日本へ食べ物を持ち込むときの関門は、2つあります。1つ目は出発する空港の保安検査で、機内に持ち込む液体やペースト状のものは、容器の大きさに制限があります。2つ目は日本に着いたときの検疫で、厳格な規制があります。
この記事では、日本へ持ち込める食品と持ち込めない食品、日本の主要空港での検疫の手順についてまとめています。
機内に持ち込める食品・持ち込めない食品
ここでいう「機内に持ち込む」は、客室に持って入る手荷物のことです。預け荷物には、液体の容量制限はありません。到着後の検疫は、手荷物・携帯品として持ち込む食品が対象です。
固形の食べ物は、基本的に機内に持ち込めます。パンやおにぎり、サラダ、お弁当は、そのまま手荷物に入れて大丈夫です。スナック菓子や乾物類も、国際線に持ち込めます。ニンニクを多く使った料理や発酵食品など、においが強いものは、ルール上は問題なくても、周囲への配慮として避けることをおすすめします。
液体・ペースト状の食品は、出発する空港のルールに従う
機内の液体の制限は、到着先の日本ではなく、出発する空港のルールで決まります。米国発の場合は、TSA(運輸保安局)の定める液体ルールが適用されます。液体、ジェル、エアロゾル、クリーム、ペースト状のものは、次の「3-1-1ルール」に従う必要があります。
・容器1つにつき3.4オンス(100ml)以下
・それらをまとめて、クォートサイズ(約1リットル)の透明なジッパー付き袋に入れる
・袋は1人1個まで
ヨーグルト、プリン、ゼリー、ピーナツバター、ジャム、ディップ類も液体扱いです。「注いだり、すくったりできるもの」はすべて液体とみなすのが基本です。シロップに浸かったフルーツの缶詰やゼリーのように、液体を含む食品も、容器が3.4オンスを超えるものは預け荷物に入れます。迷う場合は、TSAの公式アプリ「myTSA」の「Can I Bring?」機能で調べられます。米国以外の国から出発する場合は、その空港の案内を確認してください。
2026年現在、3-1-1ルール自体に変更はありません。一部の主要空港ではCTスキャナの導入が進んでいて、空港やレーンによっては、液体袋をバッグから取り出さなくてよくなっています。CTスキャナは荷物の中身を3Dで表示し、360度動かして確認できるためです。ただ、液体の量の制限はそのままです。
セキュリティ検査を通過した後に空港内で買ったもの(缶詰や瓶入り飲料など)は、100mlを超えていても機内に持ち込めます。ただし、乗り継ぎがある場合は、乗継ぎ先の空港で没収される場合があるので注意が必要です。
乳幼児を同伴している場合・医療上の必要がある場合の例外(米国発)
乳幼児用の粉ミルク、母乳、離乳食(ピューレ状のものを含む)は、3.4オンス(100ml)を超えても持ち込みが認められています。透明な容器に入れて、検査の前にスタッフに申告してください。保冷のためのアイスパックも持ち込めます。
医療上の理由で液体の薬が必要な場合も、スタッフに申告すれば、適切な量の持ち込みが認められます。処方箋のコピーを持参しておくとスムーズです。
日本へ持ち込めない食品
日本へ帰国・入国する際の食品の持ち込みには、特に注意が必要です。渡航前に、持ち込み禁止の対象になっていないか確認しましょう。検疫の対象は、手荷物・携帯品として持ち込むすべての食品で、量は問われません。違反すると、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。
肉・肉製品
農林水産省の動物検疫所の案内によると、どの国から来ても、ほとんどの肉製品や動物由来製品は、日本へ持ち込むことができません。違法に持ち込んだ場合、300万円以下(法人の場合5000万円以下)の罰金、または3年以下の拘禁刑が科せられます。
ハム、ソーセージ、ジャーキー、ベーコンのほか、肉まんや餃子、ハムサンドのように、少しでも肉が使われていれば規制の対象となります。真空パック・冷凍・調理済みのもの、免税店で買ったもの、日本語で表示されたものも例外ではありません。機内食も同じで、食べ残しを機内から持ち出すことはできません。
