2026年5月22日、移民局はアジャストメント申請 (Adjustment of Status) に関する新しい政策メモ (Policy Memo) を発表しました。
アジャストメント申請とは、アメリカ国内に留まったまま、 アメリカ国内で現在持っている滞在資格から永住権保持者(グリーンカード保持者)に「ステータス」(在留資格)を変更する手続きのことです。
今回の発表が突然だったこともあり、多くの混乱を招いています。しかし、重要なのは、この政策メモは移民局の審査官に対するガイダンスであり、法律そのものではないという点です。
実際にどのように運用されるのかなどの詳細についてはまだ不透明な部分が多くあります。また、今後、連邦裁判所で争われる可能性があり、その結果、政策メモの効力が一時的に差し止められる可能性もあります。
アジャストメント申請は権利ではなく、行政上の裁量によって認められる特権であり、恩恵です。よって、アジャストメント申請は、この政策メモの発表以前から、移民局の裁量に基づいて判断される制度であり、今回のメモによって、その法律の基準が変更されたわけではありません。
では、この新しい政策メモについてご説明します。
審査官による裁量権の行使をさらに重視し、より厳格に適用する方針
これまでは、申請条件を満たしていれば、アジャストメント申請によって米国内に滞在したままグリーンカードを取得できるケースが一般的でした。
しかし、今回の政策メモでは、審査官による裁量権の行使をこれまで以上に重視し、より厳格に適用する方針になるという点が強調されています。
特別な事情がない限り、グリーンカード申請は母国に帰国して行う
従って、アジャストメント申請が廃止された訳ではなく、アメリカに滞在している外国人がグリーンカードを取得する場合、特別な事情(extraordinary circumstances) がない限り、基本的にアメリカ国内でアジャストメント申請を行うのではなく、母国へ帰国して申請しなくてはならない、つまり、領事館手続き(consular processing) が標準的な手続きであるとするものです。
一方で、アジャストメント申請を選択した場合、その申請は移民局の裁量判断の対象となります。
しかし、現時点では、明確でない点も多々あります。
特別な事情(extraordinary circumstances)の定義が明確でない
例えば、extraordinary circumstances は定義されていません。extraordinary circumstances の有無を判断するために、移民局はケースバイケースでさまざまな要素を考慮します。
例えば、移民法違反、詐欺または虚偽申請、入国目的に反した行為や活動、犯罪歴、有効滞在期限までに出国しなかったなどのネガティブ要素、また家族関係、移民ステータスおよび履歴、入国目的にあった活動、道徳的な人格などのポジティブ要素、あるいは医療的、人道的事情など、状況の総合評価に基づき、広範な裁量判断を行うことになります。
よって、今後は、これまでアジャストメント申請時に提出していた書類のほか、ポジティブ要素の証明なども必要になって来ることが予想されます。
すでに提出済みのアジャストメント申請はどうなるのか不明
また、すでに提出済みのアジャスト申請はどうなるのかなどもわかっていません。政策メモには、いつから新しい政策が適用されるか明記されることが多いですが、この政策メモには明記されていません。しかし、裁量判断はインタビュー、そしてその後の最終決断時に行われるため、すでに提出済みのアジャストメント申請であっても、まだそこに至っていない申請に適用される可能性があります。よって、今後は追加書類の要求が増える可能性が高くなることが予想されます。
移民局は、「学生や労働者、または観光ビザでアメリカに入国する人は、特定の目的のために短期間アメリカに滞在することを許可された人々であり、滞在期間終了後に出国することを前提に各ビザへの条件が設計されている」としています。そのため、「この滞在をグリーンカード取得手続きの最初の段階として機能するべきではない」と主張しました。
なお、この記事は移民局の政策メモが発表された2026年5月22日の情報に基づいています。上述のように、今後変更や詳細が発表される可能性がありますので、最新情報を確認してください。
琴河・五十畑法律事務所 弁護士・琴河利恵さん
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コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。
