トランプ大統領が9月19日に署名した「外国人労働者や投資家向けの新たなビザ制度」に関する政策は、9月21日午前0時01分(米国東部夏時間)に発効しました。今回の大統領宣言(Proclamation)により、米国外からの新規H-1Bビザ申請に10万ドル(約1500万円)の申請費用が課されることが義務付けられています。ただし、この措置は議会の権限や憲法上の大統領権限をめぐって法廷闘争に発展する可能性が高いと指摘されています。ここでは、USCIS(移民局)が21日付で公開したH-1Bビザに関するFAQの要点をまとめました。
USCISが公開したH-1Bビザに関するFAQの要点まとめ
2025年9月21日付で、米国市民権・移民局(USCIS)はFAQを公開。その主な内容は以下のとおりです。
対象となるケース
- 新規H-1B申請に10万ドルの支払いを義務化
2025年9月21日以降に提出される新しいH-1Bビザ申請(2026年度抽選を含む)には、10万ドルの支払いが必須。 - 実施機関の連携
国土安全保障省(DHS)と国務省が中心となり、必要な措置を講じて実施。 - 関連ガイダンスの発表
USCIS、米国税関・国境警備局(CBP)、国務省がそれぞれガイダンスを公開し、領事館業務にも反映。
適用されないケース
- すでに発行済みのH-1Bビザ
- 2025年9月21日午前0時01分より前に提出された申請
- 更新手続き(renewals)に伴う費用や手数料
- 現在のH-1B保持者の米国出入国
今後予定される改革(宣言に基づく指示)
- 賃金水準(Prevailing Wage)の引き上げ
労働省が規則改正を行い、H-1Bプログラムを「高度人材中心」に。 - 抽選での優先順位変更
国土安全保障省が規則を制定し、低賃金の応募者よりも高賃金・高スキル人材を優先する方式に移行予定。 - 追加改革
数か月以内にさらなる措置を発表予定。
まとめ
今回の大統領宣言は、外国人を採用するためのH-1Bビザの新規申請に雇用主が10万ドルを負担する仕組みを導入し、制度を大幅に変えるものです。賛成派は制度乱用を防ぐことで米国人の雇用を守れると主張していますが、採用コストの急増で優秀な人材が海外に流れ、国際競争力を損なうことが懸念されます。ワシントン・ポストは、今回の措置は移民政策における議会の権限により、訴訟となる可能性が高いと指摘しています。今後の展開に注意する必要があります。
日本人にとっては、H-1Bでの新規就労を検討している人に影響が及ぶ一方、Lビザや E ビザには影響がなく、H-1Bでも更新手続きには直接の変更はない点を理解しておくことが重要です。
この記事を通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に確認した情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。