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国籍法第11条改正を求める署名運動

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アメリカ合衆国のパスポート(左)と日本のパスポート(右)。現時点では、アメリカ合衆国の国籍を取得した場合、日本の国籍を自動的に失うことになる。

現在の日本の法律では、外国籍を取得した日本人は、自動的に日本国籍を失ってしまうことをご存知でしょうか。

これは、明治32年(1899年)に定められた旧国籍法「第二十條 自己ノ志望ニ依リテ外國ノ國籍ヲ取得シタル者ハ日本ノ國籍ヲ失フ」の項目をそのまま維持して施行されている国籍法第11条にもとづいています。

しかし、現在の憲法22条には「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」とあり、国籍離脱は個人の「自由意思」でなされるべきと定められています。

そこで、日本人として海外に渡ったヨーロッパ在住の8人の方々が原告となり、国籍はく奪条項違憲訴訟を東京地方裁判所に起こしました。

もくじ

国籍はく奪条項違憲訴訟の目的は?

国籍はく奪条項違憲訴訟の目的は、日本に二重国籍を認めさせることではなく、仕事や生活などのやむを得ない事情から外国籍を取得する日本人が祖国の日本から自動的に国籍を失うのではなく、憲法22条に基づいて、「日本国籍を保持するかどうか、当人が選択できる」というように、国籍法第11条を改正することです。

今年1月21日に東京地裁は「自らの志望で外国籍を取得した人は、日本国籍を失うと定めた国籍法11条の規定は合憲」と判断し、原告側の請求を退けました。

原告は控訴し、東京高等裁判所での控訴審の第4回期日が、今年の9月6日(火)15時から行われます。

年内には判決が出されることが予想されますが、判決次第では、世界中の在外邦人、特に長期滞在者はもちろん、これからの子どもたち、日本の外に出る若者たちにも、そして日本の未来にも、大きな影響を与えることになります。

なぜ、今、この事実を考える必要があるの?

外務省によると、2021年10月時点で、日本国外で生活する在外日本人の数は134万4900人。長期滞在者は80万7238人で在留邦人全体の約60%、永住者は53万7662人で全体の約40%で前年から約1.5%増えています。

スイス在住の鈴木伸二さんが代表を務める「国籍法第11条改正を求める有志の会」は、日本国外で生活する在外日本人が外国籍を取得しても日本国籍を維持することに期待される日本への経済、文化、政治的効果を、次のように説明しています。

  • 国際化に伴い日本人の海外進出が増える昨今、在外邦人たちの尊厳と祖国に対する帰属意識を守ることができる。
  • 自らの国を大切に思い国際社会における日本人としての誇りを維持することにつながり、経済、政治、科学技術や学術分野などで活躍する国際人の育成を促進できる。
  • 今後も増え続けることが予想される在外邦人の日本国籍を維持することで、日本の少子高齢化の進行を間接的に防ぐ効果が期待できる。

母国でずっと生活している日本人の場合、国籍について特に考えずとも生活していけることから、家族や身近な人が外国籍を取得したために日本の国籍を失って受ける影響を目の当たりにでもしなければ、状況を理解するのは難しいかもしれません。

でも、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響で日本への外国人の入国が制限されたため、諸事情から外国籍を取得して日本国籍を失った人が日本の家族に会うという目的でも日本に入国できなくなった…となると、状況が理解しやすいのではないでしょうか。

また、先日、毎日新聞で報じられた、米国籍を取得してアリゾナ州で弁護士として働いている近藤ユリさんが「外国籍を取得すると日本国籍を失うと定めた国籍法の規定は「国籍離脱の自由」を保障した憲法に反する」などとして福岡地裁に訴訟を起こした件からも、日本と諸外国の往来が制限される非常事態が国籍にどのように影響を及ぼすかがわかります。記事によると、近藤さんは選挙権や税務関係の理由で米国籍を取得しましたが、老後を福岡県の自宅で過ごしたくても感染対策で日米の行き来が制限されているため、日本を出国すると日本に戻れなくなる可能性があり、ここ2年間は米国に戻ることもできなくなっているとのことです。

現在、外国籍の人が日本に入国するにはまだ複雑な手続きが必要であることから、同様のケースは少なくないことが想像できます。

「国籍法第11条改正を求める有志の会」は、「日本人が、外国籍を取得しても、日本の国籍も維持するかどうかを自分で決めるように国籍法第11条の改正を求める」ことを希望する人が多くいることを日本政府に伝えるため、オンラインで署名活動を展開しています。

なお、この件は、日本に二重国籍を認めさせることではなく、あくまでも「日本人が、外国籍を取得しても、日本の国籍も維持するかどうかを自分で決めるように国籍法第11条の改正を求める」というものです。

日本国外で生活する在外日本人では最大の約32%を占める米国の在外日本人の方々にもぜひこの件について知っていただければ。賛同される方は「国籍法第11条改正を求める有志の会」が呼びかけているオンライン署名運動にご協力ください。

・Change.org:「日本人が外国籍を取得した際、日本国籍を保持するか放棄するか選べるようにするため、私たちの運動を応援してください
国籍はく奪条項違憲訴訟 支援ネットワーク

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