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相談「夫が子育てに興味がないようです。夫との話し合いもできていません」

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ワシントン州認定ソーシャルワーカー
角谷 紀誉子さん

2019年3月15日付で、コンサルティングのサービスは終了しました。
【公式サイト】 www.successabroadcounseling.com

現在2歳の長女と1歳の長男がいます。夫は子供が生まれる前はとてもケアリングでしたが、子供が生まれてからは子育てに関心がなく、基本的なこと(オムツを換える、よだれを拭くなど)以外は私がしています。夫はフルタイムの仕事があるとは言え、他のご家庭の様子を聞くと、もっと「夫婦で一緒に子育てをしている」といった感じで、我が家との違いが見えてしまいます。夫に聞くとしても、「興味がないんだ」と言われるのも怖く、聞けていません。夫婦でカウンセリングに行ったほうがよいのでしょうか。

回答:子供さんが幼いので、毎日戦争のような日々を送られていると思います。あなたの立場になると手伝わない夫が「冷たい」「無責任」と感じると思いますが、夫側からよく聞くのは「子供ができてから自分に興味がなくなった妻」に対する失望です。もし、夫が忙しくて帰宅は遅く週末も不在が多いなら「分業体制」でうまくいくかも知れませんが、あなたのお話だと子供が生まれる前はケアリングだったということは、彼は家庭用の時間もエネルギーもちゃんと持てる人だと言えます。愛情はキャッチボールで、あげるから返してもらえるのであって、子供の世話であなたの愛情もエネルギーもすべてそちらに行っていると、夫にするとおもしろくありませんし、「家での自分の存在価値」まで疑ってしまう人もいるくらいです。「子育てがこんなに大変なのを見れば、夫に昔のようにできないのは当然」という理屈は女性には通りますが、ほとんどの男性には通らないのです。アメリカの2001年国勢調査によると、離婚の第1のピークは結婚後7-8年でもっとも多い59%、その後下降し、次のピークは結婚後17年、最後のピークが結婚後23年です。初めのピークは子供が幼い頃、第2は子供が高校卒業頃、第3は大学卒業頃で、離婚と子供は密接な関連があると言えます。つまり、子供ができてから増えるストレスに対応できるかどうかに結婚の行方がかかかっているのです。どちらが正しい、間違っているのではなく、理屈でもありません。お互いの立場を理解できる夫婦、その努力ができる夫婦がストレスを乗り越えていけるのです。

あなたにできるのは、時間の使い方を考え直し、なんとかして「夫との時間」を捻出することです。そして夫と話し始めることです。彼に「興味がない」と言われるのが怖くて聞けないとありますが、肝心なことを話さないでいるとこれから2人の距離はどんどん広がる一方です。「昔優しかったからいつかわかってくれる」「子供が大きくなったら元に戻るだろう」と、ごまかしてはいけません。「最近のことで話したいんだけど」と切り出して、「あなたの思っていること、何でもいいから教えて」と聞いてみましょう。話し始めると、彼はおそらくあなたの恐れているように文句や愚痴が出てきたり、あなたを責めたりするかもしれません。しかし、そこであなたは「でも私だって大変なの」「友達の夫はもっと協力的よ」などと絶対に言わないこと、それからあなたは感情的にならないことです。まず、じっくりと彼の鬱憤や悲しみを聞いてあげることが大切なのです。聞く間は「あなたのこと」に関する責めや怒りはなるべく無視して、「彼の気持ち」に焦点を当てるようにしてください。「君が子供ばかりで淋しい」と言ったら「淋しかったんだね」と言ってあげましょう。「君の子供に対する愛情を見ていると、もう僕のことを愛していないと思う」と言ったら「あなたは私があなたをもう愛していないって感じたんだね」と言うのです。「そんなことない、私だって辛いのよ」「夫婦だから愛してるに決まってるでしょう」「私にはシャワーを浴びる時間もないのに!」などの返事はケンカをもたらします。夫が何を感じていたのかを知ったら、やっとそこでどうすればいいかの解決策が考えられるのです。夫の本心を知ることなく推測で機嫌を取るようなことをしても、ピント外れで余計に状況を悪化することにもなりかねません。あなたがあなたの大変さを話せるのは、彼が「やっと僕のことをわかってもらえた」と得心してからです。相手の話をちゃんと聞けて理解し合える夫婦になるのは簡単ではありません。聞く練習、話す練習を重ね、喧嘩にならずに何時間も話しあうことで、問題解決ができるチームになれるのです。

また、ベビーシッターをしてくれる人や、助けてくれるような人がいない場合、2人で全てをまかなわなければならないのは大変なストレスであることも頭に入れて欲しいと思います。これは核家族化の問題で、努力してサポート・システムを作らなければ、「すべて自分でやらなければならない」というプレッシャーに押しつぶされてしまいます。疲れたら助けてもらう、適当にやる、簡素化するという工夫をしてください。カウンセリングに行くのは自分たちで以上のような練習をやってみてからです。

掲載:2006年9月

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。



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