カカオ豆の輸入から焙煎、製造、そして包装に至るまで、すべての工程を一貫して自社で手がけるBean-to-Bar(ビーン・トゥ・バー)メーカー、『Spinnaker Chocolate(スピンネーカー・チョコレート)』。
地元出身のケリーとクリスの兄弟が2019年に自宅のガレージで創業し、2021年にラベンナで工房兼小売店をオープン。その後、順調にファンを増やし、2025年にはウォーリングフォードのより広い店舗へと拠点を移しました。
こだわりの製法で日々作られる Bean-to-Bar チョコレートの魅力をご紹介します。
徹底した選別から始まる「Bean to Bar」の工程
“Bean to Bar” とは、カカオ豆(Bean)の買い付けから板チョコレート(Bar)にするまで、すべての工程を自社で手がけるスタイルのこと。『スピンネーカー・チョコレート』では、マダガスカルやウガンダ、エクアドルなど、信頼のおける農家やサプライヤーから買い付けた良質なカカオ豆のみを使用しています。
その工程は、徹底した「選別」から始まります。大きな袋に入ったカカオ豆から、形が不揃いなものやカビがあるものなどを、まずは目視で丁寧に取り除いていきます。
独自開発の機械が生む「均一な焙煎」
最初の店舗では、エンジニアのクリスさんと木工技術を持つケリーさんが、自ら開発した機械を使用していました。これは、独自の振動スクリーンでさらに豆を選別し、サイズを揃えるためのものです。
「フレーバーを最大限に引き出すには、細かい選別が必須です」とケリーさん。 次に、これまた独自開発の機械でカカオニブ(豆の胚乳部分)だけを取り出し、ロースト(焙煎)します。豆を丸ごとローストする一般的な方法ではなく、ニブの状態にしてから焙煎することで、火の通りを均一にし、雑味のない凝縮された風味を引き出しています。
完璧な「結晶構造」へのこだわり
焙煎されたニブは砂糖と合わせ、石臼でミクロン単位まで滑らかに挽き、撹拌機(コンチング)で練り上げられます。
仕上げの重要な工程が「テンパリング」です。チョコレートの結晶構造には6つの段階がありますが、ケリーさんは加熱・冷却・再加熱の独自メソッドを編み出しました。
焙煎されたカカオニブを食べてみると、風味がギュッと凝縮されたものに仕上がっていました。そのカカオニブと砂糖を合わせて、石臼で理想的なミクロン単位まで挽いてなめらかにした後、撹拌機(かくはんき)を使って練り上げ(コンチング:conching)、なめらかさを高めます。
一口ずつ食べると、産地ごとに異なる個性がちゃんと感じられ、チェリーやブルーベリーのような果実の味もするので不思議です。味わいはどれもクリーンな感じで、香りが優しく、舌触りが滑らかで、新しい体験をした気持ちになりました。
「手の中で溶けにくく、パキッと割れ、口の中でとろける。そんな完璧な結晶構造を実現しています」
完成した商品はすべてシングルオリジン(単一産地)。産地ごとにチェリーやブルーベリーのような個性が際立ち、驚くほどクリーンで滑らかな口当たりが楽しめます。
サステナビリティ、そして新しい店舗体験
ブランド名の「スピンネーカー」とは、セーリングボートで風を受けるための大きな帆のこと。海を愛するケリーさんの意向で、包装にはホイルを使わず、リサイクル可能な素材を採用しています。
その確かな品質は世界でも認められ、国際的な賞『Academy of Chocolate Awards』では、900以上のエントリーの中から初年度にして9つの賞を受賞するという快挙を成し遂げました。
新しいウォーリングフォードの店舗では、すべての商品の試食に加え、自慢のチョコレートを使ったドリンクも楽しめます。
また、チョコレートを作る過程が見られるツアーに加え、最近では製造体験ができるクラスも開催されています。1カ月先までは常に完売するほど人気があるので、行きたい場合はお早めに。シアトル観光の新しい定番になりそうです。
