今年もアメリカの多くの州で、デイライト・セービング・タイム(Daylight Saving Time、夏時間)が終了します。2025年は11月2日(日)午前2時に標準時へ戻ります。スマートフォンやコンピュータなどは自動的に調整されますが、アナログ時計など手動で調整が必要な機器をお使いの場合は、11月1日(土)の夜に時計を1時間戻すことをおすすめします。
デイライト・セービング・タイムとは
デイライト・セービング・タイムは、日本では「サマータイム」と呼ばれる制度です。3月第2日曜日の午前2時に時計を1時間進め、11月第1日曜日の午前2時に時計を1時間戻します。
- 2025年の開始日:3月9日(日)午前2時
- 2025年の終了日:11月2日(日)午前2時
この制度は1918年に制定され、日照時間の長い時期に自然光を有効活用することで電力を節約することを目的としています。その後、1966年の統一時間法(Uniform Time Act)によって現在の形となりました。
覚え方として「Spring Forward, Fall Back」(春に進めて、秋に戻す)というフレーズも広く使われています。
日本でなぜ「サマータイム」というのか理由はわかりませんが、UK では “British Summer Time(BST)または “Summer Time” ということに由来するのかもしれません。ちなみに、UK のサマータイムの期間は、アメリカのデイライト・セービング・タイムの期間とは異なります。
採用されている地域
アメリカの大部分の州がデイライト・セービング・タイムを採用しています。一方で、ハワイ、サモア、グアム、プエルトリコ、バージン諸島、そしてアリゾナ州(ナバホ・ネーションを除く)は通年で標準時です。
カナダもアメリカと同じ期間にデイライト・セービング・タイムを採用していますが、メキシコは通年で標準時を採用し、アメリカとの国境地帯のみ夏時間を導入しています。
日本との時差も変更
アメリカの国土は日本の約26倍で、複数のタイムゾーンがあります。11月2日(日)からは標準時に戻るため、日本との時差も変わります。
都市 | 日本との時差(標準時) |
ホノルル(ハワイ標準時:夏時間は採用していません) | -19時間 |
アンカレッジ(アラスカ標準時) | -18時間 |
シアトル(太平洋標準時) | -17時間 |
デンバー(山岳地帯標準時) | -16時間 |
シカゴ(中部標準時) | -15時間 |
ニューヨーク(東部標準時) | -14時間 |
デイライト・セービング・タイムをめぐる議論
この制度には長年、賛否両論があります。時間の変更が睡眠や健康、交通事故の発生率に影響を与えるとの指摘もあり、2022年に連邦議会上院では日照保護法(Sunshine Protection Act)が可決されました。しかし下院では審議されず、2023年に廃案となりました。
年間を通じて標準時にする場合は各州議会の決定で可能ですが、年間を通じて夏時間に固定するには連邦議会の承認が必要です。
ワシントン州議会は2019年に通年DST採用法案を可決しましたが、連邦承認は得られていません。
アメリカ睡眠学会は標準時を支持
アメリカ睡眠学会(American Academy of Sleep Medicine:AASM)は、一年を通して標準時を使用することを明確に支持しています。AASMの会長ジェームズ・A・ローリー博士は次のように述べています(公式声明)。
「時間制度が年間を通じて固定されることは、私たちの体内時計と一致した生活リズムを維持するのに役立ちます。標準時は質の高い睡眠を支える基盤です」
時間変更に備えるには
時間の切り替えは、生活リズムに少なからず影響します。AASMは以下のような対策を推奨しています。
- 時間変更前後の夜は少なくとも7時間の睡眠を確保する
- 数日前から15〜20分ずつ早く就寝・起床して慣らす
- 食事や運動時間を少しずつ調整する
- 当日朝に時計を1時間戻し、夜は通常の時間に就寝する
- 朝に太陽光を浴びることで体内時計の調整を助ける
日々のスケジュールに影響が出やすい人は、早めの準備が有効です。
まとめ
- 2025年は11月2日(日)午前2時にデイライト・セービング・タイムが終了
- 時計は1時間戻す
- 日本との時差も変更
- アメリカでは夏時間廃止や固定化に向けた議論が続いている
- 睡眠・健康の観点からは標準時の維持を支持する声も強い