いよいよ、全米最大の観客動員数を誇るナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の王者決定戦「スーパーボウル(Super Bowl)」が、2月8日(日)に開催されます。その熱狂ぶりは凄まじいものがあるのですが、その裏で企業がその翌日に起きる大量欠勤に国家危機レベルの深刻さで頭を悩ませていることをご存知でしょうか?
実際、全米で2,600万人以上が仕事を休むとも言われるこの現象は、今や Super Sick Monday(スーパー・シック・マンデー)と呼ばれるまでになっているそう。今回は、このユニークな英語表現と、2026年、ここシアトルが全米で最も「病欠」が多くなるであろう根拠を探ってみました。
1億2,000万人が観戦する、テレビ史上最大の記録
スーパーボウルの凄まじさは、その圧倒的な視聴規模にあります。会場で観戦する約7万人に加え、テレビ史上最大の視聴者数を記録し、2024年には約1億2,370万人、さらに2025年には1億2,770万人と、アメリカの人口の約3分の1以上が同じ瞬間に同じ画面を注視するという結果を叩き出しました。
この驚異的な数字は、翌日の大量欠勤を生み出す社会現象のもととなっていますが、今年のシアトルはさらにその上を行く「重症化」が予測されます。
地元紙も注目する「IBS」と言葉遊びの裏側
アメリカでは、この日の欠勤をユーモアと「もっともらしい名称」を交えて語られます。地元紙シアトルタイムズでも、この時期に発生する欠勤の「症状」として紹介していたのが、Irritable Bowl Syndrome(過敏性ボウル症候群)という言葉です。
本来の医学用語である「過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome / IBS)」をもじった、知的かつ不真面目なジョークです。
- Bowel(バウル):「腸」のことBowl(ボウル):スーパー「ボウル(試合)」のこと
なぜ2026年のシアトルは全米最悪のスーパーシックマンデーになるのか?
忘れもしない2015年の第49回大会。前年に王者の座に輝き、連覇をかけて突き進んだシアトル・シーホークスの前に立ちはだかったのは、当時絶対王者として君臨していたQBトム・ブレイディ率いるニューイングランド・ペイトリオッツでした。
第3クォーター終了時は10点差でリードしていたシーホークスでしたが、第4クォーターに逆転を許し、24-28 で迎えた残り20秒。残り1ヤードまで攻め込み、誰もが再逆転を確信した次の瞬間、衝撃のインターセプトで幕を閉じたあの試合。シアトルファンにとって「あの1ヤード」は、今も記憶の彼方に葬り去りたい、しかし決して消えることのない黒歴史です。
そして2026年、ついに巡ってきた因縁の再戦。12’s(12番目の選手であるファン)たちは、もし勝てば興奮の渦でパーティーしすぎて翌9日の月曜朝に出勤できない可能性がありますし、万が一、今回も負けるなんてことになれば……もはや絶望でベッドから起き上がれないかもしれません。
「たかがスポーツ」と言う人もいるでしょう。しかし、監督や選手たちが繰り返しファンへの感謝を口にするように、シアトルにおいてチームとファンの絆は特別です。さらに西海岸特有のタイムゾーン・リスクも追い打ちをかけます。午後3時30分のキックオフにより、試合終了から深夜や早朝まで勝利の興奮に酔い続ける(あるいはやけ酒をあおり続ける)時間が他都市より長く、翌朝の深刻なダメージへと直結するのです。
まとめ
スーパーボウルは、単なるフットボールの試合を超え、アメリカの労働習慣や言語、そしてさまざまな世代のファンの記憶にまで深く影響する巨大な祭典です。Super Sick Monday は一見すると生産性の損失ですが、それほどまでに人々が何かを共有し、熱狂できる時間は、この国では貴重な機会でもあります。
月曜日のシアトルが笑顔に包まれるか、暗い雰囲気になるか。「優勝パレードはいつ?(数日後にはダウンタウンが12’sで埋め尽くされるはず!)」と気になるか。それとも「シーホークスのことは考えたくない」と塞ぎ込むことになるのか。今はただ、スーパーボウルをドキドキしながら待つしかありません。
