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クラムの一種:カックル (Cockle)

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約16年前、「日本のミルガイに似た貝、ゲイパー(Gaper、Horse clam)が、オレゴン州の太平洋岸にある」と、北海道のお客様に紹介したところ、「鮭の商談を兼ねてぜひ検品・試食したい」との回答があり、手配しました。

北海道から来られた水産業者の役員と量販店の専務で、ゲイパーの漁師兼水産会社の経営者と落ち合うべく、オレゴン州の水産基地の一つであるニューポートの近くの小さな漁港兼観光地に到着。目的はゲイパーでしたが、トラックの荷台に網袋に入って無造作に積まれていたカックル(Cockle:殻長12センチx幅9センチ)をご覧になり、「これは日本の石垣貝と同じだ、ぜひ活でサンプルを輸入したい、ゲイパーと共に手配して欲しい」と言われました。

何でもそうですが、初めての出荷には神経を使います。この2枚貝の輸出に際しては、オレゴンで水揚げ後、直ちにシアトルまで回送し、業者の活タンクに入れ、航空貨物の出発便に合わせて箱詰めし、酸素を注入し、出荷しました。

「貝のチョウツガイの部分を下にすると水切れが良くなりすぎ、身肉が乾燥して死亡率が高くなる」とのオレゴンの業者のアドバイスに従い、すべて横に並べた貝の上下を木屑のクッションで挟み、化学アイスで覆ったものです。活で2~3回輸出しましたが、このような努力にもかかわらず、残念ながらカックルは大味、ゲイパーは歩留まりが大変悪く、共に商売にはなりませんでした。

それでは、石垣貝とは何でしょうか。トリガイと同じザルガイ科で、色は違っていても、足の形や肉質はトリガイと似ています。殻長・殻高とも7~8センチになり、殻はトリガイよりも厚く、足は白っぽくなっています。鹿島灘以北、三陸、北海道が主産地で、千島~アリューシャン列島を経て北米西岸まで分布しています。初めはトリガイの代用品として出回っていましたが、今では石垣貝として市民権を得たようです。トリガイに近い種類なので、足がよく似ています。主に刺身、すし種にしますが、焼き物、煮物、鍋物などにも使われているようです。

宇和島屋では、マニラクラム(アサリ:Manila Clam)がよく売れており、カックルは「なじみがないことと、天然のため漁獲数量が少なく、供給が不安定、活でのライフが短い」という理由により、販売しておりません。

掲載:2008年12月

『お魚豆知識』 は、宇和島屋鮮魚部の沖良三さんが発行している 『Seafood Newsletter』 の一部です。宇和島屋の入荷商品やおすすめ商品の情報が満載ですので、ぜひご購読ください。お申し込みは seafoodnews@uwajimaya.com まで、日本語でどうぞ。



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