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パイク・プレース・マーケット119周年|シアトルを代表する観光名所の歴史と今

Indoor market flower stall with bright orange and white dahlias; shoppers browse in background under green industrial lamps.

©︎Alabastro Photograpy

シアトルにあるパイク・プレース・マーケットが、2026年8月17日に開設119周年を迎えました。マーケットの公式発表によると、年間平均来場者数はおよそ2,000万人にのぼり、シアトルを代表する観光名所としての人気は今も健在です。今回は、119年にわたる歩みと、今なお多くの人を惹きつける理由をご紹介します。

パイク・プレース・マーケットとは

©︎Jie LiuVisit Seattle

パイク・プレース・マーケットは、シアトルのダウンタウンとウォーターフロントの間にある公設の市場です。9エーカーにおよぶ歴史地区には、80以上の生産者が並ぶファーマーズマーケット(6〜10月)、220以上の専門店、70以上の飲食店、180以上の手工芸作家によるクラフトマーケットが集まり、感謝祭(11月第4木曜日)とクリスマス(12月25日)以外は休むことなく営業を続けています。地元の人々が気軽に立ち寄れる市場であると同時に、シアトルを代表する観光地としても親しまれています。

また、450人以上が暮らす住宅地でもあり、1982年に設立されたマーケット財団は、これまでに4,000万ドル以上を住宅・医療・食料・保育などの支援に充てています。

1907年の始まりと市議会の決定

©︎Rachael Jones

マーケットができる前、野菜や果物を仲介する業者の手数料が高く、街の人も農家も困っていました。1907年8月5日、シアトル市議会でトーマス・レヴェル議員が提案した条例が認められ、市場の開設が決定します。同じ年の8月17日、マーケットの初日には農作物を積んだ馬車が集まり、午前中のうちに品物が売り切れるほどの賑わいとなりました。

その中に、多くの日本人・日系人の農家も出店していました。1880年代後半からこの地域に移住してきた日本人は、手付かずの土地を開墾して農業を始め、米国で生まれた子どもたちも親を手伝いながら育ちました。マーケットが始まった日から、シアトル近くの土地で育てた野菜や果物を届けて、人々の暮らしを支え続けたのです。

しかし、第二次世界大戦中の1942年、大統領令9066号が出されたことで状況は一変します。日系人と日本人の住民は立ち退きと強制収容を求められ、売り場から多くの農家が姿を消しました。戦後にこの地へ戻った日本人・日系アメリカ人は多くなく、戻った人たちも暮らしを立て直すのは容易ではありませんでした。

保存運動と市民投票による再生

©︎Pike Place Market

この危機に対し、建築家のヴィクター・スタインブリュックさんらが中心となり、マーケットを買い取って残すための保存運動を始めました。

その甲斐あって、1971年、市民投票によってマーケットを歴史地区として保存することが決まります。これを受けて1973年、シアトル市はマーケットの保全と再生を担う非営利法人「パイク・プレース・マーケット保存整備公社(PDA)」を設立しました。この投票と公社の発足をきっかけに立ち直りの取り組みが始まり、現在の賑わいを取り戻す再生の物語につながっていきます。

『SONG OF THE EARTH』が伝える記憶

正面入口の天井近くに設置された
切り絵作家曽我部あきさんによる5枚組のパネル作品SONG OF THE EARTH

マーケット入口の「Public Market Center」の看板と時計の下には、切り絵作家・曽我部あきさんによる5枚組のパネル作品『SONG OF THE EARTH』が設置されています。1998年に完成したこの作品は、市場を支えた日系農家の出店や、乗り越えてきた出来事を後から訪れる人へ伝えるために作られました。強制収容が始まる前、マーケットの農家の75%を日系農家が占めていた記録されています。119周年を迎えた今も、この作品は訪れる人々に大切な昔の出来事を静かに伝える存在です。

ウォーターフロントとの一体化

1950年代に完成した高架橋のアラスカン・ウェイ・バイアダクトは、半世紀にわたりダウンタウンとウォーターフロントを分断していました。シアトル南部から北部へのアクセスのために重要な道路で、1日あたり10万台の車が通行していたと言われています。しかし、2001年のニスクアリー地震でこの高架橋が損傷を受けたことをきっかけに、2019年に取り壊され、再開発が始まりました。

アラスカンウェイ高架橋が撤去され遊歩道のオーバールックウォークが完成

2024年10月、ウォーターフロントとマーケットを結ぶ遊歩道「オーバールック・ウォーク」が完成。これによって、マーケットとウォーターフロントを簡単に行き来できるようになり、ウォーターフロント一帯の再開発の完了と合わせて、マーケット、ウォーターフロント、ダウンタウンが一体化することができました。

今の時代に合わせた新しい試みと人気店

©︎Visit Seattle

パイク・プレース・マーケットは、古い佇まいを残しながら、新しい店や催しを取り入れています。マーケット場内のホテル1階には、本格的な江戸前寿司を提供する『加柴(Sushi Kashiba)』が店を構え、シアトルの寿司文化を代表する存在として親しまれています。

また、2026年6月から7月にかけて開催されたFIFAワールドカップの期間中には、マーケット運営者がFIFAから使用許可を得て、大型スクリーンで試合の中継が行われました。時代に応じた人が集まる場としての役割も果たしています。

119年の歴史を刻んだパイク・プレース・マーケットは、今後も変わらぬ魅力と新しい賑わいの両方を発信し続けそうです。シアトルを訪れる際は、ぜひ足を運んでみてください。

Pike Place Market
住所:1st Avenue & Pike Street, Seattle (地図
営業時間:一般営業時間 朝御飯 6am~、生鮮食品販売 7am~、クラフトマーケット 11am-4pm、ファームテーブル 9am-4pm
定休日:感謝祭、クリスマス
公式サイト:www.pikeplacemarket.org
問い合わせ: (206) 682-7453
駐車:Pike Place Market Garage

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