ワシントン州では、3月末に出された自宅待機命令が5月31日に終了することが決まり、4段階の経済活動再開計画の実施へと移行しています。今回のコラムでは、過去1ヶ月ほどの移民法関連のケースの動きと今後のプロセスについてお話します。
6月4日から通常業務を再開と感染防止対策
移民局は、6月4日から面会が必要となる手続きを含め、通常業務を再開することを発表しました。これに伴い、移民局は、体調のすぐれない人、咳や発熱など新型コロナウイルスの症状がある人、過去14日間に新型コロナウイルスに感染している疑いがある人と接触した人、あるいは医療機関にて14日間自己隔離するように指示された人は、移民局への入館を避けるように要請しています。
入館にあたってのさまざまな規制:
また、予約時間の15分以上前に入館させない、マスク着用の要請、入り口に消毒液の設置、メディカル・スクリーニング、社会的距離を維持するように床に目印やテープを貼るなど、さまざまな入館規制が実施されることが発表されました。詳細は、新たに発行される予約通知に記載されますので、移民局へ行く前に目を通しておくことを勧めます。
プレミアムプロセスの再開:
3月20日から停止されていたプレミアムプロセスが、6月1日から、以下の通り随時再開されます。
6月1日から:
プレミアムプロセスが利用可能なI-140 雇用ベース移民ビザ申請
6月8日から:
- 6月8日以前にファイルされ、現在審査過程にある年間発給数の上限制限に該当しない(Cap Exempt)H-1Bビザ申請
- 6月8日以前にファイルされ、現在審査過程にあるH-1Bビザ申請以外でプレミアムプロセスが利用可能なI-129非移民労働者ビザ申請
6月15日から:
プレミアムプロセスと同時にファイルする、もしくは6月8日以降にファイルする、以下いずれかの理由で年間発給数のカウントから免除されるH-1B申請
- スポンサーが、大学以上の教育機関、またはその関連・提携関係にある非営利団体、非営利研究組織、あるいは政府研究組織に該当する場合、あるいは
- 外国人労働者がConrad/IGA免除の対象となる外国人医師の場合
6月22日から:
- F-1からのステータス変更を含む年間発給数の上限制限に該当するH-1B申請で、すでに申請提出済みでプレミアムプロセスにアップグレードする場合、あるいはプレミアムプロセスと同時に申請する場合
- プレミアムプロセスに該当するその他全てのI-129非移民ビザ労働者ビザ申請で、プレミアムプロセスと同時に申請する場合
- 外国人労働者がConrad/IGA免除の対象となる外国人医師の場合
5月の移民法関連ケースの動き
次に、過去1ヶ月の移民法関連のケースの動きについてお話します。
前々回のコラムで、移民局が閉鎖されていた間にスケジュールされているインタビューや宣誓式、指紋採取の予約はキャンセルとなり、移民局が再予約通知を発送するとお伝えしました。
しかし、すでに過去のケースで指紋採取を済ませている場合、その指紋を再利用するため、指紋採取のアポイントメントは必要なくなったと通知を受けているケースが見受けられます。例えば、結婚ベースでのアジャストメント申請で過去に指紋採取を済ませていて、今回条件削除申請をしている人が、この例に該当します。ただし、指紋採取が免除された場合でも、85ドルは返金されません。
また、長い間「審査中」となっていたグリーンカードの更新申請や就労許可申請が、次々に動き始め、認可されています。
インタビューが予定されていた雇用ベースでのアジャストメント申請や結婚ベースの条件削除申請に関しては、予定されていたインタビューがキャンセルされ、通常インタビューで問われる内容を、書類の提出による審査に変わったケースも見受けられます。
在日米国大使館・領事館では、引き続き、外交・公用ビザを除く面接が必要なビザ申請の面接を一時的に停止しています。現段階で面接再開の目処は立っておらず、具体的な期間は発表されていません。ただし、13歳以下の子供や80歳以上の高齢者の非移民ビザ、または非移民ビザの更新など、面接の必要ないビザ申請は引き続き受理されています。また、面接が必要なケースであっても、アメリカに緊急で渡航する必要がある場合は、面接予約をリクエストし、領事がケースバイケースで緊急性を判断し、認められた場合のみ面接を行っています。例えば、延期不可能な重要なビジネス、親近者の病気や訃報、医療関係者、人道的な理由、年齢によるビザの発給期限が迫っている子供がいるなどが、緊急面接に該当するケースとなります。
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。また、移民法は頻繁に改正があります。提供している情報は、掲載時に有効な情報です。読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法の弁護士にご相談ください。