ワシントン州で、2026年7月1日からガソリン税が引き上げられました。1ガロンあたり55.4セントから56.5セントへ、約1.1セントの値上がりです。
この引き上げは1回限りのものではありません。2025年にボブ・ファーガソン知事が署名した法律「ESHB 2711」により、今後は毎年7月1日に2%ずつ自動的に引き上げられる仕組みになっています。
100年以上の歴史を持つガソリン税の転換点
ワシントン州のガソリン税の歴史は1921年にさかのぼります。道路や橋などの整備を支える財源として導入され、以来ずっと州の交通インフラを支えてきました。
長い間、税率を上げるには議会での採決が必要でしたが、2025年に大きな転換がありました。州議会はESHB 2711を通し、当時49.4セントだったガソリン税を55.4セントへ6セント引き上げました。これは9年ぶりの引き上げで、約32億ドル規模の交通整備予算を支えるためのものです。さらにこの法律には、2026年からは毎年2%ずつ自動的に上げる仕組みも盛り込まれました。
全米でも高い水準、お隣の州とは大きな差
今回の引き上げで、ワシントン州の純粋な「州ガソリン税」は全米3位の高さになりました。1位はカリフォルニア州、2位はペンシルベニア州です。(参考:US Energy Information Administration)
さらにワシントン州では、ガソリン税のほかに、カーボンタックス(炭素税)が1ガロンあたり約52セント、連邦のガソリン税が18.4セント加わります。これらをすべて合わせると、実際のガソリンの値段にかなりの金額が上乗せされていることがわかります。
近隣州との税率(純粋な州税のみ。連邦税18.4セントは含まず)の比較は以下の通りです。
| 全米順位 | 州名 | 州ガソリン税(1ガロンあたり) | 備考 |
| 1位 | カリフォルニア州 | 約67セント | 環境規制費用含む |
| 2位 | ペンシルベニア州 | 約57.6セント | |
| 3位 | ワシントン州 | 56.5セント | 2026年7月1日〜 |
| 約12位 | オレゴン州 | 46セント | 2026年1月に引き上げ |
| 約23位 | アイダホ州 | 33セント |
また、AAA(米国自動車協会)の調べ(2026年7月1日時点)では、ワシントン州のガソリン平均価格は1ガロンあたり5.12ドル。隣のアイダホ州は4.08ドル、オレゴン州は4.65ドルで、店頭での実際の価格を見ても、ワシントン州は50セント〜1ドル以上高い状況です。
EV普及率は全米2位、しかし全体の約97%はまだガソリン車
ワシントン州では電気自動車(EV)の普及が急速に進んでいます。州政府のデータ(2026年時点)によると、州内のEV登録台数は2024年末時点で約22万4,000台に達し、住民一人あたりのEV普及率ではカリフォルニア州に次ぐ全米2位を誇ります。
しかし、州内に登録されている全車両の「割合」で見ると、現状は以下のようになっています。
- ガソリン車・ディーゼル車など: 約97%
- 電気自動車(EV・PHEV): 約3%
このように、街で見かける機会は増えたものの、生活や物流の圧倒的多数は依然としてガソリンに依存しています。
EVが増えるとガソリンの消費量は減ります。ワシントン州でもその傾向は出ており、ガソリン税の税収は当初の見込みを下回る見通しです。交通整備の財源が細る一方で道路の整備需要は変わらないため、自動引き上げの仕組みはこの構造的な問題(財源不足)への対応でもあります。
税収は何に使われるのか
ガソリン税からの税収は、道路・橋・高速道路の整備に使われます。州の交通整備予算の約40%をガソリン税が占めており、インフラを支える重要な財源です。
非営利の調査団体 Reason Foundation によると、ワシントン州の高速道路の状態は全米48位と評価されており、改善が求められている状況です。
しかし、Washington State Standard によると、ガソリンの需要の低下などが原因で、ガソリン税を引き上げても税収は減少しているのが現状です。
今後の見通しと、今すぐできるガソリン代の節約術
2%の自動引き上げは毎年続きます。2027年7月1日には、現在の56.5セントからさらに約1.1セント上がる見込みです。1回の給油での影響は数十セント程度ですが、年間で積み重なるとまとまった金額になります。
シアトル周辺で車を使う機会が多い方や長距離通勤をされている方は、今後のガソリン代の動きを頭に入れ、以下のような具体的な対策や選択肢を検討してみるのがおすすめです。
- 給油の場所や方法を工夫する
- アプリなどを活用して価格を比較: 地域最安値のガスステーションリアルタイムで検索する
- 会員制量販店(Costco など)の利用: 一般のガスステーションより安価に設定されていることが多い
- リワードプログラムの活用: Fred Meyer や Safeway などのスーパーマーケットのポイントで割引を受ける
- 車の買い替え時に「燃費」や「動力」を意識する
- 燃費のいい車(ハイブリッド車など)への乗り換え
- EV(電気自動車)の購入を長期的なオプションとして視野に入れる(毎年の自動増税を考慮したコスト計算において、今後の有力な選択肢となります)
- 移動手段を見直す
- 公共交通機関(ライトレールやバスなど)の活用
今日からできる賢い節約術を取り入れながら、毎年の値上がりに備えていきましょう。
