前々回のコラムで、4月22日にトランプ大統領が署名した大統領令についてお伝えしました。詳細は、こちらで確認いただけますが、主には移民のアメリカへの入国を60日間停止するという内容で、H-1BやLビザといった非移民ビザ労働者は対象にはなりませんでした。
しかし、労働省長官および国土安全保障省長官は、国務省長官とともに施行から30日以内に非移民ビザプログラムを見直し、協議の上、アメリカの経済、アメリカ市民の雇用を優先するために必要な処置を大統領にアドバイスすることが記載されていたので、今後、何らかの措置が取られる可能性があることは想定されていました。
そして、6月22日にトランプ大統領は、アメリカの経済回復を目的とした「新型コロナウイルス流行後のアメリカの労働市場にリスクを与える外国人の入国停止宣言」と題する新たな大統領令に署名しました。今回のコラムでは、その主な内容についてお話します。
この大統領令は、すでに6月24日から施行さており、2020年12月31日に失効することになっていますが、必要に応じて延長できることが記載されています。
この大統領令よって、4月22日の大統領令が延長されるとともに、新たに以下の外国人によるアメリカへの入国が制限されることになりました。
- H-1B 専門職者ビザ
- H-2B 非農業季節・短期労働者ビザ
- L 国際企業内転勤者ビザ
- J 交流訪問者ビザ(インターン、研修生、教員、キャンプカウンセラー、オペアプログラム、サマーワーク&トラベルプログラム参加者)
上記に帯同する外国人も含まれるため、例えば、H-1Bビザ保持者の配偶者や21歳未満の子供で通常であればH-4ビザを取得できる外国人も含まれます。
なお、大統領令の対象となるのは、大統領令が施行された6月24日時点で以下に該当する外国人です。
- アメリカ国外に滞在していた、
- 有効な非移民ビザを取得していなかった、そして
- ビザ以外で、アメリカへ入国するために必要な入国許可書類(Transportation Letter、Advance Paroleなど)を取得していなかった。
従って、この大統領令は、6月24日にアメリカ国内に滞在していた外国人には該当しません。また、この大統領令によって、現在有効なビザが取り消されることもありません。
2番の「有効な非移民ビザを所持していなかった」の解釈に関しては、6月24日の発表によると、その時点で、カテゴリに限らず非移民ビザを取得していれば、大統領令の対象にはならないと読み取れますが、その後、6月24日時点で取得していたビザを使って入国する場合のみ、大統領令の対象にならないことに改正されました。
従って、例えば、6月24日にアメリカ国外に滞在していたH-1Bビザ保持者は、有効なH-1Bビザを使ってアメリカに再入国することができますが、6月24日にアメリカ国外に滞在していたF-1ビザ保持者が、H-1B申請認可ののち、領事館のビザサービス再開後H-1Bビザを申請し、H-1Bビザ保持者として入国できるようになるのは、大統領令失効後となります。
また、今回発表された大統領令は以下の人には該当しません。
- グリーンカード保持者
- 米国市民の配偶者または子供
- アメリカの食料サプライチェーンに重要な一時的労働またはサービスを提供するために入国を求める外国人労働者
- 国務省長官、または国土安全保障省長官により、入国がアメリカの国益に必要だと認められた外国人
移民法に関する状況は頻繁に変わっていますので、最新情報を確認してください。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。