの。「陸封」とは川へのぼったサケやワカサギなどの稚魚が、川を下って海へ行こうとした際、火山の爆発や山崩れなどのため川がせきとめられて海へ下れなくなったため、しかたなく川にとまり、そのまま生活を続ける現象を言います。日本の産地は本州・四国・北海道の山間の渓流で、南は日本海側では島根県、瀬戸内海側は山口県まで広がると言われますが、九州にはいないようです。養殖されたイワナは、春から夏にかけ出荷され、市場を賑わせます。20~30センチの大きさのものは、塩焼き・バター焼き・揚げ物など、乾魚は竹串に刺して遠火でよく焼き、乾燥保存し、冬期に湯戻しをして甘露煮にします。

不思議なことですが、このイワナに該当する魚はシアトル近辺には生息してないようです。従って、残念ながら25センチ前後の塩焼き用の美味しい川魚は手に入りませんので、日本に行かれた際にぜひご賞味ください。筆者も、山梨県の山間の温泉旅館で山河会席料理の中に塩焼きのイワナ(養殖もの全長約25センチ)が出され、非常にうまかったことを思い出します。

7~8年前に類似品としてアラスカから 『Arctic Char』と呼ばれる魚を宇和島屋シアトル店で生鮮で販売しましたが、500グラムの大きさのためか一般的ではなく、まったく売れませんでした。

掲載:2008年9月

『お魚豆知識』 は、宇和島屋鮮魚部の沖良三さんが発行している 『Seafood Newsletter』 の一部です。宇和島屋の入荷商品やおすすめ商品の情報が満載ですので、ぜひご購読ください。お申し込みは seafoodnews@uwajimaya.com まで、日本語でどうぞ。

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