6月30日、米連邦最高裁判所は、米国で生まれた子どもに自動的に国籍を与える「出生地主義」(しゅっしょうちしゅぎ)を制限するトランプ大統領の大統領令に対し、「違憲」とする判断を下しました。
これにより、観光や留学、就労ビザなどで一時的に米国に滞在している人はもちろん、不法滞在(非正規滞在)の状態で米国で出産した人の子どもであっても、これまで通り米国市民権を得られることが確定しました。
米国の「出生地主義」とは?
米国では150年以上にわたり、親の国籍や在留資格に関係なく、米国内で生まれた子どもには自動的に米国市民権が与えられる「出生地主義(birthright citizenship)」が憲法で保障されてきました。日本が採用している、親の国籍を引き継ぐ「血統主義」とは異なる仕組みです。
1898年の最高裁判決(ウォン・キム・アーク対米国事件)でもこの原則が確立されており、今回の裁判でも重要な先例として扱われました。
裁判の経緯
トランプ大統領は就任初日の2025年1月20日、非正規滞在者や一時的なビザ(観光・学生など)を持つ親から生まれた子どもの市民権を認めないとする大統領令に署名しました。
これを受け、米国自由人権協会(ACLU)などが提訴し、各地の連邦裁判所がすぐに差し止め命令を出したため、この大統領令は一度も実施されないまま最高裁へ持ち込まれていました。今回、最高裁は6対3の多数決で大統領令を憲法違反として退け、「両親が違法または一時的に滞在している場合であっても、生まれた子どもは市民権を有する」と明言しました。
在米の外国人への影響と今後の注意点
今回の判決により、観光や学生、就労ビザなどで米国に滞在している外国人が米国内で出産した場合、子どもは引き続き米国市民権を得ることができます。
ただし、トランプ大統領は判決を受け、出生地主義の廃止に向けた法改正を議会に求める方針を表明しています。法改正には高いハードルがありますが、今後の米政府や議会の動きには引き続き注意が必要です。
※米国での出産や子どもの市民権に関して具体的な不安や疑問がある場合は、米国移民法専門弁護士への相談をおすすめします。
