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第30回 シアトルの路面電車

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サウス・レイク・ユニオン・ラインの車庫

写真3:サウス・レイク・ユニオン・ラインの車庫

オクシデンタル・モール、パイオニア・スクエア駅

写真4:オクシデンタル・モール、パイオニア・スクエア駅

上記の路面電車は、キング郡メトロ社の管轄下にあるシアトル・ストリートカー会社が運営している(写真3)。同社は現在、ダウンタウン・シアトルの南側、パイオニア・スクエアからインターナショナル・ディストリクトを通り、キャピトル・ヒル地区までの全長2.5マイルのファースト・ヒル・ラインの建設を進めている(写真4)。今年の秋にこの線の運行が始まれば、一日約3千人の利用客があると見込まれており、サウス・レイク・ユニオン地区で起きたような大規模な不動産開発は行われないにしても、沿線のパイオニア・スクエア、インターナショナル・ディストリクトなどの再開発は当然起こるだろうと想像できる。この線はすでに完成している地下を走るライトレールとインターナショナル・ディストリクトで連結するだけでなく、2016年完成予定のライトレールのワシントン州立大学までの延長線がキャピトル・ヒルで連結する予定だ(写真5)。まだ構想段階ではあるが、すでに上記のサウス・レイク・ユニオン・ラインとファースト・ヒル・ラインをつなぐ計画も進行している。このことによって、シアトル市のダウンタウン、また東側と北側も路面電車で結ばれることになる。

ブロードウェイ、デニー、キャピトル・ヒル駅、奥に見えるクレーンは現在建設中のライトレールの駅

写真5:ブロードウェイ、デニー、キャピトル・ヒル駅
奥に見えるクレーンは現在建設中のライトレールの駅

路面鉄道の建設は、一見時代錯誤のように見えるかもしれない。しかし、地下鉄の建設は路面鉄道に比べ何十倍もの建設費用がかかる上、建設時間も長く、利用者が長い時間をかけて地下のプラットフォームに降りなくてはならいのに対し、路面鉄道は建設費を抑え、道路からすぐに乗降できる便利さと、バスに比べ一回の乗客数が多いため、ヨーロッパをはじめ、日本でも21世紀に入ってから改めて注目されている交通手段である。

ニュー・アーバニズム、またはコンパクト・シティなどと呼ばれる新しい都市再開発理論において、路面電車は、自動車から解放され、住みやすい街を作る重要な要素であるようだ。

掲載:2014年8月

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