例外は、輸出国の政府が発行した日本向けの検査証明書が付いた肉製品です。ただし、米国(アメリカ)とカナダで売られている牛肉の加工品(ビーフジャーキーなど)は、輸入停止が続いています。
野菜・果物
生の果物や野菜は、ほとんどが持ち込み禁止です。禁止されている果物・野菜には、マンゴー、リュウガン、グアバ、ライチ、トウガラシ、カンキツ類、ナシ、リンゴ、機内食(サンドイッチ、カットフルーツなど)が含まれます。
生の果物や野菜が入ったサンドイッチやカットフルーツも、持ち込めません。持ち込める品目もありますが、輸出国の政府が発行する植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を付けて、税関検査の前に、空港の植物検疫カウンターで検査を受ける必要があります。東南アジア産のパイナップルやココナッツが、その例です。
乾燥果実のうち、あんず、いちじく、かき、キウイフルーツ、すもも、なし、なつめ、なつめやし、パイナップル、バナナ、パパイヤ、ぶどう、マンゴー、もも、りゅうがんの乾果は、植物検疫の対象外です。それ以外の乾燥果実は、検査の対象になります。砂糖や塩、酢などに漬けた植物も対象外です。
また、土や土のついた植物は持ち込めません。
乳製品・卵
チーズ、バター、ヨーグルト、粉ミルクなどの乳製品は、個人で食べる量であれば、動物検疫の対象外です(携帯品の場合)。販売目的のものや10kgを超えるものは、検査証明書の取得が望ましいとされています。搾ったままの生乳は動物検疫の対象で、持ち込めません。サラミ入りのチーズのように、肉が入っているものは、肉製品として扱われるので、前述の肉製品についての項目を参照してください。
卵は、加熱して卵のたんぱく質が完全に固まっているもの(固ゆで卵、卵焼き、タマゴサンドなど)は、対象外です。生卵や半熟卵は動物検疫の対象で、証明書がなければ持ち込めません。
加工食品
スナック菓子や乾物、市販の密封食品(缶詰・瓶詰め)などは、持ち込めるものも多くあります。動物検疫所は2026年7月1日付で、病原体を広げるおそれがないことが明らかなものを対象から外す基準を、具体的に定めました。一定の条件を満たす缶詰・瓶詰・レトルト食品、カップ麺の乾燥した具、肉片などの固形物を含まないスープの素やコンソメが、例に挙がっています。基準については、動物検疫所のページで確認できます。
違反した場合の罰則
なぜ持ち込み禁止の食品があるかというと、口蹄疫やアフリカ豚熱(ASF)などの家畜の伝染病と、植物の病害虫が海外から入るのを防ぐためです。違反すると、3年以下の拘禁刑または300万円以下(法人は5,000万円以下)の罰金の対象になります。パスポートや搭乗券の情報が記録されるため、検査に時間がかかることもあります。
日本渡航前に農場や家畜のそばに行った場合は、到着時に動物検疫カウンターで靴や衣服の消毒を受ける必要があります。これは、家畜に触れたり、農場の土を踏んだりすることで、衣服や靴に家畜の病原体が付着し、日本に持込んでしまう可能性があるためです。
空港にある自主廃棄ボックス・靴底消毒のマット
出発国の空港の売店で買ったカットフルーツや機内食の残りの肉製品なども日本に持ち込めないので、うっかり持ち込んでしまったら、入国審査場に入る前や手荷物検査場にある自主廃棄ボックスに入れる必要があります。
土には、植物の病害虫や家畜の伝染病の病原体が混じっていることがあります。入国審査場の手前にある靴底消毒用のマットで靴底をきれいにしましょう。
参考
- 農林水産省・植物防疫所:来日するあなたへ お願い
- 農林水産省・植物検疫所:海外から野菜や果物を持ち込む際の規制
- 農林水産省・動物検疫所:肉製品などのおみやげについて(手荷物、国際郵便、宅配便としての持ち込み)
- 農林水産省・動物検疫所:乳製品の検疫について
- 農林水産省:旅先のお土産も注意!肉や果物などの持ち込み 空港での手順
