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トランプ政権下で再注目される企業のソーシャルメディア対応

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米国では再び TikTok の行方が注目を集めています。ドナルド・トランプ大統領は、ByteDance 社による同アプリの売却期限を再び延長、現在の猶予期間は6月までとなっており、政治的判断が揺れています。

TikTok 問題以外にも多くの政治的判断に賛否両論が渦巻く現在、企業にとって重要なことは、こうしたソーシャルメディアプラットフォームが職場にもたらす、直接的・間接的影響と対策です。

TikTok 禁止と労働者への影響

SHRM(米国人事マネジメント協会)は、TikTok 禁止の是非をめぐる議論の渦中に、米国の労働者1,500人超を対象とした調査を実施しました。

その結果、職場で TikTok を使っている従業員の多くが、精神的な休憩(65%)、ストレス軽減(53%)、気分転換(56%)などを目的としてアプリを利用している実態が明らかになりました。つまり、TikTok は単なる「暇つぶし」ではなく、リフレッシュツールとして機能している場合も少なくないのです。

一方、生産性への影響については、65%の回答者が「禁止されても生産性に変化なし」と回答し、19%は「向上する」と考えています。

興味深いのは、従業員の16%は「禁止されると生産性が低下する」と感じている点で、一定の従業員には気分転換ツールの遮断が逆効果になりかねないことを示唆していることです。

人事部門が直面する課題

人事部門が直面する課題は、単に「使用時間」の管理にとどまりません。ソーシャルメディアは、告発と苦情の場としての側面を強めているからです。

Blind、Glassdoor、Fairygodboss などの匿名投稿プラットフォームでは、職場でのハラスメント、経営上の不正、リーダーシップへの不満といった内部告発が日常的に共有されています。つまり、匿名投稿プラットフォームは21世紀型のホットラインであり、雇用主はその声に真摯に向き合う必要があります。

セキュリティ面では、企業ネットワーク上でのソーシャルメディア利用は、ハッキングやウイルス、情報漏洩のリスクが高まります。さらには、ソーシャルメディア上の不適切な発言や投稿が、差別・プライバシー侵害・団体活動の権利保護(NLRA: 全国労働関係法)違反など、法的問題に発展するケースも存在しています。

NLRA(National Labor Relations Act):従業員の団結権や団体行動を保護するアメリカの連邦法。NLRB(全国労働関係委員会)は、その執行機関です。

雇用主が特に留意するべきリスク

雇用主が特に留意すべきリスクには以下が含まれます。

ソーシャルメディア利用ルールの整備

こうした背景から、多くの企業ではソーシャルメディア利用に関する明確なルールの整備が急務となっています。自社の就業規則に以下のような指針が含まれているか、あるいは別建てのポリシーとして整備されているかを確認し、従業員への周知徹底を図ることが重要です。

ソーシャルメディアは、情報発信とつながりを生む強力なツールであると同時に、職場リスクの温床にもなり得ます。社員の声がプラットフォームを通じて拡散される現代において、企業は問題が表面化するまで待って手遅れにならないよう、監視するのではなく、耳を傾けて適切に対応することが求められます。

総合人事商社クレオコンサルティング
経営・人事コンサルタント 永岡卓さん

2004年、オハイオ州シンシナティで創業。北米での人事に関わる情報をお伝えします。企業の人事コンサルティング、人材派遣、人材教育、通訳・翻訳、北米進出企業のサポートに関しては、直接ご相談ください。
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