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スピーチ・セラピー 第13回「ごっこ遊びと言語の発達」

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「子どもは遊びが仕事」と言われますが、今回は、遊びの中でもごっこ遊びに注目してみたいと思います。

子どもは、1歳前後で「パパ」「ママ」などの初めての言葉を発するようになりますが、同じ頃、空のコップで「飲む」ふりをしたり、おもちゃの食べ物を使って「食べる」ふりをするといった 『ごっこ遊び』 が始まります。

その後、2歳前後で「ワンワンきた」「ミルクちょうだい」などの2語文が出るようになる頃、ごっこ遊びでも、人形にミルクを飲ませるふりをしてから、スプーンを使って食べさせるふりをするなど、2段階のごっこ遊びが出現してきます。それから徐々に、おかあさんになりきって人形の世話をしたり、ごはんを作るふりをするなど、ごっこ遊びにストーリー性が出てきます。そして、3歳前には、一人遊びだけでなく、お友達と一緒にごっこ遊びができるようになってきます。

このように見ていくと、ごっこ遊びと言語は相互に関係しつつ発達していくことがわかります。では、ごっこ遊びができるようになるのにはどのような力が必要なのでしょうか。

もくじ

1. 言語力

「私はママね。◯◯ちゃんは赤ちゃんね。赤ちゃんがお腹がすいて、泣いちゃってるの。ママはミルクをもってくるから、まっててね。」 女の子のごっこ遊びでは定番のおかあさんごっこですが、こうしたごっこ遊びの中で、遊びに登場する人物や場面、場面の流れを理解し言葉で表現する力は、その後の物語を読んで理解する力につながっていきます。また、ごっこ遊びの中で使う語彙を通して、語彙力の広がりにもつながります。

2. 社会的コミュニケーション力

「おかあさんごっこ」「お医者さんごっこ」など他者になりきって遊ぶごっこ遊びでは、他者の考え方や気持ちを理解する力が必要になります。また、お友達と一緒にするごっこ遊びをとおして、お友達と一緒に協力する力、順番を守ること、自分とは異なる視点を持つお友達と話し合う力などが培われています。

3. 認知力

ごっこ遊びでは、さまざまな認知力を育てることにもつながります。例えば、子どもたちは想像力を働かせて、棒を体温計に見立てたり、怪獣になりきったりします。また、1つのテーマにそってお友達とごっこ遊びする中では、ルールや指示に従う力、遊びに登場する様々な情報を記憶する力、注意集中する力などが必要になります。

子どもたちは、毎日の生活の中での経験や絵本、テレビ、映画などの題材をもとに、ごっこ遊びを展開していきます。前述のように、子どもたちは最初からごっこ遊びが上手なわけではありません。子どもたちがごっこ遊びを上手に展開していけるよう、まずは、大人が一緒に遊びながら、テーマの決定や役割分担、遊びの展開などを手助けしてあげるとよいでしょう。『ノンタンはっくしょん!』 などのごっこ遊びを題材にした絵本や動画を使うことで、ごっこ遊びのモデルを示してあげるのも良いでしょう。

情報提供:言語聴覚士 鈴木 美佐子さん

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