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パシフィック・ノースウェスト・バレエ公演 『くるみ割り人形』 を体験

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ホリデー・シーズンの定番の舞台と言えば、バレエ 『くるみ割り人形(Nutcracker)』。今回はシアトルのバレエ団パシフィック・ノースウェスト・バレエ(以下 PNB)の公演を体験してきました。

PNB くるみ割り人形

©Angela Sterling

喧騒を忘れる空間

PNB の本拠地マッカウ・ホールへ向かったのは、交通渋滞のひどい金曜の夜。道中私のイライラは最高潮に達しましたが、ホールのドアを開けると気分が一変。まばゆいホリデー・ツリーやドレスアップした人々の華やいだ表情に、私のホリデー・モードにスイッチが入りました。

巨大な仕掛け絵本のような舞台

PNB くるみ割り人形

©Angela Sterling

この公演の振り付けは創設時から数十年にわたり芸術監督を務めたケント・ストウェル氏、舞台・衣装デザインは絵本 『Where the Wild Things Are(邦題 『かいじゅうたちのいるところ』)』 の作者モーリス・センダック氏。満員のホールの照明が消えると、誰もが一度は耳にしたことのあるチャイコフスキーの楽曲が軽やかに流れ出し、2幕3場のバレエが幕を開けました。淡くスモーキーな色彩が作り出す幻想的な世界に、王子役の赤い衣装が映えます。天井まで届くほどのツリーや奥行きのあるセットは巨大な仕掛け絵本のようでした。

子供が主役

PNB くるみ割り人形

©Angela Sterling

子供がけんかをしたり、老人が腰をいたわったりといった日常の仕草がバレエを身近なものにしてくれる中、「くるみ割り人形とねずみの王様の戦い」から「雪の踊り」への転換など、動から静、静から動へと、作品の印象が次々に変化していきます。ですが、やはり注目すべきは子供たち。創設芸術監督ケント・ストウェル氏の言葉 “This Nutcracker, perhaps more than any other, is for, by and about children.” (この 『くるみ割り人形』 はおそらく何よりも、子供のための、子供による、子供に関するバレエなんだ)どおり、子供たちの一生懸命な踊りに和まされます。

初演から30年を迎えたホリデー・トラディション

PNB くるみ割り人形

©Angela Sterling

ストウェル氏とセンダック氏により生まれたこの演目も今年で30周年。この公演を観るのがホリデー・トラディションになっているご家庭も多いと思いますが、ニューヨーク・タイムズ紙が “the finest ballet orchestra in the country(全米最高のバレエ・オーケストラ)” と評したオーケストラとダンサーの織り成す芸術は一度は子供に見せてあげたいホンモノ。午後7時半の開演だと、終了は午後10時近くなってしまうので、幼いお子様連れにはマチネー公演をお勧めします。

掲載:2013年12月 取材・文:ハフマン・ワカバ

Pacific Northwest Ballet パシフィック・ノースウェスト・バレエ
【住所】 Marion Oliver McCaw Hall(321 Mercer Street, Seattle)
【電話】 ボックスオフィス (206) 441-2424
【公式サイト】 www.pnb.org

レクチャー・シリーズ開演前レクチャー・上演後 Q&A

公演日に行われる開演前レクチャーと上演後の Q&A(いずれも無料)は、公演チケット購入者のみ入場できます。

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